All of Me コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!今度のセッションで「All of Me」やりたいんだけど、コード進行が思ったより複雑で…

おお、All of Meか。セッション超定番曲じゃのう。1931年の曲なのに、いまだにどこのジャムでもコールされる名曲じゃぞい

キーCで32小節って聞いたから楽勝かと思ったんだけど、セカンダリードミナントが多くて混乱しちゃって…

そこがこの曲のミソなのじゃ。ダイアトニックじゃないコードが半分近くあるから、初見だと面食らうのも無理はないぞい。順番に整理していこうかのう
All of Me の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | All of Me(オール・オブ・ミー) |
| 作曲 | Gerald Marks & Seymour Simons (1931) |
| キー | C |
| フォーム | ABAC / 32小節 |
| テンポ | ♩=120–180 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |

原曲はBbキーで書かれたんじゃが、ジャズセッションではほぼ100%Cメジャーで演奏されるぞい。Cキーだとギターもピアノも押さえやすいからのう

ABAC形式って、Aセクションが2回出てくるってこと?

そうじゃ。1回目のA(1〜8小節)、B(9〜16小節)、2回目のA(17〜24小節)、そして最後にC(25〜32小節)。AとBはセカンダリードミナントの連鎖、Cセクションで借用コードが出てくる構造じゃのう
All of Me のコード進行と分析

- Aセクション(1〜8小節)はセカンダリードミナントの連鎖。Cmaj7で始まり、3小節目のE7はAmへ向かうV7/VI、5小節目のA7はDmへ向かうV7/II。E7→A7とセカンダリードミナントが2つ連続し、Cmaj7→E7→A7→Dm7が全て4度進行(5度下降)で繋がる構造がこの曲の最大の仕掛けです。

E7がAmに向かって、A7がDmに向かうってことは…ドミノ倒しみたいに次のコードを引っ張ってるの?

まさにそれじゃ。V7 → Iの力で次のコードを「呼び込む」仕掛けなのじゃ。Cmaj7 → E7 → A7 → Dm7という流れは、一見バラバラに見えるが、全部4度進行(5度下降)で繋がっておるぞい
- Bセクション(9〜16小節)もセカンダリードミナントが中心。冒頭のE7→Am7はAセクションと同じV7/VI→VIm7。13小節目のD7はV7/Vで、G7を呼び込むセカンダリードミナント。15〜16小節目のDm7→G7(II-V)でトニックへ戻る準備が完了します。

BセクションのD7ってAセクションのA7とは違うの?

機能は似ておるが、ターゲットが違うんじゃ。A7はDm(II)に向かうV7/II、D7はG7(V)に向かうV7/V。どちらも「次のコードをドミナントモーションで引っ張る」役割じゃが、解決先が異なるぞい
-
2回目のAセクション(17〜24小節)は1回目と同一。1回目のAで掴んだ感覚をそのまま使えます。
-
Cセクション(25〜32小節)に借用コードが登場。25小節目のFmaj7(IVmaj7)は穏やかなサブドミナント。26小節目のFm6は同主短調Cマイナーからの借用コード(IVm6)で、メジャーの明るさからふっと陰りが差す瞬間。27小節目のEm7→28小節目のA7(V7/II)を経て、29〜30小節目のDm7→G7(II-V)でトニックに向かいます。

Fm6のところ、急に雰囲気変わるよね!

じゃろう?Fmaj7のA音(長3度)がFm6のAb音(短3度)に半音下がるだけなんじゃが、この半音の差がドラマチックなのじゃ。歌モノとしての魅力がここに凝縮されておるぞい
- 31〜32小節目はターンアラウンド。31小節目前半のC6で解決し、後半のEb°7はA7(b9)の代理(ルートレス・ヴォイシング)として機能し、内声のE→Eb→Dという半音下行のクロマティックラインを生む。32小節目のDm7→G7で頭のCmaj7に戻します。

要するに、この曲は「キーCから一歩も転調しない」のに、セカンダリードミナントで常に色が変わり続ける。そこが単純じゃ。…いや、そこが面白いのじゃ

転調なしでこれだけ動きがあるって、すごいね
All of Me のスケールガイド

コード進行はわかった!で、ソロのときスケールは何を使えばいいの?

ふむ、いい質問じゃのう。まずは一番シンプルな方法から教えるぞい

お願いします!

まずは1つだけ覚えればいいのじゃ
まずはこれだけ覚える

この曲はキーCから一歩も出ないから、極端な話Cメジャースケール1発で全部乗り切れるぞい

え、本当に!?セカンダリードミナントがいっぱいあるのに?

もちろんセカンダリードミナントの上ではちょっと「合わない音」が出ることもある。じゃが、最初はCメジャースケールでフレーズを歌えるようになることが先じゃぞい。細かいスケールチェンジは後からいくらでも足せるからのう

じゃあ最初はCメジャーペンタトニックでもいける?

いけるぞい。ペンタなら外す音がさらに少ないから安全じゃのう。ただしE7やA7の上でペンタだけだと「ドミナントの色」が出にくいから、慣れてきたらコードトーンを意識する段階に進みたいところじゃぞい
余裕が出たらコードごとに

Cメジャーで通せるようになったら、次は何を覚えればいい?

セカンダリードミナントごとにスケールを切り替えると、一気にフレーズの説得力が上がるんじゃのう。順番に見ていこうかい
Aセクション(1〜8小節):セカンダリーD連鎖


Cmaj7はCイオニアン(Cメジャースケール)じゃ。ここは何も考えなくていいぞい

E7のところは?

E7はAmに向かうセカンダリードミナントじゃから、Eミクソリディアンが基本じゃのう。G#音がE7の長3度で、これがドミナントの色を出すポイントなのじゃ

CメジャースケールだとそこがG(ナチュラル)だから、半音違うんだね

そうじゃぞい。そのG#を意識して弾くだけで「あ、E7の上にいるな」というサウンドが出る。もっと攻めたいならEオルタード(E-F-G-Ab-Bb-C-D)を使うと、b9やb13の緊張感が加わって解決感がぐっと強まるぞい

A7のところは?

A7はDmに向かうV7/IIじゃから、Aミクソリディアンが基本じゃのう。C#音がA7の長3度でのう。ここもCメジャースケールとの違いはC#の1音だけじゃぞい

じゃあCメジャースケールを弾きながら、E7でG#、A7でC#を意識するだけでもだいぶ違う?

その通りなのじゃ。最初はその2音を足すだけで十分。それだけでセカンダリードミナントの響きが出るぞい
Bセクション(9〜16小節):E7→Am→D7→II-V


BセクションのE7 → Am7はAセクションと同じ?

まったく同じ動きじゃぞい。Eミクソリディアン → Aエオリアン(Aマイナースケール)。Am7の上ではAドリアンも使えるが、Aエオリアンの方がCメジャースケールと音が一致するから最初はこちらが楽じゃのう

D7のところは?

D7はG7に向かうV7/Vじゃから、Dミクソリディアンが基本じゃぞい。F#音がD7の長3度で、CメジャースケールのF(ナチュラル)との違いはこの1音だけじゃのう

Dリディアンドミナントっていうのも聞いたことあるんだけど…

おお、よく知っておるのう。Dリディアンドミナント(メロディックマイナー4番目のモード)はD7の上でG#(#4)が入るスケールじゃぞい。ナチュラル9thと#11が同居する独特の響きで、ドミナントIIコードには相性抜群なのじゃ。じゃが最初はDミクソリディアンで十分じゃぞい

15〜16小節のDm7 → G7は?

ここはCメジャーのII-Vじゃから、Dドリアン → Gミクソリディアン。実質Cメジャースケールで弾けるぞい。G7でオルタードやコンディミを使うとCmaj7への解決感が増すが、それは次のステップじゃのう
Cセクション(25〜32小節):借用コードFm6


Cセクションが一番ややこしそう…

実はそうでもないぞい。Fmaj7はFリディアン(実質Cメジャースケール)。問題はFm6じゃのう

Fm6ではどうすればいい?

Fm6の上ではFドリアン(Ebメジャースケールと同じ音)を使うのが定番じゃぞい。AがAbに、BがBbに、EがEbに変わるだけじゃが、Cメジャーとは3音も違うから響きがガラッと変わるのじゃ

3音も違うとちょっと怖いなあ…

怖がることはないぞい。Fm6は2小節しかないからのう。最初はF-Ab-C-Dのコードトーンだけ狙っても十分サマになる。慣れたらFドリアンのフレーズを仕込んでおけばいいのじゃ

Em7 → A7のところは?

Em7はEフリジアン(Cメジャースケール)、A7はAミクソリディアン。Aセクションと同じくC#を意識するだけじゃぞい。最後のDm7 → G7 → C6もII-V-Iの基本形じゃのう
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Dm7→G7→C6 Eb°7→Dm7 G7)をそのままイントロにするのが定番です。ピアノがCmaj7を4拍刻んでカウントする方法もあり。シンプルにリズムを提示した方がバンドが入りやすいです。

イントロ、ラスト4小節をそのままやればいいんだ!

そうじゃぞい。この曲はターンアラウンドがそのままイントロになるパターンが一番多いのじゃ
テンポとフィール: セッションでは♩=140〜160が多く、ミディアムスイングが基本。アップテンポや、歌モノとして♩=120前後で演奏されることも。テンポでフィールが大きく変わるため、コール時にテンポ感を共有しておくのが大事です。
アウトロ: テーマ最後のDm7→G7→C6で着地するのが基本。C6やCmaj9で止めるとジャズらしい余韻が残ります。凝りたいならラスト2小節をリタルダンドで引き伸ばすパターンも。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 32小節ABAC形式で、セッションでは2〜3コーラスが一般的。2回目のAで同じフレーズを繰り返さない意識と、Cセクションで音を増やして盛り上がりのピークを作る構成が効きます。
セカンダリードミナントで迷子にならないために: この曲のセカンダリードミナントは全て「4度上に解決」するパターン:E7→Am、A7→Dm、D7→G7。解決先さえ覚えておけば、コード進行を見失っても復帰できます。

セカンダリードミナントの解決先を覚えておけばいいんだね

そうじゃぞい。E7が聞こえたら「次はAm系」、A7が聞こえたら「次はDm系」、D7が聞こえたら「次はG7系」。耳で追えるようになったらもう迷子にはならんぞい
コール方法: 「All of Me、Cで」だけで通じます。テンポだけ「ミディアムで」など一言添えると親切。Fly Me to the MoonやSatin Dollと並ぶセッション超定番で、歌伴でもインストでもコールされる万能曲です。
名演・参考音源

最後に参考になる音源を紹介しておくぞい。この曲は録音の数が膨大じゃから、まずはこの3枚を押さえておくといいぞい
Louis Armstrong — All of Me (1932)
本家サッチモの録音。トランペットとヴォーカルの両方でこの曲の魅力を伝えています。スウィング時代の空気を知るならまずこれから。
Frank Sinatra — Swing Easy! (1954)
Nelson Riddleアレンジのアップテンポ・スウィング。Sinatraの余裕あるフレージングがセッションでのテンポ感の参考に。
Billie Holiday — All of Me (1941)
Ted Gioiaが「誰にも奪えない決定版」と評した録音。Holiday独特の間とフレーズの崩し方は、この曲のメロディ解釈として今なお最高峰。

まずはどれから聴けばいいかな?

好きな楽器の演奏から入るのが一番じゃぞい。歌が好きならヴォーカルもの、管楽器なら器楽ものを10回は聴いてからセッションに臨むんじゃぞい
関連曲ガイド
- Fly Me To The Moon コード解析&セッションガイド — 同じくCキーの超定番。II-V-Iの連鎖を学べます。
- Satin Doll コード解析&セッションガイド — セカンダリードミナントとII-Vが豊富な曲。All of Meで学んだ知識がそのまま活きます。
まとめ

なるほど、セカンダリードミナントは全部「4度上に解決」、Fm6だけ借用コード…整理するとシンプルだね!

じゃろう?この曲は見た目のコード数に圧倒されがちじゃが、仕掛けは「セカンダリードミナント」と「借用コード」の2つだけなのじゃ

Cメジャースケール1発から始めて、徐々にセカンダリードミナントの音を足していく方針で練習してみる!

うむ、よい計画じゃのう。E7でG#、A7でC#、D7でF#。この3つの音を意識するだけで、かなり変わるぞい

よし、セッション行ってくる!

…Fm6のAbを忘れるなよ

あっ…そこ一番ドラマチックなところだった!

ほれ見ろ…しょうがないのう


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