Alone Together コード解析&セッションガイド

Alone Together コード解析&セッションガイド スタンダード解析
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Alone Together コード進行 解析&セッションガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士〜!この前セッションで「Alone Together」をやったら、途中で自分がどこを弾いてるのかわからなくなっちゃった…

ぽん太博士
ぽん太博士

おお、それはこの曲の洗礼を受けたのじゃ。Alone Togetherは44小節という変わった長さでのう。32小節のつもりで数えると、ほぼ確実に迷子になるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

44小節!?そんな中途半端な曲があるんだ

ぽん太博士
ぽん太博士

じゃが構造さえ知れば怖くないのじゃ。しかも「マイナーで始まってメジャーで着地する」美しい仕掛けを持った名曲じゃぞい

Alone Together の基本データ

項目 内容
曲名 Alone Together(アローン・トゥゲザー)
作曲 Arthur Schwartz (1932)/作詞 Howard Dietz
キー D マイナー
フォーム AABA(変形)/ 44小節
テンポ ♩=110–180
フィール Medium Swing
セッション頻出度 ★★★★☆
難易度 ★★★☆☆
ぽん太博士
ぽん太博士

1932年、Arthur SchwartzとHoward Dietzのコンビがブロードウェイのために書いた曲で、2人の作品の中でも一番ジャズメンに愛されておるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

1932年って、かなり古い曲なんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。じゃが44小節の変形フォームは当時としてはかなり実験的でのう。だからこそ90年以上たった今もセッションで生き残っておるのじゃ


Alone Together のコード進行と分析

Alone Together コード進行表
Alone Together コード進行表
  1. Aセクション冒頭はDm6→Em7b5→A7b9のマイナーII-Vループです。Dm6|Em7b5 A7b9|Dm6|Em7b5 A7b9|Dm6 と、トニックとマイナーII-Vを行き来する5小節で、基本回路「IIm7b5→V7b9→Im6」を体に入れるには最高の教材です。

  2. 6小節目のAm7b5→D7b9でGmへ一時転調します。D7b9はGm(IVm)に向かうセカンダリードミナントで、7〜8小節目はGm7に2小節滞在します。

  3. 9〜10小節目のBm7→E7は、この曲の「不思議ゾーン」です。形の上ではAに向かうII-Vに見えますが、実際はGm7→C7へ進みます。ここの解釈は諸説あります。実戦では「Bm7→E7→Gm7→C7→Fmaj7」のひとつながりで丸ごと覚えるのが早いです。

ぴょん吉
ぴょん吉

Bm7とE7って、Dマイナーの曲なのにずいぶん明るい音がするコードだよね?

ぽん太博士
ぽん太博士

よく気づいたのう。E7はF#やG#といったDmから遠い音を含むから、一瞬「どこへ行くんじゃ?」という浮遊感が出る。この違和感こそAlone Togetherの色気じゃぞい。Fmaj7に着地した瞬間の「ほっとする感じ」を現在地の目印にするのじゃ

  1. 10〜12小節はGm7→C7→Fmaj7→Em7b5→A7b9です。FメジャーはDmの平行調(bIII)なので、Fmaj7への着地はDmの世界に戻る合図です。そのままEm7b5→A7b9でトニックへ向かいます。

  2. 13〜14小節でDm6ではなくDmaj7に解決する——これがこの曲最大の特徴です。マイナーで進んできたAセクションが、最後の最後で同主長調のDメジャーに明るく着地する、ピカルディ的な解決です。この2小節の「晴れ間」がAlone Togetherの顔です。

  3. Aセクションは「12小節+2小節」の14小節構成です。1回目のAは14小節目に(Em7b5 A7b9)のターンバックを挟んで2回目のAへ、2回目のAはDmaj7を2小節伸ばしてブリッジへ進みます。「A=8小節」という思い込みで数えると迷子になるポイントです。

  4. Bセクション(29〜36小節)は二段構えのマイナーII-Vです。前半はAm7b5→D7b9→Gm6でGmへ、後半はGm7b5→C7b9→Fmaj7でFへ。同じ「IIm7b5→V7b9」の形が一段下がって繰り返されるシーケンスです。最後はEm7b5→A7b9でDmへの帰り道につきます。

  5. 最後のA’は8小節に短縮されます。Dm6|Em7b5 A7b9|Dm6|Em7b5 A7b9|Dm6 Bm7b5|Bb7 A7b9|Dm6|Em7b5 A7b9。ここにはDmaj7が現れず、マイナーのまま幕を閉じます。Bb7→A7b9は半音で下りるドミナントの定番の動きです。

ぴょん吉
ぴょん吉

つまり44小節の内訳は、14+14+8+8ってこと?

ぽん太博士
ぽん太博士

その通りじゃぞい。「Aだけ14小節で、BとA’は普通の8小節」と覚えるのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

Dmaj7が鳴ったら「Aの出口」って考えればいいんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

それが一番実戦的な目印なのじゃ。Dmaj7が聞こえたら、1回目なら頭へ、2回目ならブリッジへ。この判断さえできれば迷子は卒業じゃぞい


Alone Together のスケールガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士、コードがいっぱいあるけど、スケールはどうすればいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

見た目より整理しやすいのじゃ。この曲は「3つのゾーン」に分けて考えるぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

3つのゾーン?

ぽん太博士
ぽん太博士

DmゾーンとGmゾーンと、最後のDメジャーゾーンなのじゃ。順番に見ていくぞい

まずはこれだけ覚える

ぽん太博士
ぽん太博士

まずDm6のまわりはDドリアン一本でいけるぞい。Dm6の6th(B音)はドリアンの音そのものじゃからのう。Em7b5→A7b9も最初はDドリアンのまま通して、A7の瞬間だけC#(A7の3rd)を意識するだけでぐっとコード感が出るのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

GmのゾーンとDmaj7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

Gmに行ったら(Aの6〜10小節とBの前半)Gドリアンじゃぞい。DドリアンとはBがBbに変わるだけの1音違いじゃからのう。そして最後のDmaj7の2小節はDメジャースケール。Dドリアンから見るとFがF#に、CがC#に変わるだけなのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

「Dドリアン基本、GmでBをBbに、Dmaj7でFとCに#」…あれ、意外とシンプルかも!

ぽん太博士
ぽん太博士

そうなのじゃ。まずはこの3ゾーンの切り替えだけで1コーラス吹き切ってみる。細かいコードは後からで十分じゃぞい

余裕が出たらコードごとに

ぴょん吉
ぴょん吉

慣れてきたら次は何を意識すればいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

マイナーII-Vの精度を上げるのじゃ。この曲はIIm7b5→V7b9が何度も出てくるから、ここを磨くと曲全体が締まるぞい

Aセクション(1〜14小節):Dm → Dmaj7

Aセクションのコード進行
Aセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

Dm6はDドリアン、慣れたらDメロディックマイナーも良いのじゃ。Em7b5はEロクリアン、A7b9は基本Aミクソリディアンにb9(Bb)を足した感覚で、余裕があればAコンディミ(HWディミニッシュ)やオルタードじゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

真ん中の不思議ゾーンBm7→E7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

Bm7はBドリアン、E7はEリディアンb7が定番じゃのう。E7でG#とDを両方鳴らすと、あの浮遊感を自分の指で再現できるぞい。続くGm7はGドリアン、C7はCミクソリディアン、Fmaj7はFイオニアン(リディアンも可)なのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

最後のDmaj7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

Dイオニアン一択でいくのじゃ。ここで堂々とF#を鳴らせるかどうかが、この曲を「わかって弾いてる人」の分かれ目じゃぞい

Bセクション(29〜36小節):Gm → F

Bセクションのコード進行
Bセクションのコード進行
ぴょん吉
ぴょん吉

ブリッジのAm7b5→D7b9→Gm6はどうする?

ぽん太博士
ぽん太博士

Am7b5はAロクリアン(ロクリアン#2も可)、D7b9はDコンディミ、Gm6はGドリアンかGメロディックマイナーじゃのう。簡略化するなら「Gドリアンで通して、D7のところだけF#(D7の3rd)を出す」でも十分Gmへの解決感が出るぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

後半のGm7b5→C7b9→Fmaj7は同じ考え方でいいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ、同じ理屈で一段下がるだけなのじゃ。Gm7b5はGロクリアン、C7b9はCコンディミ、Fmaj7はFイオニアン。同じフレーズを移調して使えるから、アドリブの練習台として最高のブリッジじゃぞい

最後のAセクション(37〜44小節):Dm

最後のAセクションのコード進行
最後のAセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

前半4小節はAセクションの頭と同じ、Dドリアン+A7でC#じゃぞい。注意は5〜6小節目のDm6 Bm7b5|Bb7 A7b9じゃのう

ぴょん吉
ぴょん吉

Bb7って初登場だよね?どうすれば?

ぽん太博士
ぽん太博士

Bb7はBbミクソリディアンじゃのう。Bb7→A7b9と半音で下りるから、フレーズも半音下げてなぞるだけで様になるぞい。コードトーンのD音とAb音を押さえておけば安心なのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

最後はDmaj7にならないんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうなのじゃ。最後のA’はマイナーのまま、Em7b5→A7b9のターンバックで次のコーラスへ回っていく。「明るい出口はAセクションだけ」と覚えておくのじゃ


演奏時のポイント

イントロ: Dm6の2〜4小節ヴァンプか、Em7b5→A7b9を2回繰り返してテーマに入るパターンをよく聴きます。凝らなくても、Dm6を鳴らしてテンポを共有すれば十分成立します。

テンポとフィール: ♩=140前後のミディアムスウィングが標準です。バラード寄りの遅めで演奏されることもあり、テンポの許容範囲が広い曲です。

フォームの数え方: 「12+2」を2回、B8小節、A’8小節。頭の中で「A長い・A長い・B・A短い」と唱えながらテーマを聴くと、44小節の全体地図が体に入ります。

アウトロ: リードシート上の最後のA’はマイナーのまま終わるので、ラストはDm6(またはDm6/9)で締めるのが自然です。Dmaj7を借りて明るく終わるアレンジもあり、ここはバンド次第です。

ぴょん吉
ぴょん吉

最後マイナーで終わるかメジャーで終わるか、決まってないんだ?

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ、どちらもよく聴くのじゃ。迷ったらベースとピアノの動きに耳を澄まして合わせるのじゃぞい


実践で使えるTips

ソロの回し方: 1コーラス44小節は体感でかなり長いので、ソロは1〜2コーラスが目安です。フォーム迷子対策としては、「Dmaj7が聞こえたらAの出口」というアンカーを持つのが一番効きます。

バッキング時の注意: コンピングではAセクション13小節目のDmaj7を濁らせないことが重要です。直前までDm6でFナチュラルを弾いているので、うっかりFを残すとメジャー解決が台無しになります。

コール方法: 「Alone Together、Dマイナーで」で通じます。セッションではほぼ100%Dmです。同じマイナーの定番Softly As In A Morning Sunriseを先にやっておくと、マイナーII-Vの語彙がそのまま流用できます。

ぴょん吉
ぴょん吉

たしかにSoftlyで練習したIIm7b5→V7のフレーズ、そのまま使えそう!

ぽん太博士
ぽん太博士

マイナーII-Vは一度作れば全部の曲で使い回せる財産じゃからのう。この曲は同じ形が何度も出てくるから、実戦投入の場として最適なのじゃ


名演・参考音源

ぽん太博士
ぽん太博士

最後に参考音源じゃぞい。楽器ごとに決定的な名演があるから、聴き比べが楽しいのじゃ

Chet Baker — Chet (1959)

Bill Evans(p)、Kenny Burrell(g)、Paul Chambers(b)ら豪華メンバーによる録音です。チェットの内省的なトランペットがマイナーの憂いとDmaj7の晴れ間を丁寧に描き分けていて、テーマの歌い方の教科書になります。

Jim Hall & Ron Carter — Alone Together (1972)

ギターとベースのデュオによるライブ盤で、この曲がそのままアルバムタイトルになっています。コードの骨格がむき出しで聴こえるので、進行を耳で覚えるのに最適な録音です。

Paul Desmond — Take Ten (1963)

こちらもJim Hall(g)が参加したカルテット録音です。デズモンドの軽やかなアルトが変形フォームの上を迷いなく歌い切っていて、44小節を「長い」と感じさせません。小節を数えながら聴いてみてください。

ぴょん吉
ぴょん吉

Jim Hall、2枚に出てるんだ!

ぽん太博士
ぽん太博士

Jim Hallはこの曲の名人でのう。まずはChetで温度感、デュオ盤で進行、Take Tenでフレージングを学ぶのじゃぞい


関連曲ガイド


まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

44小節は「14+14+8+8」、Aセクションは12小節+2小節で、最後はDm6じゃなくてDmaj7に着地!

ぽん太博士
ぽん太博士

その通りじゃぞい。マイナーの物語が最後にメジャーへ晴れる、その一瞬のためにある曲なのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

スケールは「Dドリアン基本、GmゾーンでBb、Dmaj7でF#とC#」の3ゾーンから始める!

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ、飲み込みが早いのう。あとはDmaj7のアンカーさえ持てば、もう迷子にはならんぞい。…そしてのう、この曲は構造の面白さ以上にメロディが切なくて美しい。テーマをしっかり歌えるようになってからセッションに持っていくのじゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

まずはChet Bakerを聴き込むところから始める!

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