Days of Wine and Roses コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!「Days of Wine and Roses」ってセッションでよく聞くんだけど、映画の曲なの?

おお、「酒とバラの日々」じゃな。Henry Manciniが1962年の映画のために書いた曲でのう。アカデミー賞の歌曲賞を獲っとるぞい

映画音楽なのにジャズスタンダードになってるんだ!

Mancini本人が「メロディが勝手に流れ出た」と言うほど自然な旋律でのう。Andy Williamsの歌でヒットして、ジャズメンもこぞって取り上げるようになったのじゃ
Days of Wine and Roses の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Days of Wine and Roses(酒とバラの日々) |
| 作曲 | Henry Mancini (1962) |
| キー | F |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=130–180 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1962年の映画『The Days of Wine and Roses』のために作られた曲でのう。作詞はJohnny Mercerで、2人のコンビは前年の「Moon River」に続いて2年連続でアカデミー歌曲賞を受賞しとるのじゃ。グラミー賞のSong of the Yearも同時受賞じゃぞい

すごい…!32小節のAABA、ジャズの王道フォームだね

そうじゃのう。フォーム自体はオーソドックスなんじゃが、コード進行にManciniらしい仕掛けがあってのう。特にBセクションの下降II-V連鎖がこの曲のハイライトなのじゃ
Days of Wine and Roses のコード進行と分析

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Aセクション(1〜8小節)はFメジャー中心ですが、2小節目のEb7が独特です。Eb7はBbメジャーへのドミナント(V7/IV)として機能しますが、Bbに解決せずAm7→D7に進む「裏切り」がこの曲らしさです。
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Am7→D7はGmに解決するセカンダリーII-Vです。3〜4小節目のAm7→D7は5小節目Gm7へ向かうII-Vです。「Gマイナーへの仕込み」と捉えた方がソロで意識しやすいです。

Eb7が急に出てくるのがびっくりする

Eb7はこの曲を象徴するコードでのう。Fのトニックから突然半音下のドミナントが来る。Manciniの映画音楽っぽい色気がここに詰まっとるのじゃ。理論的にはサブドミナントマイナー系の借用和音(bVII7)として説明できるんじゃが、耳で覚えた方が早いぞい
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5〜8小節目はGm7が2小節続いた後、Eb7が再登場します。同じbVII7で、Aセクションの前半・後半をEb7が挟み込む構造です。
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Bセクション(17〜24小節)がこの曲の核心です。Am7→Dm7→Gm7→C7の下降II-V連鎖で、ルートが完全4度ずつ上昇していきます。ジャズで最も美しいパターンの一つです。

Am7→Dm7→Gm7→C7…全部m7とセブンスの繰り返しだ!

いい気づきじゃのう。この連鎖はルートが4度ずつ上がっていくから「4度進行」とも呼ばれる。ジャズのエッセンスが詰まった進行でのう。[Autumn Leaves](/autumn-leaves-analysis/)のBm7b5→E7→Am7→D7→Gmaj7の流れと同じ原理なのじゃ
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Bセクション後半のEm7b5→A7→Dm7→G7はII-V連鎖がさらに深まります。Em7b5→A7はDマイナーへのII-V、Dm7→G7はCメジャーへのII-Vで、最後のGm7→C7でFキーに着地します。3つのキーをまたぐ連鎖が一番の難所です。
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A’セクション(25〜32小節)はAセクションに似ていますが後半が違います。27〜28小節目のBm7b5→E7はAマイナーへのII-Vで一瞬寄り道します。29小節目からAm7→Dm7→Gm7→C7→F6と畳みかけて解決します。ラストのGm7→C7がターンアラウンドです。

A’セクションのBm7b5→E7が出てくるところ、ここだけ急にマイナーII-Vの響きが入るから要注意じゃぞい

そこだけ別世界に行く感じ?

そうじゃのう。AセクションのEb7が「横方向の裏切り」なら、A’セクションのBm7b5→E7は「縦方向の深掘り」。2小節で戻ってくるから、構えなくて大丈夫じゃぞい
Days of Wine and Roses のスケールガイド

博士、この曲のスケールどうすればいい?コードがけっこう動くから不安…

コードは確かに動くが、スケール選びは意外とシンプルなのじゃ

え、ほんと?

まずは2つだけ覚えればいいぞい
まずはこれだけ覚える

Aセクション(1〜8小節)はFメジャースケール1発でいける。Eb7のところだけEb音を意識すれば、それだけで十分サマになるぞい

Bセクションは?あの下降II-V連鎖…

BセクションもFメジャースケールをベースにして、4度進行に沿って「Dm7の上ではD、Gm7の上ではG」とルートを意識するだけでOKじゃ。最初のうちはFメジャーペンタトニック1発でBセクションを乗り切るのもアリでのう。ペンタなら外れる音がほとんどないから安全じゃぞい

Fメジャーペンタで全体を乗り切れるの?

Eb7の2小節だけは若干合わない音が出るが、それ以外はペンタでほぼ安全。まずは1コーラス通せることが先じゃぞい
余裕が出たらコードごとに

もう少し踏み込みたくなったら?

よし、セクションごとに見ていこうかのう
Aセクション(1〜8小節):Fメジャー + Eb7の処理


Fmaj7はFイオニアンが基本。リディアン(B音を使う)にするとちょっとおしゃれな響きになるぞい

問題のEb7は?

Eb7にはEbリディアンb7(Ebミクソリディアン#4)がきれいにハマるのじゃ。音としてはBbメロディックマイナーと同じ音列でのう。ただ、最初はEbミクソリディアンで十分。A音(#4=リディアンの特徴音)を意識できれば上出来じゃぞい

Am7→D7のところは?

Am7はAドリアン、D7はDミクソリディアン。どちらもGm7に向かうII-Vとして聴くと自然でのう。D7の上でF#を使うとGm7への解決感が強くなるぞい。ただし最初はFメジャースケールのまま弾いてもOKじゃ。D7のF#だけ後から足せばいい

Gm7のところは?

Gドリアン一択じゃぞい。Fメジャースケールと全く同じ音でのう。ここは何も考えなくていいところじゃ
Bセクション(17〜24小節):下降II-V連鎖


ここが一番不安なんだけど…

Am7→Dm7→Gm7→C7の最初の4小節は、実はFメジャースケールの音でほぼ全部カバーできるぞい。Am7はAドリアン(=Fメジャー)、Dm7はDドリアン(=Cメジャー)だからFとCの共通音が多いのじゃ

後半のEm7b5→A7→Dm7→G7は?

ここが山場でのう。Em7b5→A7はDマイナーへのII-V。A7の上でC#を使うとDm7への解決感が出る。EロクリアンとAオルタード(またはコンディミ)が定番じゃが、最初はDマイナーペンタで乗り切って構わん

Dm7→G7は?

CキーのII-V。DドリアンとGミクソリディアンで、Cメジャースケールそのものじゃぞい。続くGm7→C7でFキーに戻る。ここはFメジャースケールに帰れるから、ほっとする瞬間じゃのう

II-Vが来るたびにキーが変わるの、大変そう…

慣れるまではこう考えるといいぞい。Bセクション全体を「Am7から4度ずつルートが上がっていく」とだけ意識して、ルートの音を経過音に使う。それだけでも進行感が出るのじゃ
A’セクション(25〜32小節):Bm7b5→E7の処理


A’はほぼAと同じじゃが、27〜28小節目のBm7b5→E7がポイントでのう

ここだけ別のキーに行くんだよね?

Bm7b5はBロクリアン、E7はEオルタード。AマイナーのII-Vなのじゃ。E7の上でG#を使うとAmへの解決感が出るぞい。ただし次のAm7は解決先でもありながら、すぐDm7に進んで4度進行に入っていく。だから「一瞬Aマイナーの色を見せてすぐFに戻る」くらいの気持ちで大丈夫じゃぞい

29小節目からは?

Am7→Dm7→Gm7→C7→F6の流れは、Bセクション前半と同じ4度進行でのう。ここまで来たら「Fに帰ってきた」と安心していいぞい
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Gm7→C7→F6→Gm7 C7)をそのままイントロにするのが定番です。Fmaj7でスウィングのリズムを弾いてテーマに入る方法もあります。

Eb7から始めるイントロもあったりする?

通好みじゃがたまにあるのう。Eb7→Am7→D7→Gm7→C7と、Aセクション2〜5小節目をイントロにする方法じゃ。ただしセッションでは素直にラスト4小節が無難じゃぞい
テンポとフィール: ♩=140〜160のミディアムスウィングが基本です。Manciniの原曲はバラード寄りですが、セッションではミディアム以上がほとんどです。
アウトロ: F6(Fmaj7)で着地が基本です。Fmaj9で止めると収まりがいいです。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 2〜3コーラスが標準です。終わりたいコーラスのA’セクションで音を減らせばバンドも察してくれます。
Bセクションで迷子にならないために: Am7が聴こえたら「4度進行開始」と切り替えましょう。ルートA→D→G→Cをベースで追えば位置がわかります。

ルートを追いかければ迷子にならない、覚えた!

そうじゃぞい。4度進行は「次のルートが今のルートの完全4度上」というパターンが体に入ると、どの曲でも使えるようになるのじゃ
Eb7の処理: 最初は「FメジャーにEb音を混ぜる」だけでOKです。慣れたらEbリディアンb7のA音(#4)を加えるとEb7の色が際立ちます。
コール方法: 「酒バラ」が最も通りがいい略称です。Fキーがほぼ前提なのでキー指定は省略可です。ギタリストに人気があり、Autumn LeavesやThere Will Never Be Another Youと一緒に覚えるとレパートリーが安定します。
名演・参考音源

この曲は名演が多いぞい。特にギタリストの演奏が素晴らしいのが多いのう
Wes Montgomery — Boss Guitar (1963)
オクターブ奏法で有名なWesの演奏です。テンポが程よくBセクションの4度進行処理が参考になります。ギタリスト必聴です。
Bill Evans — At Shelly’s Manne-Hole (1963)
Evans Trioのライブ録音です。Eb7やBm7b5→E7のコンプが繊細で、ベースのChuck Israelsの4度進行処理も聴きどころです。
Oscar Peterson — We Get Requests (1964)
快速テンポでの圧巻のスウィングです。Bセクションの下降II-V連鎖を余裕で弾きこなし、フレーズの組み立てが論理的で分析しやすいです。

まずWes Montgomery版から聴いてみる!ギターの音がきれいそう

うむ、Wesのオクターブ奏法で聴くとメロディの美しさが際立つぞい。Bill Evansのピアノも和声の勉強に最高じゃからのう
関連曲ガイド
- Autumn Leaves コード解析&セッションガイド — 同じく4度進行(II-V-I連鎖)が核心です。Bセクションで鍛えた感覚がそのまま活きます。
- There Will Never Be Another You コード解析&セッションガイド — 同じAABA 32小節のメジャーキー・スタンダードです。セットで覚えると守備範囲が広がります。
まとめ

AセクションはFメジャー+Eb7の色気、BセクションはAm7→Dm7→Gm7→C7の4度進行…なるほど、整理できた!

うむ。Bセクションの4度進行さえ体に入れば、あとはAセクションのEb7を楽しむ余裕が出てくるぞい

「酒バラ」、セッションでやってみたい!

Eb7のところでニヤッとできるようになったら、この曲を本当に楽しめとる証拠じゃぞい。まずはFメジャーペンタで1コーラス通すところから始めるんじゃぞい


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