Billie’s Bounce コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!セッションで「ブルースやろう」って言われたんだけど、Billie’s Bounceってどんな曲?

おお、Billie’s Bounceか!Charlie Parkerが1945年に書いたバップブルースの大定番じゃぞい

ブルースってことは12小節?

そうなのじゃ。基本は12小節のブルースなんじゃが、パーカーらしいコード進行の工夫が入っていてのう。バップの語彙を身につけるには最高の教材じゃぞい
Billie’s Bounce の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Billie’s Bounce(ビリーズ・バウンス) |
| 作曲 | Charlie Parker (1945) |
| キー | F |
| フォーム | 12-bar Blues |
| テンポ | ♩=140–200 |
| フィール | Medium-Up Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |

1945年にSavoy Recordsで録音されたのが初出でのう。若き日のMiles Davisがトランペット、Dizzy Gillespieがピアノで参加しておるぞい

Dizzyがピアノ!?トランペットじゃなくて?

このセッションではピアノを弾いたんじゃのう。Max Roachがドラムで、Curley Russellがベース。ビバップ誕生を記録した歴史的なセッションなのじゃ

タイトルの「Billie」ってBillie Holidayのこと?

長いことそう言われておったんじゃが、実はDizzyのエージェントBilly Shawの秘書のBillieのことらしいぞい。まあ諸説ある話じゃがのう
Billie’s Bounce のコード進行と分析

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1〜4小節目はブルースの基本骨格。F7(I7)から始まり、2小節目でBb7(IV7)へ動き、3小節目でF7に戻ります。ここまでは普通のブルースと同じです。4小節目のCm7 → F7はBb7に向かうためのII-V。次の小節のBb7をスムーズに導入する仕掛けで、バップブルースらしいポイントです。
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5〜6小節目がこの曲の面白いところ。5小節目のBb7(IV7)は普通のブルースと同じですが、6小節目にBdim7(B07)が入ります。これはBb7からF7へ戻るときの半音上行するパッシングディミニッシュで、ベースラインがBb → B → C(F7のルートへ向かう5度)と滑らかに上昇します。

ディミニッシュって難しそう…

構える必要はないぞい。このBdim7はBb7とF7をつなぐ「橋渡し」みたいなもんじゃのう。実際のところ、Bb7のまま弾いても大きな問題にはならんぞい。ただ、ここでディミニッシュの響きを出せると一気にバップっぽくなるぞい
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7〜8小節目でターンアラウンドに向かう準備が始まる。7小節目はF7に戻り、8小節目でAm7 → D7というセカンダリードミナントの動きが入ります。Am7はFメジャーのIIIm7で、D7はGm7に向かうV7(セカンダリードミナント)。この8小節目の動きがあるおかげで、9小節目のGm7への進行が強力になります。
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9〜12小節目はターンアラウンド。Gm7 → C7(II-V)でFキーへの解決を準備し、11小節目でF7に着地します。11小節後半のD7は再びGm7に向かうセカンダリードミナントで、12小節目のGm7 → C7がターンアラウンドとして次のコーラスの頭につなぎます。

要するに、基本は普通の12小節ブルースなんじゃが、4小節目のII-V、6小節目のディミニッシュ、8小節目のIII-VI、ターンアラウンドのII-V。こういう「バップ的な装飾」が加わっておるのじゃ

普通のブルースを知ってれば、そこからの違いを覚えるだけでいいんだね!

その通りじゃぞい。12小節のブルース進行をまず体に入れて、パーカーがどこをいじったかを意識する。それが理解の近道なのじゃ
Billie’s Bounce のスケールガイド

博士、コード進行はわかったよ!で、スケールは何使えばいいの?

ふむ、いい質問じゃのう。ブルースだから実はシンプルなのじゃ

え、コードいっぱいあるのに?

まずは1つだけ覚えれば曲全体を乗り切れるぞい
まずはこれだけ覚える

いいかい、Billie’s BounceはFのブルースじゃから、Fブルーススケール1発でまず全体を通すのじゃ

Fブルーススケールって、F – Ab – Bb – B – C – Ebのやつ?

そうじゃぞい。この6音だけで12小節全部乗り切れる。ブルースの強みはそこでのう

ディミニッシュのところもそれでいいの?

いけるぞい。6小節目のBdim7の上でもFブルーススケールはぶつからんのじゃ。ターンアラウンドのII-Vも、最初はブルーススケールで突っ切って問題ないぞい

じゃあ最初はFブルーススケールだけ練習すればいいんだ!

うむ。それに加えてFミクソリディアンも弾けると幅が広がるのじゃ。ミクソリディアンはメジャースケールの7度がフラットしただけじゃから、Fメジャースケールを知っておれば簡単じゃぞい

Fブルーススケール+Fミクソリディアン、この2つでまずは勝負ってことだね

その通りなのじゃ。ブルーススケールでブルージーなフレーズを弾いて、ミクソリディアンで明るいラインを混ぜる。この2つの使い分けだけでかなりサマになるぞい
余裕が出たらコードごとに

ブルーススケール1発で通せるようになった!次は何を覚えればいい?

よし、ではコードごとにスケールを使い分ける方法を教えるぞい。バップらしいラインを弾くにはこれが大事なのじゃ
1〜3小節目:F7(I7)


F7にはFミクソリディアンが基本じゃぞい。F – G – A – Bb – C – D – Ebの7音でのう

メジャースケールの7度がEbになるだけだよね

そうなのじゃ。余裕があればFオルタードやFコンディミも使えるが、それはもっと先の話じゃのう。まずはミクソリディアンを自在に弾けるようになることが先決じゃぞい
4小節目:Cm7 → F7


4小節目のCm7はCドリアンじゃぞい。C – D – Eb – F – G – A – Bbでのう

Bb7に向かうII-Vだから、ここでCm7の色を出すとカッコいいの?

いいところに気づいたのう。Cm7 → F7 → Bb7のII-V-I進行を意識して弾くと、コード感のあるラインになるぞい。ただ最初のうちはここもFブルーススケールで通して構わんのじゃ
5〜6小節目:Bb7 → Bdim7


Bb7はBbミクソリディアンが基本じゃぞい。Bbメジャースケールの7度をAbにするだけでのう

6小節目のBdim7はどうすればいい?

Bdim7にはBディミニッシュスケール(ホールハーフ)が使えるんじゃが、正直この1小節のためにディミニッシュスケールを練習するのは効率が悪いぞい

じゃあどうするの?

コードトーンを狙うのが一番実戦的じゃのう。B – D – F – Abの4音を経過的に使えばそれだけで十分サマになるぞい。あるいはFブルーススケールのまま突っ切っても、ここは1小節だけじゃから大事故にはならんのじゃ
8小節目:Am7 → D7


ここがバップブルースの肝じゃぞい。Am7はAフリジアンが理論的には正しいが、Aドリアンで弾く方が実践的でのう

D7は?

Dミクソリディアンが基本じゃが、D7(b9)で弾くならDコンディミ(ハーフホール)が効果的なのじゃ。Gm7への解決感がぐっと強まるぞい

ここのII-Vをしっかり弾けると上手く聞こえそうだね

まさにそこがバップとただのブルースの分かれ目なのじゃ。Am7 → D7 → Gm7 → C7という連続II-Vをスムーズに弾けるようになったら、もうバッパーの仲間入りじゃぞい
9〜12小節目:Gm7 → C7 → F7 → ターンアラウンド


Gm7はGドリアン、C7はCミクソリディアン。FキーのII-Vじゃから、ここは最も基本的な形なのじゃ

ターンアラウンドの11〜12小節目は?

11小節目後半のD7はさっきと同じでDミクソリディアンかDコンディミ。12小節目のGm7 → C7も同じII-Vの繰り返しじゃぞい。つまり8〜12小節目は全部II-Vの連鎖なのじゃ

パターンが同じなら、1つ覚えればいろんなところで使い回せるんだ!

そこがブルースの良いところなのじゃ。同じII-Vのフレーズをキーを変えて当てはめるだけで、もうそれっぽく聞こえるぞい
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Gm7 → C7 → F7 → Gm7 C7)をそのままイントロにするのが最も一般的です。
ピアノやギターがF7一発でリズムを提示して、カウントからテーマに入るパターンもよく見ます。ブルースなのでイントロに凝る必要はなく、テンポとフィールが伝わればOKです。

テーマはユニゾンで弾くの?

そうじゃぞい。パーカーの録音でもテーマは管楽器のユニゾンで2コーラス弾いておる。セッションでは1コーラスのユニゾンでテーマを弾いて、すぐソロに入るのが普通じゃのう
テンポとフィール: セッションでは♩=160前後で演奏されることが多いです。
もともとパーカーの録音は♩=150くらいで、バップとしてはそこまで速くありません。ただし「アップテンポでやろう」と言われると♩=200近くまで上がることもあるので、普段から少しずつテンポを上げて練習しておくのが安心です。スウィングのフィールが基本で、ラテンに切り替えることはまずありません。
アウトロ: テーマを2コーラス(または1コーラス)弾いて、最後のF7でリタルダンドして終わるのが最もシンプルなパターンです。
11小節目のF7をフェルマータ気味に伸ばして終わることもあります。エンディングで悩むことはほぼない曲です。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 12小節と短いので、ソロは最低2〜3コーラスはもらえます。バップブルースはソロが長くなりがちで、4コーラス以上弾くことも珍しくありません。終わりたいときはフレーズを減らしてドラマーにアイコンタクトするか、ラストコーラスの頭で明確にテーマのモチーフを弾くと周りが察してくれます。
コード感を出す練習法: Billie’s Bounceでバップらしいソロを弾くコツは、コードトーンを意識することです。特に3度と7度を拍の頭に置く練習を、バッキングトラックと合わせてやると効果的です。ブルーススケール一発から脱却する第一歩は、コードが変わるタイミングで次のコードの3度か7度を狙うことです。

ブルーススケールだけだと飽きちゃうもんね

そうなのじゃ。ブルーススケールは安全じゃが、それだけではバップにはならん。コードトーンを骨格にして、その間をスケールで埋める。それがバップのフレーズ作りの基本じゃぞい
コール方法: 「Billie’s Bounceやりましょう」で通じます。キーは99%「F」です。「Fのブルース」と言うだけでも大体この曲かNow’s the Timeが選ばれます。テンポの希望がある場合は「ミディアムアップで」と添えると丁寧です。12キー全てでブルースを弾けるようになるのが理想ですが、まずはFとBbで確実に弾けるようにしておけば、セッションで困ることはほぼありません。
名演・参考音源

最後に参考音源を紹介しておくぞい。パーカーの音楽は、聴けば聴くほど発見があるからのう
Charlie Parker — The Charlie Parker Story (1945)
オリジナル録音にして、ビバップ史上最も重要な録音の一つ。パーカーの4コーラスのソロは、バップフレーズの教科書そのものです。Miles Davisのソロも若々しくて聴きどころ。Savoy盤には複数テイクが収録されているので、テイクごとのソロの違いを聴き比べるのも勉強になります。
Sonny Stitt — Stitt Plays Bird (1963)
パーカーの後継者と呼ばれたSonny Stittによるカバー。パーカーの語彙を受け継ぎつつ、よりスムーズに洗練されたラインが特徴です。パーカーのオリジナルと聴き比べると、同じ曲でもプレイヤーによってこんなに表情が変わるのかと実感できます。
Dexter Gordon — Our Man in Paris (1963)
テナーの巨匠Dexter Gordonによるパリ録音。レイドバックした太いトーンでブルースを吹いており、パーカーとはまた違ったブルースの味わいがあります。テンポもゆったりめで、ブルースのフレージングを耳で覚えるのに最適です。

まずはパーカーのオリジナルから聴いてみる!

うむ。できれば複数テイクを全部聴いてみるのじゃぞい。同じ曲を何度も録り直した中に、パーカーの即興のアイデアが詰まっておるからのう
関連曲ガイド
Billie’s Bounceを練習したら、次はこちらの曲もチェックしてみてください。
- Blue Bossa コード解析&セッションガイド — ボサノバの定番。マイナーII-V-Iの練習に最適です。
- Autumn Leaves コード解析&セッションガイド — メジャーとマイナーのII-V-Iが交互に出てくる構造。Billie’s Bounceで覚えたII-Vの感覚を別の文脈で使えます。
まとめ

なるほど、Billie’s Bounceって12小節のブルースにバップの装飾を加えた曲なんだね

そうじゃぞい。ブルースを知っていれば入り口は広いし、バップの語彙を積み上げればいくらでも深くなる。一生付き合える曲なのじゃ

まずはFブルーススケール1発で通して、そこからコードトーンを足していく…と

うむ、それでいいぞい。パーカーのソロを少しずつコピーしていけば、自然とバップのフレーズが身につくからのう

よし、今日からブルーススケールの練習始める!

…その前にテーマのメロディを歌えるようにするのが先じゃぞい。メロディも知らんのにソロだけ弾こうとするのは順番が逆じゃぞい

あっ…確かに!


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