Fly Me To The Moon コード解析&セッションガイド

Fly Me To The Moon eyecatch v3 スタンダード解析
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Fly Me To The Moon コード進行 解析|セッション最頻出のド定番を攻略する

ぴょん吉
ぴょん吉

博士〜!今回はFly Me To The Moonだよね?セッション行くとほぼ毎回誰かやってる気がするんだけど

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。この曲はセッションの定番中の定番なのじゃ。初心者がまず1曲覚えるなら、Autumn Leavesかこの曲かというくらいのド定番ぞい

曲の基本データ

項目 内容
曲名 Fly Me To The Moon(フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン)
作曲 Bart Howard(1954)
原題 In Other Words
キー C / Am(セッションではBb、Abも使われます)
フォーム ABAB / 32小節
テンポ ♩=120〜180 Medium Swing
セッション頻出度 ★★★★★
難易度 ★☆☆☆☆

1954年にBart Howardが書いた曲で、もともとのタイトルは”In Other Words”です。Frank Sinatraが1964年にCount Basie Orchestraと録音して大ヒットし、この録音はアポロ10号・11号の月周回ミッションで実際に宇宙で流されたそうです。

ぴょん吉
ぴょん吉

え、本当に宇宙で流れたの? タイトルが「月に連れてって」だからってこと?

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。NASAの宇宙飛行士がカセットテープで持ち込んだそうじゃのう。「月に飛ばして」という曲が本当に月の周りで鳴っていたと思うと、なかなか粋な話じゃのう

セッションに行けばほぼ確実に誰かがコールする曲なので、Autumn Leavesと並んで最初に覚える候補として間違いありません。


Fly Me To The Moon のコード進行と分析

S004 chord chart

基本はCメジャーですが、Bm7(b5)→E7(b9)→Am7はAマイナーのII-V-Iで、平行調のAマイナーとの行き来が曲の骨格になっています。CメジャーのII-V-I(Dm7→G7→Cmaj7)とAマイナーのII-V-I(Bm7(b5)→E7(b9)→Am7)が交互に現れる構造なので、II-V-Iフレーズの練習台としてこれ以上の曲はありません。

ぴょん吉
ぴょん吉

CメジャーとAマイナーが両方出てくるって、キーが2つあるってこと?

ぽん太博士
ぽん太博士

いい質問じゃのう。CメジャーとAマイナーは「平行調」と言って、使う音が全部同じなのじゃ。ドレミファソラシドとラシドレミファソラ、同じ音の並びをどこから始めるかの違いぞい。だからこの曲は2つのキーを行ったり来たりしているように見えて、実は同じ音の世界の中にいるのじゃ

フォームはABABの32小節で、AとBの違いは後半の数小節だけです。

  1. Am7 → Dm7 → G7 → Cmaj7(VI-II-V-I)が骨格。この流れが手を変え品を変え繰り返されます。曲全体がほぼこのパターンでできているので、この進行さえ身体に入っていれば大枠は問題ありません。

  2. Bm7(b5) → E7(b9) → Am7は平行調AマイナーのII-V-I。CメジャーのII-V-I(Dm7→G7→Cmaj7)と対になる進行で、曲中に繰り返し登場します。「唯一の例外」ではなく曲の骨格の片方です。ここをAマイナーのII-V-Iとして意識できるかどうかで演奏の説得力が変わります。

  3. Am7 → A7の切り替え。Am7(ダイアトニック)からA7(セカンダリードミナント)に変わって、次のDm7を強く引っ張ります。A7はDm7に対するV7です。

ぴょん吉
ぴょん吉

Am7からA7に変わるところ、楽譜を見てると一瞬「あれ、間違い?」って思っちゃうんだけど

ぽん太博士
ぽん太博士

初心者あるあるじゃのう。Amのmが取れてメジャーになるだけで、響きがガラッと変わるぞい。A7になった瞬間にC#が入って、次のDm7にぐいっと引っ張る力が生まれるのじゃ。セカンダリードミナントと呼ぶぞい

  1. 11小節目のF7。ダイアトニックのFmaj7(IVmaj7)ではなくF7(IV7)が使われます。ブルージーな響きのIV7として機能しています。裏コード的に解釈する人もいるようですが、正直ここは諸説あるみたいです。自分はあまり深く考えず通過しています。
ぴょん吉
ぴょん吉

F7って、なんでmaj7じゃなくてドミナント7thになるの?

ぽん太博士
ぽん太博士

これはのう、理論で完璧に説明しようとすると諸説入り乱れる厄介なやつなのじゃ。ブルースのIV7から来ているという説もあれば、裏コード的だという人もおる。ワシは「ブルージーな味付け」くらいに捉えて、深追いせず通過しておるぞい

  1. AとBの違い。Bセクションの11〜12小節がEm7 → A7になること、15小節目がC6で終わること。この2点だけ押さえれば問題ありません。

Fly Me To The Moon のスケールガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士、スケールの話に入ろう。Cメジャーの曲だから、スケールも簡単でしょ?

ぽん太博士
ぽん太博士

基本はそうじゃのう。じゃが、E7(b9)とA7のところだけ注意が必要ぞい。ここだけCメジャーから外れる音が入るのじゃ

まずはこれだけ覚える

ぴょん吉
ぴょん吉

まずはざっくり、どういう方針で弾けばいいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

この曲はCメジャーとAマイナーの行き来で構成されておるじゃろ? じゃが、CメジャースケールとAナチュラルマイナースケールは構成音が全く同じなのじゃ。だから結論としては、Cメジャースケールをベースにすればかなりの部分をカバーできるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

え、じゃあほとんどCメジャーだけで弾けるってこと?

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。Am7、Dm7、G7、Cmaj7、Fmaj7、Em7、これは全部Cメジャーのダイアトニックコードじゃからのう。スケールを切り替えなくてもそれなりに成立するぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

じゃあ注意が必要なのはどこ?

ぽん太博士
ぽん太博士

E7(b9)とA7の2箇所だけなのじゃ。E7(b9)ではG#が入るから、CメジャースケールのGナチュラルのままだとぶつかる。A7ではC#が入るから、ここも素のCメジャーだと合わんのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

じゃあ「E7(b9)が来たらG#、A7が来たらC#」って覚えればいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

それで十分じゃぞい。最初のうちはその2音だけ意識しておけばよい。コードトーンを追いかけるだけでも音楽的になるから、コードごとにスケールを完璧に切り替えることを最初の目標にする必要はないぞい

余裕が出たらコードごとに

ダイアトニック系コード(Cmaj7, Dm7, Am7など)

ぴょん吉
ぴょん吉

じゃあ、もう少し細かくコードごとに見ていこうよ。まずはダイアトニック系のコードからだよね?

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。まずはCメジャーのダイアトニックに収まるコード群なのじゃ。Cmaj7、Dm7、Am7、Fmaj7、Em7、G7。これらは全部Cメジャーの音だけで弾けるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

全部Cメジャースケールの音でいけるんだ。コードごとに違うスケール名がついてるけど、結局同じ音なんだよね?

ぽん太博士
ぽん太博士

その通りじゃのう。Dドリアン、Aエオリアン、Fリディアン、Eフリジアン、Gミクソリディアン……名前は違うが、構成音はどれもCメジャースケールと同じなのじゃ。モードの名前に振り回される必要はないぞい。大事なのはコードトーンを意識することじゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

とはいえ、コードごとの使い分けポイントがあるなら知りたいな

ぽん太博士
ぽん太博士

よかろう。まずCmaj7はCイオニアンが基本なのじゃ。リディアンも使えるが、F#がメロディとぶつかる箇所があるから慣れるまではイオニアンが無難ぞい。Dm7はDドリアンで、Cmaj7との橋渡しが自然じゃからこの曲で一番使いやすいスケールじゃのう

ぴょん吉
ぴょん吉

Am7とFmaj7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

Am7はAエオリアンなのじゃ。Aドリアンにすると少し明るくなるが、この曲の雰囲気にはエオリアンが合うと思うぞい。好みの範囲じゃがのう。Fmaj7はIVmaj7だからリディアンが理論上の第一候補じゃが、Fイオニアンでも全く問題ないぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Em7とG7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

Em7はEフリジアンじゃが、実質Cメジャースケールの範囲内なのじゃ。G7はGミクソリディアンが基本で、解決前にGオルタードやGコンディミを混ぜるとテンションが増すぞい。ただし、ここまでのコードは全部Cメジャーの音じゃから、そこまで神経質にならんでよいのじゃ

マイナーII-V-I(Bm7(b5)→E7(b9)→Am7)

ぴょん吉
ぴょん吉

ここからが本番だよね。さっき言ってた要注意のコード

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。Bm7(b5)→E7(b9)、ここがAマイナーのII-V-Iなのじゃ。CメジャーのII-V-I(Dm7→G7→Cmaj7)と対になる、この曲のもう1つの柱ぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Bm7(b5)はどう弾けばいいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

Bロクリアンなのじゃ。ただし注意点があるぞい。b2のC音がルートBの半音上で、短2度の不協和が生まれるのじゃ。経過音として通過するぶんには問題ないが、そこに長く留まると響きが濁るから気をつけるのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

E7(b9)はスケールの選択肢が多くて迷うんだけど……。コンディミ? オルタード?

ぽん太博士
ぽん太博士

b9が指定されておるからEコンディミが自然じゃのう。理論的にはEミクソリディアンが第一候補で、そこにb9のF音を加える解釈も実践的じゃのう。オルタードだとさらに外側の響きになるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

E7(b9)のところ、結局どのスケールが一番使いやすいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

迷ったらAハーモニックマイナースケールをE音から弾くのじゃ。b9のF音が自然に含まれるから、理屈を考えずとも指が正しい音を押さえてくれるぞい

セカンダリードミナント(A7)

ぴょん吉
ぴょん吉

なるほど。で、最後のA7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

A7はDm7に解決するセカンダリードミナントなのじゃ。基本はAミクソリディアンで、C#を意識するだけでええぞい。Dm7への解決をもっと強くしたいときはAオルタードを混ぜると効果的じゃが、まずはC#だけ押さえておけば十分じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

まとめると、ダイアトニック系はCメジャー、Bm7(b5)→E7(b9)はAハーモニックマイナー的に捉える、A7はC#だけ意識。これでいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

完璧じゃのう。お前さん、飲み込みが早いのう


演奏時のポイント

イントロ: ラスト4小節を使うのが最も一般的です。Dm7 → G7 → C6 → Bm7(b5) E7(b9)をピアニストが弾いて、Am7(テーマ頭)に入ります。シンプルに4カウントで始めることもあります。

テンポとフィール: セッションでは♩=140〜160あたりが多い印象です。元が歌モノなので、Autumn Leavesほどテンポが上がることは少ないです。たまにボサノバでやることもあります。

アウトロ: Dm7 → G7のリピートで回して、誰かがテンポを落とし始めたら全員で合わせてCmaj7に着地する流れが多いです。エンディングの打ち合わせがないことがほとんどなので、流れに乗るのが一番安全です。

ぴょん吉
ぴょん吉

エンディングって打ち合わせしないの? 急に終わったらどうしよう

ぽん太博士
ぽん太博士

心配いらんぞい。周りをよく聴いておれば、ドラムがリット(テンポを落とすこと)し始めるのがわかるはずじゃぞい。それに乗ってCmaj7に着地すれば大丈夫じゃぞい。焦って変なことをするよりも、流れに身を任せるのが一番安全ぞい


実践で使えるTips

キーについて: セッションではKey=Cが圧倒的に多いです。管楽器奏者がBbでコールすることや、ボーカルセッションでAbに変わることもありますが、インストセッションならまずCで来ます。

ソロの回し方: 32小節で1〜2コーラスずつが基本です。この曲はII-V-Iの繰り返しなので、最後のII-Vでフレーズを収束させると次の人にきれいに渡せます。

コール方法: 「フライミー」で通じます。キーを聞かれたら「Cで」と答えれば大丈夫です。初心者枠での超定番なので、この曲を1曲仕上げておくだけでセッションデビューのハードルが一気に下がります。

ソロで困ったら: コードトーンだけで弾くのが有効です。Am7ならA-C-E-G、Dm7ならD-F-A-C。スケールを走り回るより音楽的に聞こえます。II-V-Iのフレーズを1つ覚えて使い回すのもおすすめです。Dm7→G7→Cmaj7の進行は曲中に何度も出てくるので、同じフレーズを場所を変えて弾くだけでも形になります。このii-V-Iの練習にはBlue Bossaのようなシンプルな曲で基礎を固めるのも効果的です。

ぴょん吉
ぴょん吉

コードトーンだけで弾くって、なんか地味じゃない?

ぽん太博士
ぽん太博士

いやいや、それが一番大事なことなのじゃ。プロの演奏をよく聴いてみるがよい。コードトーンをきっちり押さえた上で、その間をスケールで埋めておるのじゃ。土台なしにスケールを走り回っても、ただ音が多いだけで中身のないソロになるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

たしかに、速いパッセージ弾いてるのにあんまり響かない人と、少ない音でもグッとくる人っているよね

ぽん太博士
ぽん太博士

そういうことなのじゃ。まずはコードトーンだけで1コーラス歌えるようになれ。それができたら、自然とスケールの使い方も見えてくるぞい


名演・参考音源

Frank Sinatra — It Might as Well Be Swing (1964)

この曲といえばまずこの録音です。Count Basie Orchestraとの共演で、スウィング感の教科書みたいなテイクです。テーマのフレージングの参考になります。

Grant Green — Talkin’ About! (1964)

ギタートリオでの演奏です。シングルノートのソロがシンプルで、コードトーンの使い方の手本になります。ギタリストでなくても、アドリブの組み立て方を学ぶならこれがおすすめです。

Oscar Peterson Trio — We Get Requests (1964)

ピアノトリオの名演です。テンポが速めで、アップテンポでの処理の仕方が参考になります。Ray Brownのウォーキングベースも必聴です。

Astrud Gilberto — The Astrud Gilberto Album (1965)

ボサノバアレンジでの録音です。歌モノセッションでボサノバに変える人がたまにいるので、そのパターンの参考になります。

ぴょん吉
ぴょん吉

こうやって聴き比べると、全部1964〜65年に集中してるんだね。Sinatraの録音がきっかけで一気に広まったんだ

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。Sinatraのヒットでジャズメンもこぞって取り上げるようになったのじゃ。Grant Greenのシンプルなソロは、お前さんが最初にコピーする音源としてもおすすめぞい。コードトーン中心で組み立てておるのがよくわかるはずじゃぞい


関連曲ガイド

Fly Me To The Moonが弾けるようになったら、次のステップとしておすすめの曲を紹介します。

  • Autumn Leaves — 同じくii-V-Iが骨格の超定番曲。Fly Me To The Moonとの違いは、マイナーキーがメインになる点です。CメジャーのII-V-Iに慣れたら、マイナーキーのII-V-Iも体験しておくとソロの引き出しが広がります。
  • Blue Bossa — ボサノバのリズムでii-V-Iを練習できる曲。Fly Me To The Moonをボサノバで演奏する機会もあるので、ボサノバフィールに慣れておくと対応力が上がります。

まとめ

Fly Me To The Moonは、CメジャーのII-V-IとAマイナーのII-V-Iが交互に現れるシンプルな構造の曲です。CメジャーとAマイナーは平行調で構成音が同じなので、まずはCメジャースケールとコードトーンだけで1コーラス通せるようになれば、セッションには十分参加できます。E7(b9)とA7の箇所だけ気をつければ、あとは少しずつスケールやフレーズを足していけば十分です。

ぴょん吉
ぴょん吉

この曲って、シンプルだからこそ奥が深いんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。II-V-Iの基本がぎっしり詰まっておるから、この曲でやったことは他の曲にも全部活きてくるぞい。まずは1コーラス、コードトーンだけで気持ちよく歌えるところを目指すのじゃ。お前さんならすぐできるぞい

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