Solar コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!セッションで「Solarやろう」って言われたんだけど、12小節って聞いてブルースだと思って弾いたら全然違った…

おお、それはSolarあるあるじゃのう。この曲は12小節なのにブルースではない、珍しい形式なのじゃ

12小節なのにブルースじゃないの!?

そうなのじゃ。中身はII-V-Iがぎっしり詰まった「II-Vの練習マシン」じゃぞい。この曲を攻略すればII-Vの対応力が一気に上がるぞい
Solar の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Solar(ソーラー) |
| 作曲 | Miles Davis (1954) ※原曲には諸説あり |
| キー | Cm(Cマイナー開始) |
| フォーム | 12小節(単一形式) |
| テンポ | ♩=130–220 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★★☆☆ |

クレジット上はMiles Davisの作曲で、1954年のアルバム「Walkin’」で初録音されたのじゃ。ただし実は、ギタリストのChuck Wayneが1946年に書いた「Sonny」という曲が原型だという説が有力でのう。Wayneの録音が後年見つかって、メロディがほぼ同じだったのじゃ

え、Milesの曲じゃないかもしれないの?

Milesは冒頭のメジャーコードをマイナーに変えるなど手を加えて自分名義で発表した、と言われておるのじゃ。このあたりは諸説あるがのう。曲自体の素晴らしさは変わらんぞい
Solar のコード進行と分析

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1〜2小節目のCm6がトニックです。12小節形式なのにブルースではない、というのがSolar最大の特徴です。ブルースなら5小節目にIV7が来ますが、この曲はまったく別の道を進みます。
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3〜4小節目のGm7→C7はFメジャーへのII-Vです。CmのキーにいたはずのGm7が、次の瞬間にはFメジャーのIIm7として機能します。Cm→Fメジャーへの転調が、たった2小節で完了するスピード感がこの曲らしさです。
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5〜6小節目のFmaj7で最初の着地です。Cマイナーの暗さからFメジャーの明るさへ。ここが12小節の中で一番開けた場所です。
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7〜9小節目のFm7→Bb7→Ebmaj7はEbメジャーへのII-V-Iです。注目は直前とのつながりで、Fmaj7が同じルートのFm7に変わった瞬間、次のキー(Eb)のIIm7に切り替わる仕掛けです。

メジャーコードがそのままマイナーになって、次のキーのII-Vが始まるんだ!

そうじゃぞい。ルートが動かんからスムーズに聞こえるのに、キーは全音下に降りておるのじゃ。よくできた仕掛けじゃのう
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10〜11小節目のEbm7 Ab7→Dbmaj7で同じ仕掛けがもう一度です。Ebmaj7がEbm7に変わり、Dbメジャーへ降りていきます。キーがF→Eb→Dbと全音ずつ下降していく構造で、II-V-Iを3つの調で連続練習できる作りです。
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12小節目のDm7b5→G7b9はCmへ帰るマイナーII-Vです。Dbmaj7から半音上のDm7b5へ持ち上げて、G7b9で頭のCm6へ戻ります。12小節がきれいにループするターンアラウンドです。

Cm→F→Eb→Db→Cmって、1コーラスで4つもキーを旅するんだね

それが「II-Vの練習マシン」と呼んだ理由なのじゃ。たった12小節にII-V-Iが3つとマイナーII-Vが1つ。教材として完璧じゃぞい
Solar のスケールガイド

博士、キーが4つもあるってことは、スケールも大量に覚えないとダメ?

安心するのじゃ。実はメジャースケール3つとCマイナー系1つ、合計4つで12小節すべてカバーできるのじゃ
まずはこれだけ覚える

整理するとこうじゃぞい。1〜2小節のCm6はCドリアン。3〜6小節のGm7、C7、Fmaj7はぜんぶFメジャースケール。7〜9小節のFm7、Bb7、Ebmaj7はぜんぶEbメジャースケール。10〜11小節のEbm7、Ab7、Dbmaj7はぜんぶDbメジャースケールなのじゃ

II-V-Iって、着地するキーのメジャースケール1本で通せるんだっけ?

その通りじゃぞい。II-V-Iは3つのコードがすべて同じキーの音でできておるからのう。だからSolarは「Fメジャー→Ebメジャー→Dbメジャー」と2小節〜3小節ごとにスケールを持ち替えるだけでいいのじゃ

最後の12小節目のDm7b5→G7b9は?

そこは最初は無理せんでいいぞい。フレーズをひと休みして、頭のCm6に戻る準備をする場所にするのじゃ。「Dbまで降りたら、あとは帰るだけ」と覚えておけばええんじゃぞい

メジャースケール3つ+Cドリアン、それで1周できるんだ。思ったより手が届きそう!
余裕が出たらコードごとに

慣れてきたら次は何をすればいい?

コードごとの色付けじゃのう。前半と後半に分けて見ていくぞい
前半(1〜6小節):Cm → F


Cm6はCドリアンが基本じゃが、Cメロディックマイナーもよくハマるのじゃ。Cm6にはA音(6th)が入っておるからのう、AとBの両方を持つメロディックマイナーだと6thコードらしい浮遊感が出るぞい

Gm7→C7のところは?

Gm7はGドリアン、C7はCミクソリディアン。どちらもFメジャースケールと同じ音じゃから、実質持ち替えなしじゃぞい。C7で色を付けたくなったらオルタードという手もあるがのう、まずはミクソリディアンで十分なのじゃ

Fmaj7は普通にFイオニアンでいいの?

うむ、イオニアンでいいぞい。2小節あるから、余裕が出たらFリディアン(B音)を混ぜるとモダンな響きになるのじゃ
後半(7〜12小節):Eb → Db → ターンアラウンド


Fm7はFドリアン、Bb7はBbミクソリディアン、Ebmaj7はEbイオニアン。つまりEbメジャースケール1本じゃのう。同様にEbm7はEbドリアン、Ab7はAbミクソリディアン、Dbmaj7はDbイオニアンで、Dbメジャースケール1本じゃぞい

12小節目のDm7b5→G7b9は、余裕が出たら何を使うの?

Dm7b5はDロクリアン、G7b9はコンディミ(HWディミニッシュ)かオルタードじゃのう。特にG7b9のb9(Ab音)を入れると、Cmへ帰る引力がぐっと強まるのじゃ

前半で出てきたFmaj7と、後半のFm7を弾き分けるコツはある?

A音とAb音の違いを意識するのじゃ。Fmaj7ではA(長3度)、Fm7ではAb(短3度)。この半音1個の切り替えが決まると、転調が「聞こえる」ソロになるぞい
演奏時のポイント
イントロ: 決まった定番はとくにありません。Cm6を4小節ヴァンプするか、ラスト2小節相当のDm7b5→G7b9からテーマに入るのが無難です。ピアノトリオではルバートで入る演出もよく聴きます(このあたりはバンド次第で、諸説あります)。
テンポとフィール: ♩=130〜220と幅広く、ミディアムスウィングが標準です。速いテンポで呼ばれることも多いので、まずは♩=140前後で12小節の形を体に入れるのがおすすめです。
アウトロ: ラスト2小節(Dm7b5→G7b9)を繰り返してからCm6で終わるか、Cm6ワンコードのヴァンプでフェードアウトするのが定番です。

12小節って短いから、テーマもすぐ終わっちゃうね

そうじゃのう。じゃからテーマを2回演奏してからソロに入るバンドも多いのじゃ。カウントの時に確認しておくと安心じゃぞい
実践で使えるTips
ソロの回し方: 1コーラスが12小節しかないため、ソロは1人あたり4〜6コーラス以上回るのが普通です。ブルースの感覚で3コーラスで終わると短く感じられることもあります。
ロスト対策: この曲はロストしやすい曲の代表格です。12小節×多コーラスで今どこにいるか分からなくなったら、5小節目のFmaj7(明るく開ける場所)と11小節目のDbmaj7(最後の着地)を目印にしましょう。伴奏側はDm7b5→G7b9の「帰り道」をはっきり弾いてあげると、全員が迷子になりにくくなります。

ぼく、ソロ中に自分が何コーラス目か分からなくなるんだよね…

みんな通る道じゃぞい。「キーが降りきったら帰る」というこの曲の地形を覚えておけば、音を聴くだけで現在地が分かるようになるのじゃ
コール方法: 「Solar(ソーラー)」で通じます。キーはほぼ100%Cmです。II-Vの持ち替え練習にはFour、モードの対極を知るにはSo Whatと合わせて聴くと、Milesの引き出しの広さがよく分かります。
名演・参考音源

参考音源じゃぞい。まずは本家、そしてこの曲を「育てた」ピアニストたちの名演を選んだのじゃ
Miles Davis — Walkin’ (1954)
Solarの初録音です。ミュートトランペットによるテーマの歌わせ方、12小節をどう区切って吹いているかに注目してください。まずはこの演奏で曲の原型を覚えるのが近道です。
Bill Evans Trio — Sunday at the Village Vanguard (1961)
Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)との伝説的トリオによるライブ録音です。長尺のSolarで、12小節のループの上でモチーフがどこまで発展できるかを教えてくれます。ロスト対策の「耳の目印」を作る教材としても最高です。
Keith Jarrett Trio — Live in Japan 93/96 (1993)
Gary Peacock(b)、Jack DeJohnette(ds)とのスタンダーズ・トリオが、1993年東京公演でSolarから自作「Extension」へなだれ込む長編演奏です。12小節という小さな器から音楽がどこまで広がるかという実例です。

同じ12小節なのに、3つとも全然違う世界だね!

それがこの曲の器の大きさじゃのう。シンプルな地図ほど、旅人の個性が出るのじゃ
関連曲ガイド
- So What コード解析&セッションガイド — 同じMiles Davisの代表曲です。II-Vだらけの Solar と、II-Vのない So What。対で聴くとMilesの二つの顔が見えます。
- Four コード解析&セッションガイド — 同じくMiles名義で原作者に諸説ある曲です。II-Vの持ち替え練習という点でもSolarの兄弟分です。
まとめ

12小節なのにブルースじゃなくて、Cm→F→Eb→DbってキーがII-Vで降りていく。スケールはメジャー3つ+Cドリアンでカバー!

完璧なまとめじゃぞい。この曲でII-Vの持ち替えを体に入れれば、他のスタンダードのII-Vが全部簡単に見えてくるのじゃ

あとは何コーラス目か見失わないように、Fmaj7とDbmaj7の目印を聴く!

うむ。短い曲ほど気を抜くとロストするからのう。まずはWalkin’のテーマを口ずさめるようになってから、ゆっくりのテンポで12小節を1周してみるんじゃぞい


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