歌モノセッションの伴奏のコツ ― ボーカルの邪魔をしない立ち回り

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ぴょん吉
ぴょん吉

ぽん太博士、昨日歌モノセッションに行ったんだけど、ボーカルの人に「もうちょっと静かにしてもらえますか」って言われちゃった……

ぽん太博士
ぽん太博士

おお、それは通過儀礼みたいなもんじゃ。ワシも昔やらかしたことがある。歌モノはインストとは勝手が違うからのう

ぴょん吉
ぴょん吉

インストのセッションとそんなに違うの?

ぽん太博士
ぽん太博士

全然違うんじゃ。歌モノでは楽器隊はあくまで「伴奏者」。主役はボーカルじゃぞい

自分が初めて歌モノセッションに参加したとき、正直ナメてました。いつも通りのテンションで弾いたら、ボーカルの方の声がまったく聞こえない。ホストから「歌モノのときはもっと抑えてね」と言われて、具体的にどうすればいいのか全然わからなかった。

この記事では、あのとき知りたかったことを楽器プレイヤー目線でまとめます。

歌モノセッションはインストと何が違う

一番大きな違いは「誰が主役か」がはっきりしていること。インストではソロ回しでみんなが順番にフロントに出ますが、歌モノでは最初から最後までボーカルが主役です。楽器隊はその世界観を支える側。

テンポもボーカルに合わせます。インストだと自然にテンポが上がっていくこともありますが、歌モノでそれをやるとボーカルが歌いにくくなる。特にバラードは、ボーカルが溜めて歌うフレーズに楽器が先走ると台無しです。

ボーカルが歌っている最中のオブリガート(合間に入れるフレーズ)も基本控えめに。歌詞を聴いているお客さんの耳に楽器が割り込むと、歌の世界が壊れます。

ぴょん吉
ぴょん吉

MCの間とかも何か弾いたほうがいいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

いや、むしろ弾かんほうがいい場面が多いんじゃ。ボーカルさんがMCしてるのに後ろでジャカジャカ弾いてたら邪魔じゃろ? 間を埋めたくなる気持ちはわかるが、そこはぐっと我慢じゃぞい

キー変更への対応

歌モノセッション最大の関門がこれです。自分も最初にパニックになったのはキー変更でした。ボーカルの方が「Fly Me To The Moonお願いします。キーはAbで」と言った瞬間、頭が真っ白になった。リードシートはCで覚えていたので。

ボーカルには声域があるので、原曲キーでは歌えないことがよくあります。「半音下げて」「4度上げて」といった指示が飛んでくるのは日常茶飯事。歌モノセッションに行くなら、キー変更への対応は避けて通れません

対策として一番現実的なのは、iReal Proの使い方で紹介しているトランスポーズ機能。iReal Pro上でキーを変えれば移調後のコード進行がそのまま表示されます。譜面台にスマホを置いて、その場でキーを変えている人は本当に多いです。

ギターはフレットをずらすだけで移調できるので比較的楽。ピアノは慣れるまで大変で、正直自分もCやF以外のキーはかなり怪しいです。

よくある移調パターンを挙げておきます。

曲名 原曲キー 歌モノでよくあるキー
Fly Me To The Moon C A, Ab, Bb
Misty Eb C, Db
The Girl From Ipanema F Db
My Funny Valentine Cm Am
ぴょん吉
ぴょん吉

えっ、こんなにキーが変わるの? 全部覚えなきゃダメ?

ぽん太博士
ぽん太博士

全部覚える必要はないが、Fly Me To The MoonのAbとMistyのCくらいは弾けるようにしておくといいぞい。この2曲は歌モノセッションで圧倒的に出る頻度が高いからのう

イントロの出し方

歌モノではイントロがとても重要です。ボーカルがメロディに入るきっかけになるので、イントロが曖昧だと歌い出せない。

定番パターンは、曲の最後の4小節(または8小節)をそのままイントロとして弾くこと。Fly Me To The Moon コード解析&セッションガイドなら最後の4小節をそのまま使います。ボーカルの方もこのパターンに慣れているので、スムーズに歌い出してくれます。

バラードではピアノがルバート(テンポを自由に揺らす弾き方)でイントロを弾き、テンポを決めてからボーカルが入る流れが多いです。ギターの場合はシンプルなコードで十分。凝ったフレーズはかえってボーカルが入りにくくなります。

ぽん太博士
ぽん太博士

イントロのポイントはひとつ。「ボーカルが歌い出しやすいかどうか」だけ考えればいいんじゃ。自分のテクニックを見せる場ではないぞい

歌の邪魔をしない伴奏テクニック

セッションでのコンピング入門の基本に加えて、歌モノ特有の注意点があります。

音量

ボーカルより確実に音量を下げること。これが最重要です。生声のボーカルの場合は特に、マイクを通していても楽器に埋もれやすい。自分の音が小さすぎると感じるくらいがちょうどいい場合が多いです。

音域

ボーカルの音域と被らないように気をつけます。ギターは低めのポジションでボイシング、ピアノは高音域を避ける。ボーカルが高い音を歌っているときに、ピアノの右手が同じ音域にいるとぶつかります。

リズム

シンプルに弾きます。特にバラードでは音数を減らす。「弾かない勇気」が歌モノ伴奏では本当に大事です。休符も音楽の一部。

間奏ソロ

ソロ回しがあっても、ボーカルの世界観を壊さないトーンで弾くのが大切です。Misty コード解析&セッションガイドのようなバラードでゴリゴリのバップフレーズを吹いたら雰囲気が台無し。メロディアスに弾くのが吉です。

エンディング

ボーカルが最後の音を伸ばしている間に楽器が先に終わるのはNG。ボーカルの音が消えてから楽器が締める。この順番だけでエンディングが綺麗になります。

ぴょん吉
ぴょん吉

やること多くない? 全部気にしながら弾くの大変そう……

ぽん太博士
ぽん太博士

最初から全部やろうとせんでいいんじゃ。まずは「音量を下げる」、これだけ守れば半分以上の問題は解決するぞい

歌モノ定番曲リスト

歌モノセッションで押さえておきたい曲です。

曲名 よくあるキー ジャンル/フィール 備考
Fly Me To The Moon C / Bb / Ab ボサノバ / スウィング 最頻出。曲別ガイド参照
Misty Eb / C / Db バラード テンポ感が重要。曲別ガイド参照
The Girl From Ipanema F / Db ボサノバ キー変更多い
All Of Me C スウィング 比較的やりやすい
My Funny Valentine Cm / Am バラード〜ミディアム マイナーキーに注意

正直、Fly Me To The MoonとMistyの2曲を複数キーで弾けるようにしておくだけで、かなりの歌モノセッションに対応できます。自分はまずこの2曲から始めました。

まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

歌モノって、ある意味インストより気を使うんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃ。でもな、ボーカルさんに「弾きやすかった」って言ってもらえたときの嬉しさは格別じゃぞい。あの一言のためにやってると言ってもいいくらいじゃ

歌モノ伴奏は「引き算」の音楽です。音数を減らしてボーカルの声に集中するようにしたら、自分の場合はボーカルの方からの反応が明らかに変わりました。

キー変更はiReal Proで事前に移調した譜面を見ながら弾けばなんとかなります。まずはFly Me To The MoonをAbで弾けるところから。次のセッションでは音量をいつもの半分にするところから始めてみてください。

ぴょん吉
ぴょん吉

よし、次の歌モノセッションではとにかく音量下げて、あとiReal ProでAbのFly Me練習しとく!

ぽん太博士
ぽん太博士

それでいいんじゃ。歌モノ伴奏ができるようになると、セッションで声をかけてもらえる機会がぐんと増えるぞい。頑張るんじゃ

コメント

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