Days of Wine and Roses コード解析&セッションガイド

S022 eyecatch スタンダード解析
この記事は約11分で読めます。

Days of Wine and Roses コード進行 解析&セッションガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士〜!「Days of Wine and Roses」ってセッションでよく聞くんだけど、映画の曲なの?

ぽん太博士
ぽん太博士

おお、「酒とバラの日々」じゃな。Henry Manciniが1962年の映画のために書いた曲でのう。アカデミー賞の歌曲賞を獲っとるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

映画音楽なのにジャズスタンダードになってるんだ!

ぽん太博士
ぽん太博士

Mancini本人が「メロディが勝手に流れ出た」と言うほど自然な旋律でのう。Andy Williamsの歌でヒットして、ジャズメンもこぞって取り上げるようになったのじゃ

Days of Wine and Roses の基本データ

項目 内容
曲名 Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)
作曲 Henry Mancini (1962)
キー F
フォーム AABA / 32小節
テンポ ♩=130–180
フィール Medium Swing
セッション頻出度 ★★★★☆
難易度 ★★☆☆☆
ぽん太博士
ぽん太博士

1962年の映画『The Days of Wine and Roses』のために作られた曲でのう。作詞はJohnny Mercerで、2人のコンビは前年の「Moon River」に続いて2年連続でアカデミー歌曲賞を受賞しとるのじゃ。グラミー賞のSong of the Yearも同時受賞じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

すごい…!32小節のAABA、ジャズの王道フォームだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。フォーム自体はオーソドックスなんじゃが、コード進行にManciniらしい仕掛けがあってのう。特にBセクションの下降II-V連鎖がこの曲のハイライトなのじゃ


Days of Wine and Roses のコード進行と分析

Days of Wine and Roses chord chart
Days of Wine and Roses chord chart
  1. Aセクション(1〜8小節)はFメジャー中心ですが、2小節目のEb7が独特ですEb7はBbメジャーへのドミナント(V7/IV)として機能しますが、Bbに解決せずAm7→D7に進む「裏切り」がこの曲らしさです

  2. Am7→D7はGmに解決するセカンダリーII-Vです。3〜4小節目のAm7→D7は5小節目Gm7へ向かうII-Vです。「Gマイナーへの仕込み」と捉えた方がソロで意識しやすいです。

ぴょん吉
ぴょん吉

Eb7が急に出てくるのがびっくりする

ぽん太博士
ぽん太博士

Eb7はこの曲を象徴するコードでのう。Fのトニックから突然半音下のドミナントが来る。Manciniの映画音楽っぽい色気がここに詰まっとるのじゃ。理論的にはサブドミナントマイナー系の借用和音(bVII7)として説明できるんじゃが、耳で覚えた方が早いぞい

  1. 5〜8小節目はGm7が2小節続いた後、Eb7が再登場します。同じbVII7で、Aセクションの前半・後半をEb7が挟み込む構造です。

  2. Bセクション(17〜24小節)がこの曲の核心ですAm7→Dm7→Gm7→C7の下降II-V連鎖で、ルートが完全4度ずつ上昇していきます。ジャズで最も美しいパターンの一つです。

ぴょん吉
ぴょん吉

Am7→Dm7→Gm7→C7…全部m7とセブンスの繰り返しだ!

ぽん太博士
ぽん太博士

いい気づきじゃのう。この連鎖はルートが4度ずつ上がっていくから「4度進行」とも呼ばれる。ジャズのエッセンスが詰まった進行でのう。[Autumn Leaves](/autumn-leaves-analysis/)のBm7b5→E7→Am7→D7→Gmaj7の流れと同じ原理なのじゃ

  1. Bセクション後半のEm7b5→A7→Dm7→G7はII-V連鎖がさらに深まりますEm7b5→A7はDマイナーへのII-V、Dm7→G7はCメジャーへのII-Vで、最後のGm7→C7でFキーに着地します。3つのキーをまたぐ連鎖が一番の難所です。

  2. A’セクション(25〜32小節)はAセクションに似ていますが後半が違います27〜28小節目のBm7b5→E7はAマイナーへのII-Vで一瞬寄り道します。29小節目からAm7→Dm7→Gm7→C7→F6と畳みかけて解決します。ラストのGm7→C7がターンアラウンドです。

ぽん太博士
ぽん太博士

A’セクションのBm7b5→E7が出てくるところ、ここだけ急にマイナーII-Vの響きが入るから要注意じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

そこだけ別世界に行く感じ?

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃのう。AセクションのEb7が「横方向の裏切り」なら、A’セクションのBm7b5→E7は「縦方向の深掘り」。2小節で戻ってくるから、構えなくて大丈夫じゃぞい


Days of Wine and Roses のスケールガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士、この曲のスケールどうすればいい?コードがけっこう動くから不安…

ぽん太博士
ぽん太博士

コードは確かに動くが、スケール選びは意外とシンプルなのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

え、ほんと?

ぽん太博士
ぽん太博士

まずは2つだけ覚えればいいぞい

まずはこれだけ覚える

ぽん太博士
ぽん太博士

Aセクション(1〜8小節)はFメジャースケール1発でいける。Eb7のところだけEb音を意識すれば、それだけで十分サマになるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Bセクションは?あの下降II-V連鎖…

ぽん太博士
ぽん太博士

BセクションもFメジャースケールをベースにして、4度進行に沿って「Dm7の上ではD、Gm7の上ではG」とルートを意識するだけでOKじゃ。最初のうちはFメジャーペンタトニック1発でBセクションを乗り切るのもアリでのう。ペンタなら外れる音がほとんどないから安全じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Fメジャーペンタで全体を乗り切れるの?

ぽん太博士
ぽん太博士

Eb7の2小節だけは若干合わない音が出るが、それ以外はペンタでほぼ安全。まずは1コーラス通せることが先じゃぞい

余裕が出たらコードごとに

ぴょん吉
ぴょん吉

もう少し踏み込みたくなったら?

ぽん太博士
ぽん太博士

よし、セクションごとに見ていこうかのう

Aセクション(1〜8小節):Fメジャー + Eb7の処理

Aセクションのコード進行
Aセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

Fmaj7はFイオニアンが基本。リディアン(B音を使う)にするとちょっとおしゃれな響きになるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

問題のEb7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

Eb7にはEbリディアンb7(Ebミクソリディアン#4)がきれいにハマるのじゃ。音としてはBbメロディックマイナーと同じ音列でのう。ただ、最初はEbミクソリディアンで十分。A音(#4=リディアンの特徴音)を意識できれば上出来じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

Am7→D7のところは?

ぽん太博士
ぽん太博士

Am7はAドリアン、D7はDミクソリディアン。どちらもGm7に向かうII-Vとして聴くと自然でのう。D7の上でF#を使うとGm7への解決感が強くなるぞい。ただし最初はFメジャースケールのまま弾いてもOKじゃ。D7のF#だけ後から足せばいい

ぴょん吉
ぴょん吉

Gm7のところは?

ぽん太博士
ぽん太博士

Gドリアン一択じゃぞい。Fメジャースケールと全く同じ音でのう。ここは何も考えなくていいところじゃ

Bセクション(17〜24小節):下降II-V連鎖

Bセクションのコード進行
Bセクションのコード進行
ぴょん吉
ぴょん吉

ここが一番不安なんだけど…

ぽん太博士
ぽん太博士

Am7→Dm7→Gm7→C7の最初の4小節は、実はFメジャースケールの音でほぼ全部カバーできるぞい。Am7はAドリアン(=Fメジャー)、Dm7はDドリアン(=Cメジャー)だからFとCの共通音が多いのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

後半のEm7b5→A7→Dm7→G7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

ここが山場でのう。Em7b5→A7はDマイナーへのII-V。A7の上でC#を使うとDm7への解決感が出る。EロクリアンとAオルタード(またはコンディミ)が定番じゃが、最初はDマイナーペンタで乗り切って構わん

ぴょん吉
ぴょん吉

Dm7→G7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

CキーのII-V。DドリアンとGミクソリディアンで、Cメジャースケールそのものじゃぞい。続くGm7→C7でFキーに戻る。ここはFメジャースケールに帰れるから、ほっとする瞬間じゃのう

ぴょん吉
ぴょん吉

II-Vが来るたびにキーが変わるの、大変そう…

ぽん太博士
ぽん太博士

慣れるまではこう考えるといいぞい。Bセクション全体を「Am7から4度ずつルートが上がっていく」とだけ意識して、ルートの音を経過音に使う。それだけでも進行感が出るのじゃ

A’セクション(25〜32小節):Bm7b5→E7の処理

A'セクションのコード進行
A’セクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

A’はほぼAと同じじゃが、27〜28小節目のBm7b5→E7がポイントでのう

ぴょん吉
ぴょん吉

ここだけ別のキーに行くんだよね?

ぽん太博士
ぽん太博士

Bm7b5はBロクリアン、E7はEオルタード。AマイナーのII-Vなのじゃ。E7の上でG#を使うとAmへの解決感が出るぞい。ただし次のAm7は解決先でもありながら、すぐDm7に進んで4度進行に入っていく。だから「一瞬Aマイナーの色を見せてすぐFに戻る」くらいの気持ちで大丈夫じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

29小節目からは?

ぽん太博士
ぽん太博士

Am7→Dm7→Gm7→C7→F6の流れは、Bセクション前半と同じ4度進行でのう。ここまで来たら「Fに帰ってきた」と安心していいぞい


演奏時のポイント

イントロ: ラスト4小節(Gm7→C7→F6→Gm7 C7)をそのままイントロにするのが定番です。Fmaj7でスウィングのリズムを弾いてテーマに入る方法もあります。

ぴょん吉
ぴょん吉

Eb7から始めるイントロもあったりする?

ぽん太博士
ぽん太博士

通好みじゃがたまにあるのう。Eb7→Am7→D7→Gm7→C7と、Aセクション2〜5小節目をイントロにする方法じゃ。ただしセッションでは素直にラスト4小節が無難じゃぞい

テンポとフィール: ♩=140〜160のミディアムスウィングが基本です。Manciniの原曲はバラード寄りですが、セッションではミディアム以上がほとんどです。

アウトロ: F6(Fmaj7)で着地が基本です。Fmaj9で止めると収まりがいいです。


実践で使えるTips

ソロの回し方: 2〜3コーラスが標準です。終わりたいコーラスのA’セクションで音を減らせばバンドも察してくれます。

Bセクションで迷子にならないために: Am7が聴こえたら「4度進行開始」と切り替えましょう。ルートA→D→G→Cをベースで追えば位置がわかります。

ぴょん吉
ぴょん吉

ルートを追いかければ迷子にならない、覚えた!

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃぞい。4度進行は「次のルートが今のルートの完全4度上」というパターンが体に入ると、どの曲でも使えるようになるのじゃ

Eb7の処理: 最初は「FメジャーにEb音を混ぜる」だけでOKです。慣れたらEbリディアンb7のA音(#4)を加えるとEb7の色が際立ちます

コール方法: 「酒バラ」が最も通りがいい略称です。Fキーがほぼ前提なのでキー指定は省略可です。ギタリストに人気があり、Autumn LeavesThere Will Never Be Another Youと一緒に覚えるとレパートリーが安定します。


名演・参考音源

ぽん太博士
ぽん太博士

この曲は名演が多いぞい。特にギタリストの演奏が素晴らしいのが多いのう

Wes Montgomery — Boss Guitar (1963)

オクターブ奏法で有名なWesの演奏です。テンポが程よくBセクションの4度進行処理が参考になります。ギタリスト必聴です。

Bill Evans — At Shelly’s Manne-Hole (1963)

Evans Trioのライブ録音です。Eb7やBm7b5→E7のコンプが繊細で、ベースのChuck Israelsの4度進行処理も聴きどころです。

Oscar Peterson — We Get Requests (1964)

快速テンポでの圧巻のスウィングです。Bセクションの下降II-V連鎖を余裕で弾きこなし、フレーズの組み立てが論理的で分析しやすいです。

ぴょん吉
ぴょん吉

まずWes Montgomery版から聴いてみる!ギターの音がきれいそう

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ、Wesのオクターブ奏法で聴くとメロディの美しさが際立つぞい。Bill Evansのピアノも和声の勉強に最高じゃからのう


関連曲ガイド


まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

AセクションはFメジャー+Eb7の色気、BセクションはAm7→Dm7→Gm7→C7の4度進行…なるほど、整理できた!

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。Bセクションの4度進行さえ体に入れば、あとはAセクションのEb7を楽しむ余裕が出てくるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

「酒バラ」、セッションでやってみたい!

ぽん太博士
ぽん太博士

Eb7のところでニヤッとできるようになったら、この曲を本当に楽しめとる証拠じゃぞい。まずはFメジャーペンタで1コーラス通すところから始めるんじゃぞい

コメント

タイトルとURLをコピーしました