So What コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!今度のセッションでSo Whatやりたいんだけど、コード2つしかないって本当?

ほっほっほ、その通りじゃぞい。コードは2つだけ。だがそこがこの曲の凄みなのじゃ

コード少ないならめっちゃ簡単じゃない?

そう思うじゃろう?ところがどっこい、自由度が高い分、何を弾くか自分で決めなきゃいかんのじゃぞい。それがモーダルジャズの面白さでのう
So What の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | So What(ソー・ホワット) |
| 作曲 | Miles Davis (1959) |
| キー | Dm |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=130–160 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |

1959年のアルバム『Kind of Blue』の1曲目でのう。ジャズ史上最も売れたアルバムで、今でも週5,000枚売れているという化け物レコードなのじゃ

えっ、60年以上前のアルバムが今でも!?

それだけ時代を超えた音楽ということじゃのう。Miles Davis、John Coltrane、Bill Evans、Cannonball Adderley…メンバーが豪華すぎるぞい
So What のコード進行と分析
-
この曲はモーダルジャズの原点。従来のジャズはII-V-Iなどコード進行を軸にアドリブを組み立てますが、So Whatはコードチェンジがほとんどなく、「モード(旋法)」でアドリブする発想で作られています。
-
Aセクション(1〜16小節)はDm7が16小節続く。正確にはDm11と書かれることもありますが、セッションではDm7表記が一般的です。16小節間ずっと同じコード。II-Vもターンアラウンドもありません。

16小節同じコードって、逆に何弾いていいかわかんなくない?

最初はそう感じるのが普通じゃぞい。でもDドリアンスケールの中で自由にメロディを紡げると思えば、むしろ解放感があるんじゃのう
-
Bセクション(17〜24小節)でEbm7に半音上がる。コードがDm7からEbm7に変わる、たったそれだけ。でもこの半音の移動が絶妙な浮遊感を生むんです。スケールもDドリアンからEbドリアンに切り替わります。
-
最後のAセクション(25〜32小節)でDm7に戻る。Bセクションの浮遊感から着地する感覚があります。ここで「帰ってきた」と感じられるかどうかが、この曲をちゃんと聴けているかのバロメーターです。

要するにDm7が16小節、Ebm7が8小節、またDm7が8小節。全32小節でコードは2つだけなのじゃ

シンプルすぎてびっくりだけど、それでこんな名曲になるんだね

「何を弾かないか」を突き詰めたのがMiles Davisという人なのじゃぞい
So What のスケールガイド

博士、コード2つってことはスケールも2つだけ?

大正解じゃぞい。この曲は本当に2スケールで完結するのじゃ

Blue Bossaのときも「まず2スケール」って言ってたけど、今回はそれが全てってこと?

そうなのじゃ。他にやることがないぶん、その2つのスケールをどう使うかに全集中できるぞい
まずはこれだけ覚える

Aセクション(1〜16小節、25〜32小節)はDドリアン。Bセクション(17〜24小節)はEbドリアン。以上じゃぞい

本当にそれだけ!?

それだけなのじゃ。Dドリアンは D E F G A B C D。白鍵だけでいうとDから始めてDまで弾くだけでのう。ピアノだと黒鍵なしで弾けるぞい

あ、Dから白鍵だけ弾けばDドリアンになるんだ!

そうじゃぞい。Cメジャースケールの音をDから並べただけ。だからピアノの人は指慣らしにちょうどいい曲なのじゃ

Ebドリアンは?

Eb F Gb Ab Bb C Db Eb じゃのう。Dbメジャースケールの音をEbから並べたもの。Aセクションから半音上にずらすだけなので、指の形はそのままスライドすればいいぞい

フレットのある楽器だと本当にそのまま1フレットずらすだけだね

そこがこの曲の美しいところでのう。半音の平行移動というシンプルな構造で、深い音楽を作っているのじゃ
余裕が出たらやること

2スケールで弾けるようになったら、次は何を意識すればいい?

モーダルジャズはコードが動かないぶん、「音の選び方」と「リズム」で変化をつけるんじゃのう
Aセクション(1〜16小節 / 25〜32小節):Dm7


Dドリアンの特徴音はB音(長6度)なのじゃ。Dエオリアン(ナチュラルマイナー)だとBbになるが、ドリアンはBナチュラル。この音を意識的に使うと「ドリアンらしさ」が出るぞい

B音を狙って弾けばいいんだ

そうじゃのう。あとはコードトーンのD、F、A、Cを骨格にして、そこにスケールの装飾音を絡めていくと安定感が出るぞい

16小節もあると途中でネタ切れしそうなんだけど…

Miles Davisのソロを聴いてみるといいぞい。音数がとにかく少ない。スペース(休符)をたっぷり使って、1音1音に意味を持たせているのじゃ。「弾かない勇気」がモーダルジャズの極意じゃぞい

弾かない勇気か…難しいけどかっこいいね

Coltraneみたいにシーツ・オブ・サウンドで攻めるのもアリじゃが、最初はMilesのアプローチが参考になるぞい
Bセクション(17〜24小節):Ebm7


BセクションのEbドリアンに切り替えるとき、コツはある?

16小節目あたりでフレーズを落ち着かせて、17小節目のEbm7の響きを耳で捉えてから入るのがコツじゃのう。焦って弾き始めると、Dドリアンの音を引きずってしまうぞい

半音しか違わないのに、引きずると目立つ?

目立つのじゃ。特にD音とA音がEbドリアンには入っていないから、そのまま弾くとはっきり外れた感じがするぞい。逆に言えば、Eb音やBb音をバーンと出せば「切り替わった」と宣言できるんじゃのう

最初の音でEbかBbを出せばいいんだね!

その通りじゃぞい。セクションの頭でルートか5度を鳴らすのは、モーダルジャズに限らず有効なテクニックでのう
演奏時のポイント
イントロ: オリジナル録音ではBill Evansのピアノとベースの掛け合いによる有名なイントロがあります。
ただしセッションでそれを再現するのはかなり大変なので、実際にはベースがDm7のペダルを4〜8小節弾いて、そのままテーマに入るパターンが一番多いです。

あの有名なイントロ、セッションではやらないんだ

やれたらかっこいいんじゃが、リハなしのセッションでは現実的じゃないのう。ベースのペダルで十分雰囲気は出るぞい
テンポとフィール: セッションでは♩=136〜150くらいが多い印象です。
オリジナルは♩=136くらいで、ミディアムスイング。速すぎず遅すぎない心地よいグルーヴです。
Coltraneの「Impressions」は同じコード進行で速いテンポの曲ですが、「So What」とコールされたら基本ミディアムです。
メロディ(テーマ): ベースがメロディを弾き、ピアノやホーンが「ソー・ホワット」と答えるコール&レスポンス形式です。
レスポンスのボイシングはEb/D(Dm11的な響き)で、Bill Evansが使った4度積みのボイシングが有名です。
セッションではホーン奏者がメロディを弾くことも多いですが、本来はベースの役割です。
アウトロ: Dm7のままリタルダンドして終わるか、最後のAセクションの4小節をリピートしてフェードアウト的に終わるパターンが一般的です。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 32小節のAABA。コード2つなので構造は覚えやすいですが、Bセクションの入りを見失いがちです。「16小節数えたらB」と体に叩き込んでおくのが大事です。ソロは2〜3コーラスが一般的。
コンピング(バッキング)の特徴: Bill Evansの4度積みボイシング(いわゆる”So What voicing”)がこの曲の代名詞です。
D-G-C-F-A(下からD, G, C, F, Aと積む)というボイシングで、Bセクションではそのまま半音上げてEb-Ab-Db-Gb-Bbにします。
ピアノやギターの人は、このボイシングを覚えておくとセッションで重宝します。

“So What voicing”って名前がついてるくらい有名なんだ!

ジャズ理論の教科書には必ず出てくるぞい。4度堆積和音の代表例で、モダンジャズのサウンドを象徴するボイシングなのじゃ
コール方法: 「So What」だけで100%通じます。キーは必ずDmです。他のキーで演奏されることはまずありません。
テンポは「ミディアムで」と言えば十分。速くやりたい場合は「Impressions」をコールするのが自然です。
モーダルジャズ入門として: この曲は「モーダルジャズって何?」の最良の入口です。
Blue BossaはII-V-Iで構成された「コーダルジャズ」の入門曲ですが、So Whatはその対極にあるモーダルジャズの入門曲。
両方をやると、ジャズの2つの大きなアプローチが体感できます。
名演・参考音源

最後に聴いておくべき音源を紹介するぞい。この曲に関しては、まず1枚目が必聴なのじゃ
Miles Davis — Kind of Blue (1959)
オリジナル録音にして最高峰。Bill Evansのイントロ、Milesの空間を活かしたソロ、Coltraneの奔放なソロ、Cannonball Adderleyの歌心あるソロ。全てがジャズ史に刻まれた演奏です。So Whatをやるなら、まずこれを何度も聴いてください。
Miles Davis & John Coltrane — So What (Live, 1959)
Robert Herridge Theater向けに撮影されたライブ映像。Miles、Coltrane、Cannonball、Bill Evansが並んで演奏する姿を映像で観られる貴重な記録です。テーマのコール&レスポンスの形がよくわかります。
John Coltrane — Impressions (Jazz Casual, 1963)
So Whatと同じコード進行でColtraneが書いた曲。テンポが速く、より激しいアプローチです。Ralph J. GleasonのTV番組Jazz Casualからのライブ映像で、Coltraneの凄まじいエネルギーが画面越しに伝わります。

まずKind of Blueを聴きまくる!

うむ、あのアルバムは何度聴いても新しい発見があるぞい。通勤中にでも流しておくんじゃのう
関連曲ガイド
So Whatを練習したら、次はこちらの曲もチェックしてみてください。
- Blue Bossa コード解析&セッションガイド — II-V-Iを中心にした「コーダルジャズ」の入門曲。So Whatとは対照的なアプローチを学べます。
- Autumn Leaves コード解析&セッションガイド — メジャーとマイナーのII-V-Iが交互に出てくる構造。コード進行のある曲でのアドリブを深掘りできます。
まとめ

コード2つ、スケール2つ。覚えることは少ないのに奥が深い曲だね

まさにそこがモーダルジャズの真骨頂なのじゃ。音数を減らして、1音の重みを味わう。Milesがこの曲で示したかったのはそういうことじゃぞい

よし、まずDドリアンを弾きまくってからセッション行く!

うむ。だが弾きまくるだけじゃなくて、「弾かない」練習もするんじゃぞい。スペースを恐れるなよ

弾かない練習…がんばってみる!

ほっほっほ、その意気じゃぞい



コメント