The Girl From Ipanema コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!セッションで「イパネマやろうよ」って言われたんだけど、イパネマってなに?

おおう、The Girl From Ipanemaを知らんのかい。ボサノバの超定番中の定番じゃぞい

ボサノバって、あのおしゃれなやつ?

そうじゃのう。Antonio Carlos Jobimが1962年にリオデジャネイロのイパネマ海岸で書いた曲でのう。実在する女の子にインスピレーションを受けたという有名な逸話があるんじゃのう
The Girl From Ipanema の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | The Girl From Ipanema(イパネマの娘) |
| 作曲 | Antonio Carlos Jobim (1962) |
| キー | F |
| フォーム | AABA / 40小節 |
| テンポ | ♩=120–150 |
| フィール | Bossa Nova |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |

ポルトガル語の歌詞はVinicius de Moraes、英語詞はNorman Gimbelが書いておるぞい。1964年にStan GetzとJoao Gilbertoの録音でグラミー賞を獲って世界的に大ヒットしたんじゃのう

グラミー賞!すごい!

もともとは「Dirigivel」という音楽コメディのために書かれた曲なんじゃが、今やジャズに限らずあらゆるジャンルで演奏される世界的スタンダードになったぞい。セッションでは知らないと言えないレベルの曲でのう
The Girl From Ipanema のコード進行と分析

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Aセクション(1〜8小節)はFmaj7とG13の交代が基本。Fmaj7が2小節、G13が2小節。このG13はFキーのII7(リディアンドミナント的なサブドミナント機能)で、C7に解決せずFmaj7に戻ることで浮遊感を生む。
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5小節目からGm7→Gb7(#11)→Fmaj7→Gb7(#11)が登場。Gb7(#11)はC7のトライトーン・サブスティテューション(裏ドミナント)で、Gm7→Gb7(#11)→Fmaj7の半音クロマチック下降がボサノバらしい洗練された響きを生む。1番カッコと最終Aでは8小節目もGb7(#11)でAセクション頭にターンバックし、2番カッコでは8小節目がFmaj7でBセクションに進みます。

裏ドミナントってなに?

本来Fに解決するドミナントはC7なんじゃが、C7のトライトーン(E音とBb音)と同じ音を持つGb7(#11)に置き換えたものを裏ドミナントというんじゃのう。半音で下がって解決するから、響きがスムーズなんじゃぞい

なるほど、Gb7(#11)→Fmaj7で半音下降するからおしゃれに聴こえるんだ!

その通りじゃぞい。この動きはボサノバの曲でよく出てくるから覚えておくとええぞい
- Bセクション(17〜32小節)はキーセンターが移動する16小節の転調ゾーン。Gbmaj7→B9の4小節(Gbメジャーの世界)、F#m9→D9の4小節(半音下のキーへ移動)、Gm9→Eb9の4小節(Fメジャーの世界に接近)。4小節ずつキーセンターが変わっていくのがこの曲の最大の特徴です。

転調が多くてパニックなんだけど…

落ち着け、ぴょん吉。4小節ずつキーが変わるだけじゃぞい。Gb→(半音下)→F#m/D→(半音上)→Gm/Ebと移動して、最後にFキーに戻る。各キーでメジャースケールを当てはめれば乗り切れるぞい
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29小節目のAm7→D7(b9)→Gm7→C7(b9)でFキーに帰還。Am7→D7(b9)はGm7へのセカンダリーII-V、Gm7→C7(b9)はFキーのII-V。この4小節で最後のAセクションに入ります。
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最後のAセクション(33〜40小節)は1回目のAと同一のコード進行。

要するに、Aセクションは2コードの往復でシンプル。Bセクションでキーセンターが3回変わって帰ってくる。それがこの曲の全体像じゃぞい

Aはシンプルなんだ。Bの転調パターンだけ気をつければいいんだね
The Girl From Ipanema のスケールガイド

博士、コード進行はわかった!で、アドリブするときのスケールは?

ふむ、この曲は実はスケール選びがかなりシンプルなんじゃぞい

え、転調あるのにシンプルなの?

Aセクションはほぼ1スケールで乗り切れるからのう。まずはそこから始めよう
まずはこれだけ覚える

いいかい、AセクションはFメジャースケール1発。これだけでAセクション16小節は弾けてしまうんじゃぞい

G13のところもFメジャーでいいの?

厳密にはGミクソリディアンなんじゃが、Gミクソリディアンの構成音はFメジャースケールとまったく同じでのう。だからAセクションは指を変えなくていいんじゃぞい

それはありがたい!

Bセクションの転調部分は、Gbメジャースケールをベースに、4小節ずつキーを切り替えていく。合計3つのメジャースケールで曲全体をカバーできるぞい

メジャースケール3つだけ?思ったより全然いける!

じゃろう?ボサノバの曲は転調があっても、各セクション内はシンプルなことが多いんじゃのう。[Blue Bossa](/blue-bossa-analysis/)の「2スケールで8割」と同じ発想じゃぞい
余裕が出たらコードごとに

3スケールで弾けるようになったら、次は何を覚えればいい?

コードごとに切り替えると、もっとボサノバらしい表情が出せるようになるぞい。順番に見ていこうかのう
Aセクション(1〜8小節 / 9〜16小節):Fメジャーキー


Fmaj7はFイオニアンが基本じゃのう。リディアン(B音=ナチュラル)を使うとジョビンっぽい浮遊感が出るぞい

G13のところは?

G13はGミクソリディアンなんじゃが、さっき言った通りFメジャースケールと同じ音でのう。ただ、G13の上でG音やB音を意識的に使うと「ドミナント感」が出てアドリブに方向性が生まれるぞい

Gm7→Gb7(#11)のところは?

Gm7はGドリアンで、これもFメジャーとほぼ同じ音。問題はGb7(#11)じゃのう。ここだけFメジャースケールから外れて、Gbリディアンb7(Gbメロディックマイナーの4番目のモード)を使うんじゃぞい

リディアンb7って難しそう…

実用的には、Fメジャースケールの中のA音をAb音に変えるだけでのう。Gb7(#11)の上ではA音を避けてAbを弾く、とだけ覚えればOKじゃぞい

1音変えるだけなら楽だね!
Bセクション(17〜32小節):転調ゾーン


いよいよ転調部分だね。Gbmaj7のところは?

Gbmaj7はGbイオニアン。フラットが6個もあるから一見大変そうじゃが、ピアノなら全部黒鍵+F音(白鍵1個)じゃから、むしろ弾きやすかったりするぞい

管楽器だと?

管楽器は正直ちょっとしんどいかもしれんのう。Gbメジャーペンタトニック(Gb-Ab-Bb-Db-Eb)で乗り切るのも手じゃぞい。ペンタなら音数が少ないから外しにくいのじゃ

F#m9→D9のところは?

F#m9はF#ドリアンが基本じゃ。D9はDミクソリディアンで、それぞれ個別にスケールを当てはめるのが正確じゃぞい。ただ実践的には、F#m9もD9もペンタトニックで乗り切るのが一番シンプルでのう

またスケール1つで3コード弾けるパターンだ!

そうじゃぞい。II-V-Iが出てきたら「親キーのスケール1発」を最初に試すのが鉄則なのじゃ

Am7→D7(b9)→Gm7→C7(b9)はどうすれば?

Am7→D7(b9)はGm7に向かうセカンダリーII-V。Am7はAフリジアンかAドリアン、D7(b9)はDコンディミ(Eb音を含む)で弾くとGm7への解決感が出るぞい。ただ、ここも「Fメジャースケールに戻る通過点」と考えて、Gm7からはFメジャーに戻ればOKじゃのう

転調の出入りは「切り替えポイントだけ意識」が大事でのう。途中で迷っても、次のコードで仕切り直せば大丈夫じゃぞい
演奏時のポイント
イントロ: ピアノやギターがボサのリズムでFmaj7を2〜4小節弾き、そのままテーマに入るのが最も多いパターンです。

イントロはシンプルでいいんだ!

うむ。ボサノバはリズムを出すだけでそれらしくなるからのう。凝ったイントロより、ボサのコンピングパターンをしっかり刻む方がバンド全体が入りやすいぞい
テンポとフィール: セッションでは♩=130前後が多く、ボサノバの2フィールが基本。ソロが盛り上がっても4ビートに切り替えず、ボサのまま最後まで行くことが多いです。走らないように注意。
アウトロ: Fmaj7でボサのリズムを繰り返しながらフェードアウト。最後はFmaj9やF6/9の響きで止めると収まりがいいです。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 40小節とやや長めで、ソロは1〜2コーラスが標準。AセクションはFmaj7が長く続くので音数を絞ってもカッコよく聴こえ、Bセクションで転調に乗ってフレーズを動かすメリハリが効果的です。
転調攻略: 16小節目でフレーズを一度切り、F#メジャーへの切り替えを意識するのが効果的。Blue Bossaと同じく、転調ポイントではブレスを恐れないのが大切です。

16小節目で切って、Bセクションに備えるんだね

そうじゃぞい。Bセクションが始まったらF#メジャーペンタでもいいし、F#の音でロングトーンしてもいい。「入り」さえ間違えなければ、あとは流れに乗れるぞい
コール方法: 「イパネマ」「ガールフロム」どちらでも通じます。キーは95%以上F。ボーカル入りの場合はDb等に転調もあるのでキー確認を。Fly Me To The Moonと並ぶ「ジャズを知らない人でも知っている曲」です。
名演・参考音源

最後に参考音源を紹介しておくぞい。ボサノバは耳で雰囲気を掴むのが一番大事じゃからのう
Stan Getz & Joao Gilberto — Getz/Gilberto (1964)
決定的名盤。Astrud Gilbertoのボーカル、ジョアンのギター、ゲッツのテナーが織りなす完璧なボサノバ。まずこの録音から。
Antonio Carlos Jobim — Wave (1967)
作曲者本人の版。Claus Ogermanのオーケストラアレンジが美しく、ジョビンのピアノが曲の「正解」を教えてくれます。
Sonny Rollins — Standard Sonny Rollins (1964)
ジャズ寄りのアプローチで聴くならこれ。ロリンズのテナーがボサのリズム上で自由に歌い、インスト奏者のアドリブ参考に最適。

まずGetz/Gilberto版を聴いてみる!

うむ、あのアルバムは最初から最後まで名曲だらけじゃぞい。10回は聴いてからセッションに行くんじゃぞい
関連曲ガイド
The Girl From Ipanemaを練習したら、次の曲もチェックしてみてください。
- Blue Bossa コード解析&セッションガイド — ボサノバ定番。マイナーキーで半音上への転調という共通点あり。
- Fly Me To The Moon コード解析&セッションガイド — セッション最頻出曲。メジャーキーのII-V-Iを学べます。
まとめ

Aセクションは実質Fメジャー1発、Bセクションの転調はGb→…→Fとキーセンターが移動して戻る…整理できた!

うむ、よく理解できておるのう。この曲はコード自体はシンプルじゃから、ボサのリズム感を身につけることの方が大事じゃぞい

ボサのリズムってどう練習すればいいの?

まずはGetz/Gilbertoのアルバムを聴きながら、手でリズムを取る。あの独特の「ンチャッチャ、ンチャッチャ」というパターンが体に入ればしめたものじゃぞい

よし、まずは聴き込みから始めるよ!

…あと、セッションでボサをやるときはテンポを走らせないことじゃのう。ゆったり構えるのがコツぞい


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