My Funny Valentine コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!My Funny Valentineってバラードの定番だって聞いたんだけど、コード進行がちょっと複雑そうで…

おお、バラードの中でも特に人気の高い1曲じゃぞい。Richard Rodgersが1937年に書いた曲でのう

1937年!90年近く前の曲なんだ

それが今でもセッションで毎週のように演奏されておるんじゃから、名曲の力は凄いのう。Chet Baker、Miles Davis、Bill Evans…名演が山ほどあるぞい
My Funny Valentine の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | My Funny Valentine(マイ・ファニー・ヴァレンタイン) |
| 作曲 | Richard Rodgers (1937) |
| キー | Cm(Ebメジャーの平行マイナー) |
| フォーム | AABA / 36小節 |
| テンポ | ♩=55–80 |
| フィール | Ballad |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

36小節という珍しいフォームなのじゃ。通常のAABAは32小節だが、この曲はAセクションが8小節×2、Bセクションが4小節、最後のA’セクションが16小節で計36小節になるんじゃのう

36小節!数え間違えそう…

最後のA’が長いんじゃぞい。でもメロディを知っていれば自然と追えるから、まずはテーマをしっかり覚えることじゃのう
My Funny Valentine のコード進行と分析

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Aセクションの最大の特徴はクロマチック下行。Cm → Cm(maj7) → Cm7 → Cm6で、ベースラインがC → B → Bb → Aと半音ずつ下降。この動きがこの曲の顔であり、バラードの切なさを生んでいます。
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Aセクション後半はAbmaj7 → Fm7 → Dm7(b5) → G7(b9)。AbmajはEbキーのIV、Fm7はIImで、一瞬Ebメジャーの明るさが差し込み、Dm7(b5) → G7(b9)のマイナーII-V-IでCmに解決します。

クロマチック下行って、聴くとすごく「ああ、この曲だ!」ってなるよね

じゃろう?C → B → Bb → Aというベースの動きは、弾いてみるとぞくっとするほど美しいのじゃ。コンピングする人はこの内声の動きを意識してボイシングを組むと、ぐっと雰囲気が出るぞい
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Bセクション(4小節)はEbメジャーの世界です。Ebmaj7 → Fm7 → Gm7 → Fm7の2回繰り返しです。Aセクションのマイナーから一転、明るく開放的な4小節です。
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最後のA’セクション(16小節)がクライマックスです。冒頭のEbmaj7 → G7(b9)でCmの世界に引き戻されます。6小節目あたりのCm7 → Bbm7 → A7は裏コード(トライトーンサブスティテューション)を含む高度な進行です。最後はDm7(b5) → G7(b9) → Cmaj7で解決します。メジャー終止かマイナー終止かは演奏者次第です。

A’セクションが16小節もあるから、ここでドラマを作るのがこの曲の醍醐味なのじゃ。バラードでは小さく始めて徐々に盛り上げる「ビルドアップ」が重要じゃぞい

なるほど、最後に向かって盛り上がっていく感じなんだ

そうじゃぞい。Miles Davisのライブ音源を聴くと、A’セクションでの音量の上げ方が絶妙でのう。静と動のコントラストが凄いのじゃ
My Funny Valentine のスケールガイド

博士、クロマチック下行のところってどんなスケール使えばいいの?

実はそこが面白いところでのう。ベースが半音で動く上で、メロディ側はそんなに複雑なことをしなくていいんじゃ

そうなの?

まずは2つのスケールで考えるのが楽じゃぞい
まずはこれだけ覚える

AセクションはCドリアン1発、BセクションはEbメジャースケール(Ebイオニアン)。この2つで基本はカバーできるぞい

Blue Bossaと同じパターンだ!CmとEbの切り替え

鋭いのう。CドリアンとEbメジャースケールは構成音が同じじゃから、実質「同じ音を使っているけど中心音が違う」という関係なのじゃ

あ、ほんとだ!C D Eb F G A Bb = Eb F G Ab Bb C D…あれ、Abが入るのはイオニアンの方?

そこじゃぞい。CドリアンはA音、EbイオニアンはAb音。実はこの1音だけ違うんじゃが、まずはあまり気にせずCドリアンベースで弾いてみるのが早いぞい

なるほど、細かい違いは後回しにしていいんだね

そうじゃのう。バラードは「音を外さないこと」より「歌心」が大事じゃからのう
余裕が出たらコードごとに

クロマチック下行のところ、もう少し深掘りしたくなってきた

よし、ではAセクションのコードごとに見ていこうかのう
Aセクション(1〜8小節 / 9〜16小節):Cmキー


Cm → Cm(maj7) → Cm7 → Cm6の流れ、スケール的にはこう考えるのじゃ。Cmの上ではCドリアン、Cm(maj7)の上ではCメロディックマイナーがぴったりなのじゃ

メロディックマイナーって難しそう…

C D Eb F G A B C じゃ。ドリアンとの違いはBb音がB音になるだけでのう。Cm(maj7)のmaj7の音がB音だから、それに合わせているだけじゃぞい

1音だけの違いなんだ!

そうなのじゃ。Cm7に戻ったらBbに戻す。Cm6のA音はドリアンにもともと入っている音でのう。つまりベースラインに合わせてB音とBb音を切り替えるだけの話なんじゃぞい

それなら対応できそう!

5小節目のAbmaj7はAbリディアン(D音を含む)。EbメジャースケールのAbから始めたものじゃのう。Fm7はFドリアン。そしてDm7(b5) → G7(b9)はマイナーII-V。G7(b9)にはGコンディミが定番じゃぞい
Bセクション(17〜20小節):Ebメジャー


Bセクションは4小節しかないんだよね?

そうじゃぞい。Ebmaj7 → Fm7 → Gm7 → Fm7が2回。全部Ebメジャースケールの中の音でのう。ここは何も考えずにEbメジャースケールで弾けば問題ないのじゃ

4小節だけ明るい世界に行って帰ってくるんだね

その「明るい4小節」がAセクションの暗さとのコントラストを生むのじゃ。ここで少し解放される感覚を楽しむんじゃぞい
演奏時のポイント
イントロ: ピアノがCm → Cm(maj7) → Cm7 → Cm6のクロマチック下行を2小節弾いてテーマに入るのが最も一般的です。このイントロだけで全員が曲を認識できます。

クロマチック下行がそのままイントロになるんだ

この曲の顔じゃからのう。ピアノやギターの人はこのボイシングだけは必ず覚えておくべきじゃぞい
テンポとフィール: ♩=60前後のバラードが基本。ルバートで始めて途中からインテンポに入るパターンもよくあります。
アウトロ: Dm7(b5) → G7(b9) → Cmで着地。Cmaj7で終わるピカルディ終止も定番。リタルダンドして静かに終わるのが自然です。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 36小節のAABA’。バラードなので1〜2コーラスが一般的。A’セクションに向けて徐々に音数を増やすビルドアップがこの曲のセオリーです。
フォームの数え方: A(8) + A(8) + B(4) + A'(16) = 36です。Bが4小節しかなく、A’が16小節と長いため迷いやすいです。テーマを暗記していれば自然と追えるので、メロディの把握が最優先です。

A’が16小節って長いね…見失いそう

コツは、A’の中で「前半8小節」と「後半8小節」に分けて考えることじゃぞい。前半が盛り上がり、後半がクライマックス→着地、というイメージで捉えると迷子になりにくいのじゃ
コール方法: 「My Funny Valentine」または「ファニバレ」で通じます。キーは99% Cm。テンポは言わなくてもバラード前提ですが、「バラードで」と添えると確実。
Mistyと並ぶバラードの定番で、Softly As in a Morning Sunriseと同じくマイナーキーのスタンダード。
名演・参考音源

バラードの名演は山ほどあるが、まずはこの3つを聴いてほしいのじゃ
Chet Baker — Chet Baker Sings (1954)
Chet Bakerの歌とトランペット両方が聴ける代名詞的名演です。柔らかく繊細な表現は「バラードの歌い方」の教科書です。楽器奏者も必聴です。
Miles Davis — Cookin’ / My Funny Valentine (1964 Live)
1964年Lincoln Centerライブ録音です。静かに始まりA’に向けて凄まじいビルドアップを見せる、ダイナミクスの教科書です。
Bill Evans — Alone (1968)
ピアノソロ演奏です。クロマチック下行のボイシングの美しさが際立ちます。コンピングする人はEvansの和音の選び方が直接参考になる1枚です。

Chet Bakerの歌声、好きなんだよね

あの儚さがこの曲にぴったりなのじゃ。何度聴いても胸に来るぞい
関連曲ガイド
- Misty コード解析&セッションガイド — バラードの大定番。Ebメジャーキーで、Bセクションと共通する響きがあります。
- Softly As in a Morning Sunrise コード解析&セッションガイド — マイナーキーのスタンダード。ここで覚えたマイナーII-V-Iがそのまま活きます。
まとめ

クロマチック下行がこの曲の肝なんだね。C → B → Bb → A、覚えた!

うむ、その4音の動きがこの曲を90年間愛され続ける名曲にしているんじゃぞい

36小節の数え方も、A+A+B(4)+A'(16)で覚えた!

よくまとめたのう。あとはバラードならではの「間」を大事にすることじゃぞい。音を詰め込みすぎず、メロディの美しさを引き立てるように弾くんじゃのう

バラードは「弾かない勇気」が大事なんだよね

So Whatのときにも言ったが、この曲ではなおさらじゃぞい。1音の重みが違うからのう


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