April In Paris コード解析&セッションガイド

April In Paris コード解析&セッションガイド スタンダード解析
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April In Paris コード進行 解析&セッションガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士〜!セッションで「April In Paris」をやったんだけど、途中でディミニッシュみたいなコードが出てきて、どこにいるのか完全に見失っちゃったよ…

ぽん太博士
ぽん太博士

おお、ヴァーノン・デュークの名曲じゃのう。1932年のブロードウェイ・レビューのために書かれた曲で、カウント・ベイシーの録音で大ブレイクしたのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

たしかに、ビッグバンドでよく聴く気がする!

ぽん太博士
ぽん太博士

この曲の肝は、ディミニッシュの経過音とAmへ沈み込む場面の使い分けじゃぞい。今日は32小節の地図を一緒に描いていくのじゃ

April In Paris の基本データ

項目 内容
曲名 April In Paris(エイプリル・イン・パリ/パリの四月)
作曲 Vernon Duke(作詞 E. Y. “Yip” Harburg)
キー C
フォーム 32小節(8小節×4)
拍子 4/4
フィール ミディアム・スウィング
セッション頻出度 ★★★☆☆
難易度 ★★☆☆☆
ぴょん吉
ぴょん吉

1932年って、かなり古い曲なんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

ブロードウェイのレビュー「Walk a Little Faster」のために書かれたのじゃ。面白いことに、初演のニューヨークでは評判がいまひとつでのう。ショーが終わってから、クラブ歌手やバンドリーダーたちが取り上げて広まっていったのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

へえ、最初は不発だったんだ。それが今やスタンダードなんだから、わからないもんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

決定打は1955年のカウント・ベイシー楽団の録音じゃぞい。あれでジャズ・ミュージシャンの定番曲になったのじゃ


April In Paris のコード進行と分析

April In Paris コード進行表
April In Paris コード進行表
  1. Aセクションは、G7b9susという「保留された」ドミナントから始まります。V7がsusのまま鳴って、2小節目のCmaj7でようやくトニックに落ち着く。頭からIで始まらないところが、この曲の浮遊感の正体です。3〜4小節目はDm7b5→G7b9とマイナー型のII-Vを通ってまたCへ。同じCに帰るのでも、こちらは翳りのある帰り方です。

  2. Aセクションの出口(7〜8小節目)はGm7→C7です。これはFmaj7へ向かうII-Vの形で、C7はキーCから見ればI7、つまりIV(F)へのセカンダリー・ドミナントです。ここでフラット系の景色に切り替わって、次のセクションのFmaj7へ橋を架けます。

  3. Bセクションは、Fmaj7で明るく開けてからAmへ沈んでいきます。Bm7b5→E7→Am(→Am/G)は、リレイティブ・マイナーへのマイナー型II-V。その後はF#m7b5→B7b9、Bm7→E7、Em7b5→A7b9と、m7b5とドミナントの組み合わせが数珠つなぎに続きます。この8小節がこの曲でいちばん密度が高い場所です。

  4. Cセクションの頭が、この曲の聴かせどころです。F#m7b5→Fdim7→C/E→Ebdim7→Dm7b5と、ベースがF#からDまで半音ずつ降りていきます。ディミニッシュを経過音に使ったクロマチックな下降で、ここを美しく通れるかどうかでこの曲の完成度が決まります。降りきった先はDm7b5→G7b9→C6と、おなじみのマイナー型II-Vで着地します。

  5. Cセクション後半はBセクションと同じAm方面の道をたどり、8小節目のEmaj7→Dm7→G7で折り返します。1小節に3つコードが入る唯一の場所なので、ここだけは事前に形を覚えておきましょう。

  6. Dセクションは冒頭と同じG7b9sus→Cmaj7で始まり、Em7b5→A7b9→D7→Dm7b5→G7→C6と降りて終わります。D7はII7、ドミナントの寄り道です。最後はC6で2小節、ゆったり着地します。

ぴょん吉
ぴょん吉

セクションごとに性格が全然違うんだね。AはふわっとCに帰る、BはAmに沈む、Cは半音で降りる、Dは締めくくり、って感じ?

ぽん太博士
ぽん太博士

その整理で十分じゃぞい。特にCセクション頭のクロマチック下降は、この曲の顔じゃからのう。ベースラインを口ずさめるくらいに覚えておくのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

m7b5がやたら出てくるのはどうして?

ぽん太博士
ぽん太博士

Am方面へ向かうマイナー型II-Vの入り口じゃからのう。この曲は「明るいC」と「翳るAm」を行ったり来たりする曲なのじゃ。m7b5が聞こえたら「翳りゾーンに入るぞい」という合図じゃぞい


April In Paris のスケールガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士、コードの種類が多くて、スケールをどう整理すればいいかわからないよ…

ぽん太博士
ぽん太博士

大丈夫じゃぞい。この曲は「Cメジャー1本+翳りの場所だけ着替える」で整理できるのじゃ。まずは最小セットからいくぞい

まずはこれだけ覚える

ぽん太博士
ぽん太博士

結論から言うと、土台はCメジャースケール1本じゃぞい。Cmaj7、C6、Dm7、G7、Fmaj7あたりは全部Cメジャーのダイアトニックじゃからのう

ぴょん吉
ぴょん吉

じゃあ、気をつける場所はどこ?

ぽん太博士
ぽん太博士

翳る場所、つまりm7b5とb9つきドミナントのところじゃぞい。Dm7b5→G7b9が来たら、AbとBナチュラルの音を意識するのじゃ。これだけでマイナー型II-Vの響きに乗れるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Bm7b5→E7→Amのところは?

ぽん太博士
ぽん太博士

Amへ向かうII-Vじゃから、Aハーモニックマイナーを1本当てるのが手っ取り早いのじゃ。E7のところでG#の音を通せば、それらしく聞こえるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Cセクション頭のディミニッシュ地帯はどうするの?

ぽん太博士
ぽん太博士

最初はスケールを考えるより、コードトーンをなぞるのじゃ。ベースが半音で降りていく場所じゃから、コードの構成音を置くだけで十分に音楽になるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

「土台はCメジャー、翳ったらAbとG#系の音、ディミニッシュはコードトーン」の3点セットだね!

ぽん太博士
ぽん太博士

それが最短ルートじゃぞい。細かい使い分けは次の段階で仕込むのじゃ

余裕が出たらコードごとに

ぴょん吉
ぴょん吉

慣れてきたら、次はどこを掘ればいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

セクションごとにテーマが違うから、順番に見ていくのじゃ

Aセクション(1〜8小節)

Aセクションのコード進行
Aセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

頭のG7b9susはGミクソリディアンのsus的な使い方が基本じゃぞい。3度を急いで出さず、宙に浮いた感じを保つのがコツじゃのう

ぴょん吉
ぴょん吉

Cmaj7はCイオニアンでいいんだよね?

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。明るく広げたいときはリディアンも使えるのじゃ。3小節目のDm7b5はDロクリアン、G7b9はミクソリディアンにb9の彩りを足すか、オルタードやHWディミニッシュを差すのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

7〜8小節目のGm7→C7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

GドリアンとCミクソリディアンじゃぞい。ここでBbの音が初登場して、Fの世界への扉が開くのじゃ。この2小節だけフラットが1個増えると覚えるとよいぞい

Bセクション(9〜16小節)

Bセクションのコード進行
Bセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

Fmaj7はFリディアンが気持ちよいのじゃ。Bナチュラルの音がCメジャーとの共通語になってくれるからのう

ぴょん吉
ぴょん吉

Bm7b5→E7→Amのセットは、さっきのAハーモニックマイナー1本でいいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

基本はそれでよいぞい。分解するならBロクリアン→Eミクソ(b9)→Aエオリアンじゃのう。E7でオルタードを使うと、Amへの倒れ込みがさらに濃くなるのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

B7b9っていう見慣れないコードがあるけど…

ぽん太博士
ぽん太博士

ここはリディアンb7がおすすめなのじゃ。サブドミナント方面へ引っ張る裏っぽい響きのドミナントじゃから、Aの音(7th)を活かすと収まりがよいぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

最後のEm7b5→A7b9は?

ぽん太博士
ぽん太博士

EロクリアンとAミクソ(b9)じゃぞい。次のセクションへ送り出すII-Vじゃから、流れを止めずに通過するのじゃ

Cセクション(17〜24小節)

Cセクションのコード進行
Cセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

いよいよ聴かせどころじゃぞい。F#m7b5→Fdim7→C/E→Ebdim7→Dm7b5、ベースが半音ずつ降りる4小節じゃのう

ぴょん吉
ぴょん吉

ディミニッシュのところは、コードトーンの次のステップは何を使えばいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

ディミニッシュスケール、つまり全音と半音を交互に並べた音列じゃぞい。じゃが正直なところ、ここはスケールを走るよりコードトーンと半音のアプローチで歌うほうが美しいのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

降りきった後のDm7b5→G7b9→C6は、Aセクションと同じ扱いでいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ、同じマイナー型II-Vじゃからのう。後半のBm7b5→E7→AmもBセクションと同じじゃぞい。新しく覚えるのは頭の4小節だけなのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

最後のEmaj7→Dm7→G7の小節はどうするの?

ぽん太博士
ぽん太博士

Emaj7は一瞬の異世界じゃから深追いせず、コードトーンで触れるだけでよいのじゃ。Dm7→G7はドリアンとミクソで素直に折り返すぞい

Dセクション(25〜32小節)

Dセクションのコード進行
Dセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

頭のG7b9sus→Cmaj7はAセクションと同じじゃぞい。続くEm7b5はEロクリアン、A7b9はAミクソ(b9)かオルタードじゃのう

ぴょん吉
ぴょん吉

D7はどう扱えばいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

Dミクソリディアンが基本じゃぞい。F#の音が入って一瞬明るくなる場所じゃから、その明るさを楽しんでから、Dm7b5→G7でスッと翳って帰るのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

F#が出たり引っ込んだりするんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そこがこの8小節の味じゃのう。最後のC6はイオニアンで、6thの音を終止感の飾りに使うと締まるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

ラスト2小節もC6が続くから、慌てずに着地できそう!

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。ここはメロディを歌い終える場所じゃから、音数を欲張らんことじゃぞい


演奏時のポイント

テンポとフィール: フィールはミディアム・スウィングです。決まったテンポがあるわけではありませんが、バラード寄りにじっくりやる解釈から、ベイシー流のミディアムでスウィングさせる解釈まで幅があります。バンドで始める前に、どちらの温度感でいくか共有しておくと安心です。

キー: Cが標準です。歌伴の場合はヴォーカリストのキーに合わせる可能性がありますが、インストのセッションではまずCで覚えておけば大丈夫です。

イントロ: 特に決まった定番はありません。頭がG7b9susという特徴的な入りなので、ピアノがそのままG7susのペダルを2〜4小節鳴らしてからテーマに入ると、曲の浮遊感が自然に立ち上がります。

アウトロ: こちらも決まった定番はありません。ラストのC6で素直に終わるのが基本形です。ベイシー版の「もう1回」と繰り返すエンディングはあまりに有名なので、ビッグバンド好きのメンバーがいると再現が始まることがあります。周りをよく見て乗りましょう。

ぴょん吉
ぴょん吉

あのベイシーの「何回も終わりそうで終わらない」やつ、セッションでもやるんだ!

ぽん太博士
ぽん太博士

全員がニヤッとしながら付き合う、幸せな瞬間じゃぞい。ただし初対面のバンドで仕掛けるなら、アイコンタクトを忘れんことじゃのう


実践で使えるTips

ロスト対策: 目印はCセクション頭のクロマチック下降です。ベースが半音でスルスル降り始めたら、そこがフォームの後半戦入り口。逆にFmaj7が2小節伸びていたらBセクションの頭です。この2つの「地形」を覚えておけば、迷子になってもすぐ復帰できます。

練習の順番: まずAセクションで「G7b9sus→Cmaj7の浮遊感」と「Dm7b5→G7b9の翳り」を体に入れます。次にCセクション頭の4小節だけを取り出して、ベースラインと一緒にコードトーンをなぞる練習を。最後にBセクションのm7b5の連鎖を通せば、曲全体がつながります。

m7b5は怖くない: この曲にはm7b5が繰り返し出てきますが、役割はほぼ全部「マイナー型II-Vの入り口」です。Dm7b5→G7b9、Bm7b5→E7、Em7b5→A7b9と、形はすべて同じ。1個攻略すれば全部に応用が効きます。

コール方法: 「エイプリル・イン・パリ」で通じます。キーはC。バラードかミディアム・スウィングか、テンポ感だけ添えてコールすると親切です。

ぴょん吉
ぴょん吉

m7b5、全部同じ形って聞いたら急に怖くなくなったよ

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃろう。この曲はマイナー型II-Vの練習帳みたいなものじゃからのう。ここで仕込んだ形は、他のスタンダードでもそのまま使えるぞい


名演・参考音源

ぽん太博士
ぽん太博士

参考音源じゃぞい。この曲の決定版と呼ばれるビッグバンド、歌もの、ソロピアノと、三者三様の名演を選んだのじゃ

Count Basie and His Orchestra — April in Paris (Verve, 1955)

この曲を語るうえで絶対に外せない、カウント・ベイシー楽団の1955年録音です。オルガン奏者”ワイルド”ビル・デイヴィスのアレンジによるこの演奏が、この曲をジャズ・ミュージシャンの定番に押し上げました。サッド・ジョーンズの「Pop Goes the Weasel」の引用ソロと、「One more time!」と繰り返される偽エンディングはジャズ史に残る名場面です。

Sarah Vaughan with Clifford Brown — Sarah Vaughan (EmArcy, 1954)

サラ・ヴォーンとクリフォード・ブラウンの唯一の共演盤から。この曲を学ぶ出発点として最適な録音で、ヴォーンの深い声とブラウニーの温かいトランペットが、この曲のロマンティックな面を隅々まで教えてくれます。メロディの解釈を学ぶならまずこれです。

Thelonious Monk — Thelonious Himself (Riverside, 1957)

モンクのソロピアノ・アルバムの冒頭を飾る演奏です。内省的で抽象的、モンク独特の和声感覚でこの曲を完全に自分の世界に引き込んでいます。ベイシー版と同じ曲とは思えないほどの解釈の振れ幅で、この曲の懐の深さがよくわかります。ハーモニーの可能性を探るなら必聴です。

ぴょん吉
ぴょん吉

ビッグバンド、歌もの、ソロピアノで、本当に同じ曲なのか疑うレベルだね…

ぽん太博士
ぽん太博士

それだけ骨格がしっかりした曲ということじゃのう。まずはヴォーン版でメロディを覚えて、ベイシー版でスウィングを、モンク版で和声の冒険を味わうのじゃ


関連曲ガイド


まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

キーはCの32小節で、AはG7b9susの浮遊感、BはAmへ沈む道、Cはディミニッシュの半音下降、Dは締めくくり。スケールは「土台はCメジャー、翳ったらマイナー型II-Vの音、ディミニッシュはコードトーン」。地図ができたら、急に見通しがよくなったよ!

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ、よいまとめじゃぞい。この曲の壁は速さではなく、場面転換の多さじゃからのう。セクションごとの性格を覚えれば、あとは歌うだけなのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

迷子になったら、ベースの半音下降を聴く!

ぽん太博士
ぽん太博士

そのとおりじゃのう。そして最後はベイシーばりに「One more time!」…といきたいところじゃが、まずは1回きれいに着地することからじゃぞい

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