Blue Bossa コード解析&セッションガイド

Blue Bossa の基本データ

項目 内容
曲名 Blue Bossa
作曲 Kenny Dorham
初出 Joe Henderson『Page One』(1963)
キー Cm
フォーム AB / 16小節
テンポ ♩=120-160
フィール Bossa Nova
セッション頻出度 ★★★★★
難易度 1/5

セッションに通い始めると、ほぼ確実に早い段階で出会う曲です。16小節でテーマもシンプル、初心者向けの筆頭格ですが、Dbへの転調というちゃんとした仕掛けがあって、ジャズの基本を学ぶ教材としてよくできています。

Kenny Dorhamが1963年にJoe Hendersonのデビューアルバム『Page One』のために書いた曲で、ボサノバとハードバップの融合を象徴する1曲です。

Blue Bossa のコード進行と機能分析

Aセクション(1-8小節)— Key: Cm

小節 1-2 3-4 5 6 7-8
コード Cm7 Fm7 Dm7(b5) G7(b9) Cm7
機能 Im7 IVm7 IIm7(b5) V7 Im7

Cm7から始まってFm7(IVm7)を経由し、Dm7(b5) → G7(b9)というマイナーII-VでCm7に戻ります。Fm7はCm7と近い色味なので、ここで特に構える必要はありません。G7のb9(Ab)がCmの暗い色合いを強調していて、解決がスムーズに決まります。

Blue Bossaのコード進行チャート
Blue Bossa コード進行一覧

Bセクション前半(9-12小節)— Key: Db に転調

小節 9 10 11-12
コード Ebm7 Ab7 Dbmaj7
機能 IIm7 V7 Imaj7

ここがこの曲の最大のポイントです。CmからDbメジャーへ、半音上のキーに転調します。Ebm7 → Ab7 → Dbmaj7はDbキーでのメジャーII-V-Iで、構造自体はAセクションのII-Vと同じです。

なぜ半音上なのかについては諸説あるみたいですが、ジョビンの作品にも似た手法が見られるので、ブラジル音楽からの影響かもしれません。理屈より耳で覚える方が実践的です。何度も聴いていると、9小節目でEbm7が鳴った瞬間に景色が変わる感覚がわかってきます。

Bセクション後半(13-16小節)— Key: Cm に戻る

小節 13 14 15 16
コード Dm7(b5) G7(b9) Cm7 Dm7(b5) – G7(b9)
機能 IIm7(b5) V7 Im7 IIm7(b5) – V7

Dbmaj7から突然Dm7(b5)に飛ぶので、ここの切り替えがもう一つの山です。12小節目のDbmaj7を弾いている間に「次はDm7(b5)だぞ」と準備するのがコツです。16小節目のDm7(b5) → G7(b9)は頭のCm7に戻るターンアラウンドです。

Blue Bossa のスケールガイド

Cm セクション

  • Cm7 → C Dorian(C, D, Eb, F, G, A, Bb)。Aeolianとの違いは6度がAかAbかだけ。Dorianの方がボサノバの明るさに合います。Fm7でもそのまま使えます
  • Dm7(b5) → D Locrian(D, Eb, F, G, Ab, Bb, C)。Eb(b9)を長く伸ばすと濁るので注意。Locrian #2(Eb→E)も試す価値あり
  • G7(b9) → G HW Diminished またはG Altered。b9のAbを意識して使うとマイナーへの解決感が強まります
Blue Bossaのスケールガイド
各コードの推奨スケール

Db セクション(9-12小節)

  • Ebm7 → Eb Dorian(Eb, F, Gb, Ab, Bb, C, Db)
  • Ab7 → Ab Mixolydian(Ab, Bb, C, Db, Eb, F, Gb)
  • Dbmaj7 → Db Ionian(Db, Eb, F, Gb, Ab, Bb, C)。正直ここは普通のIonianで十分です

実践的な考え方

最初は大きく2つのキーで捉えるほうが弾きやすいです。

  • 1-8小節、13-16小節 → Cマイナー(C Dorian) で通す
  • 9-12小節 → Dbメジャー(Db Ionian) で通す

転調部分はDbメジャーペンタトニック(Db, Eb, F, Ab, Bb)で乗り切るのも現実的です。ペンタなら外れる音がないので安全。慣れてきたらコードトーンに進むのが自然です。

セッションでの実践

イントロ

最も一般的なのは、ラスト4小節(Dm7(b5) → G7(b9) → Cm7 → Dm7(b5) G7(b9))をそのままイントロにするパターンです。ピアノがボサのリズムでこの4小節を弾き、テーマに入ります。

もう一つのパターンとして、ピアノやギターがCm7一発でボサのリズムパターンを2〜4小節弾いて、そのままテーマに入る方法もあります。シンプルですがこれで十分通じます。

テンポとフィール

セッションでは♩=130-140あたりが多い印象です。基本はボサノバの2フィールですが、ソロが盛り上がってくるとドラムが4ビートに切り替えることがあります。そうなったら合わせましょう。テーマに戻るときはボサに戻すのが自然です。

コンピング(ピアノ・ギター)

ボサノバのコンピングはシンコペーションを効かせつつ、あまりガチャガチャ弾きすぎないのがコツです。ボイシングはトップノートの動きを滑らかに。ギターは指弾きが理想ですが、セッションではピック弾きでも全く問題ありません。

ベースライン

ベースは2フィール(1拍目と3拍目にルートと5度)が基本です。ボサノバなので4ビートのウォーキングではなく、ルート→5度の動きを中心に。ソロが4ビートに移行したらウォーキングに切り替えます。

ソロの回し方

16小節と短いので、ソロは2〜3コーラスずつ回すのが普通です。初心者セッションでは「1コーラスずつ」と指定されることもあるので、ホストの指示に従ってください。

ソロの終わりは、ラスト数小節でフレーズを減らしていくか、次のソリストに目線を送るのが定番です。

転調で迷子にならないために

9小節目に入る直前(8小節目)でフレーズを一度切るのが効果的です。無理に繋げて迷子になるより、堂々とブレスを入れたほうがいいです。

初心者がよくやるミスは、転調に気づかずCmのまま弾き続けること。Ebm7の響きが鳴ったら「Dbに来た」と切り替える練習を、バッキングトラックで繰り返すのが確実です。

アウトロ

ラストテーマ最後のDm7(b5) → G7(b9) → Cm7をリタルダンドして、Cm7一発で終わるのが定番です。ピアノやギターがCm9あたりの響きで止めると収まりがいいです。

名演・参考音源

Joe Henderson — Page One (1963)

オリジナル録音。Kenny Dorham(tp)、McCoy Tyner(p)という布陣。テンポが程よくコード進行が聴き取りやすいです。McCoy Tynerのコンピングに注目するとボサノバでのピアノの役割がわかります。

Dexter Gordon — Bouncin’ with Dex (1975)

Dexterらしいレイドバックしたテナー。転調部分のフレーズ処理がシンプルで、初心者が最初にコピーするならこれがやりやすいです。ソロの出だしに注目。

Pat Martino — El Hombre (1967)

ギターで聴くならこれ。切れ味のあるシングルノートが美しく、管楽器の人もフレージングの参考になります。テンポ速めなのでゆっくりコピーするのがおすすめです。

日本のセッションで使えるTips

  • コール方法: 「Blue Bossa、Cマイナーで」と言えば通じます。テンポは「ミディアムで」でOK。転調キーを言う必要はありません
  • 初心者セッションの最頻出曲の一つです。Autumn Leaves、Fly Me to the Moonと並ぶ定番なので、真っ先に覚えて損はありません
  • ボーカルセッションではほぼ出てきません。インスト曲です
  • フロント楽器がいないとき、ピアノやギターがテーマのメロディを弾きます。メロディは音域も狭くシンプルなので、事前に覚えておくと重宝します
  • セッションによっては「ボサノバ縛り」の回があったりしますが、Blue Bossaは確実に候補に上がります。Recado BossaやWaveと一緒に覚えておくといいです

まとめ

Blue Bossaは16小節、コード進行もシンプルで、セッション初心者が最初に取り組む曲として最適です。唯一の壁はBセクションのDb転調ですが、メジャーII-V-Iだと理解すればそこまで怖くありません。この転調の切り替えを練習しておくと、他の曲(Stella by Starlightなど転調が多い曲)でも応用が利くので、丁寧に取り組む価値のある曲です。

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