Round Midnight コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!Round Midnightっていう曲、セッションで聴いてかっこよかったんだけど、あれ自分でもできる?

おお、Round Midnightか!Thelonious Monkの代表曲じゃぞい。ジャズミュージシャンが書いた曲の中で、最も録音された曲と言われておるのじゃ

そんなにすごい曲なの!?

Monkが18歳のときに書いたと言われておってのう。1944年にCootie Williamsのオーケストラが初録音して、後にDizzy Gillespieがあの有名なイントロを付けたんじゃ。イントロ込みで「Round Midnight」として定着しておるぞい
Round Midnight の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Round Midnight(ラウンド・ミッドナイト) |
| 作曲 | Thelonious Monk (1944) |
| キー | Ebm |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=55–75 |
| フィール | Ballad |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★★☆☆ |

Monk自身が初めてリーダー録音したのが1947年。Blue Noteの名盤に入っておるぞい。1957年のソロピアノ版『Thelonious Himself』も必聴じゃのう

マイナーキーのバラードって、なんか暗そう…

暗いというよりは「深い」というのが正しいのう。真夜中の静けさを音にしたような曲でのう。クロマチックな動きとトライトーン代理が絡み合って独特の色気がある曲じゃぞい
Round Midnight のコード進行と分析

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Aセクション冒頭はEbm7から始まるマイナーバラードの王道。ベースが半音で下がり、Cm7(b5)→Abm7→Db7と動きます。Abm7→Db7はGbキーのII-Vですが、Gbに解決せずEbm6に戻るMonk流の偽終止です。
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4小節目がこの曲最大の特徴です。Bm7→E7→Bbm7→Eb7と1小節にII-Vが2つ並ぶクロマチックII-Vになっています。Bm7→E7はAキー、Bbm7→Eb7はAbキーのII-Vで、半音下がりながら連鎖します。最初は「何が起きているかわからない」のが普通です。

1小節にコード4つ!?しかもII-Vが2つ!?

バラードだからテンポは遅いぞい。♩=60くらいなら1小節4秒あるから、コード1つにつき1秒。慌てず1コードずつ追いかければ大丈夫じゃ

でもBm7→E7ってEbmと全然関係なくない?

そこがMonkの面白いところでのう。Bm7→E7はEbm7から見ると「半音上のII-V」なんじゃ。つまりEbm7のすぐ外側に一瞬飛び出して、Bbm7→Eb7で半音戻ってくる。クロマチックな「寄り道」と考えるとわかりやすいぞい
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5〜6小節目はサブドミナント領域です。Abm7→Db7(IVm7→bVII7)で安定し、Ebm7→Ab7でトニックに落ち着きます。
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7小節目のCm7(b5)→B7(#11)が絶妙です。B7(#11)はトライトーン代理でBb7への橋渡し。C→B→Bbと半音ずつ下がるベースラインが「夜の雰囲気」を作っています。

Aセクションを一言でまとめると「Ebmのトニックから始まって、クロマチックII-Vで色を付けて、半音下降のターンアラウンドで頭に戻る」。これがRound Midnightの骨格なのじゃ

半音の動きがとにかく多いんだね

そうなのじゃ。この曲のクロマチックな美しさは、全部「半音」から来ておるぞい
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Bセクション(17〜24小節)はCm7(b5)→B7(#11)→Bb7のパターンが繰り返されます。Aセクションと同じ素材でV7(Bb7)への解決を引き延ばす構造です。「Bセクション=半音下降の世界」と覚えると全体の地図が見えます。
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21〜24小節目がBセクションの出口です。Abm7→Fm7→Bb7(IVm7→IIm7→V7)でEbmキーに帰還します。Fm7→Bb7のII-Vで最後のAセクションに接続します。

Bセクション、同じコードの繰り返しが多いから覚えやすいかも

そうじゃぞい。BセクションはAセクションほど複雑ではないんじゃ。Cm7(b5)→B7→Bb7の流れを体で覚えてしまえば、半分は攻略完了じゃぞい
Round Midnight のスケールガイド

博士、コード進行はなんとなくわかった。でもスケールは何を弾けばいいの?

この曲はコードチェンジが多いから、全コードにスケールを当てるのは上級者の仕事じゃぞい。まずはシンプルにいこうかのう

お願いします…
まずはこれだけ覚える

Aセクション全体はEbマイナーペンタトニック(Eb-Gb-Ab-Bb-Db)で乗り切れるぞい。ペンタトニックはこの曲のキーのど真ん中の音だけで構成されているから、4小節目のクロマチックII-Vのところでも大きくは外れないのじゃ

え、あの難しそうな4小節目もペンタで大丈夫なの?

「完璧に合う」とは言わんが、「致命的に外れない」のがペンタの強みなのじゃ。バラードだから音数を絞って、コードチェンジのタイミングではロングトーンで逃げるのもアリじゃぞい

BセクションもEbマイナーペンタでいいの?

BセクションもEbmキーの中にいるから、Ebマイナーペンタで基本は対応できるぞい。Bb7に解決するところだけBbオルタードの響きを意識できるとなおいいが、最初はペンタ1発で通して曲の形を覚えることが先じゃ
余裕が出たらコードごとに

ペンタで1コーラス通せるようになったら、次は何を意識すればいい?

よし、ポイントになるところだけ押さえていこうかのう
Aセクション(1〜8小節):Ebmキー


Ebm7はEbドリアンが基本じゃのう。Cb(=B)音がドリアンの特性音で、エオリアンとの違いはここだけ。3小節目のEbm6ではメロディックマイナーも使えるぞい。6度のC音がm6の響きと合うんじゃ

4小節目のBm7→E7→Bbm7→Eb7はどうすればいいの?

ここが一番の難所でのう。Bm7→E7にはBドリアン→Eミクソリディアン、Bbm7→Eb7にはBbドリアン→Ebミクソリディアン。ただし最初のうちは各II-Vのルートだけ追いかけて、あとはEbマイナーペンタで繋ぐ方がバラードらしく聞こえるぞい

ルートだけ追いかけるって、どういうこと?

コードが変わるタイミングでそのコードのルート音を弾く。B→E→Bb→Eb。たったこれだけで「コードについていっている」感じが出るんじゃ。バラードだから、全部のコードにスケールを合わせなくても音楽として成立するぞい

5小節目のAbm7→Db7はAbドリアン→Dbミクソリディアン。GbキーのII-V-Iの響きで、Gbメジャースケールの音でカバーできるぞい。6小節目のEbm7→Ab7はEbドリアン→Abミクソリディアン。ここはホームキーの音なのでリラックスして弾けるはずじゃ

7小節目のCm7(b5)→B7(#11)は?

Cm7(b5)はCロクリアンじゃが、Db音(b9)がルートCの半音上で濁りやすいから経過音として使うのが無難じゃ。B7(#11)はBリディアンb7が合うぞい。ただし、ここは半音下降のラインを意識する方が大事で、C→B→Bbとルートを追うだけでもかなり様になるぞい
Bセクション(17〜24小節):V7への解決


Bセクションは同じパターンの繰り返しだから、スケールもシンプル?

1〜4小節目のCm7(b5)→B7(#11)→Bb7はAセクションのターンアラウンドと同じ素材じゃから、さっき覚えたスケールがそのまま使えるぞい

5〜8小節目は?

Abm7はAbドリアン、Fm7はFドリアン、Bb7はBbオルタード。21〜22小節目のAbm7→Fm7→Bb7はEbmキーに帰るII-V系の進行で、Ebマイナーペンタで通すこともできるぞい。Bb7のところだけオルタードの響きを入れられると「戻ってきた感」が出るのじゃ

Bbオルタードってどの音?

Bb-B-Db-D-E-Gb-Ab。半音階的な音が多いスケールでのう。最初はBb7の上でb9(B=Cb)とb13(Gb)だけ意識するといいぞい。この2音がEbmに解決する「引力」を生むのじゃ
演奏時のポイント
イントロ: Dizzy Gillespieが付けた有名なイントロが暗黙の了解です。Am7(b5)→D7(#9)→Gm7(b5)→C7(#9)→Fm7(b5)→Bb7(#9)→Ebm7と半音ずつ下降するii-V連鎖がその正体です。ピアノがルバートで弾き始め、テーマ頭からインテンポに入るパターンが多いです。

イントロを覚えないとダメなの?

テーマを弾く人(フロント楽器)は覚えた方がいいぞい。リズムセクションはコード進行を見ながら合わせればいいが、テーマのメロディとイントロは一体化しているから、イントロなしだと「あれ?」となる人が多いのじゃ

ルバートで始まるのが怖い…

ルバートはテンポを自由にできるということじゃから、逆に言えば間違えても目立ちにくいぞい。フロントの歌い方にドラムとベースが合わせてくれるから、堂々とやればいいのじゃ
テンポとフィール: ♩=55〜65のスローバラードがほぼ固定です。ドラムはブラシ、ベースは2ビートか4ビート。フレーズを詰め込みすぎるとこの曲の静謐な雰囲気が壊れます。
アウトロ: Ebmaj7(#11)で止まるのが一般的です。ピカルディ終止(マイナーキーをメジャーで終わる)で独特の余韻が残ります。
実践で使えるTips
ソロの回し方: バラードなので1〜2コーラスが標準です。少ない音で歌う方がこの曲に合います。マイルスの録音を聴くと驚くほど音数が少ないことに気づくはずです。
4小節目のクロマチックII-Vの乗り越え方: 対処法は3つあります。(1)各コードのルートだけ追う、(2)Ebマイナーペンタで通す、(3)弾かずに休む。バラードでは「弾かない」も立派な選択肢です。

弾かないのもアリなの?

Milesがこの曲を演奏するとき、4小節目で音を減らすか完全に間を空けることが多いのじゃ。コードが忙しい小節で無理にフレーズを入れるより、潔く空白を作る方がバラードとしては格段に美しいぞい
コール方法: 「Round Midnight」で通じます。キーは99% Ebマイナーです。「イントロ付きで」と確認すればスムーズです。中級者向けの認識があるので、MistyやBody and Soulでバラードに慣れてから挑むのがおすすめです。
名演・参考音源

この曲は録音が膨大にあるから、まず3つだけ聴いてみるといいぞい
Thelonious Monk — Thelonious Himself (1957)
作曲者本人によるソロピアノ版。Monk独特の「間」が堪能できる原点です。テーマの歌い方を覚えるならまずこれです。
Miles Davis — Round About Midnight (1957)
Milesのミュート・トランペットとColtraneのテナーの共演です。Gillespieイントロが定着したのはこの録音の影響が大きく、セッションの「原型」と言えます。
Wes Montgomery — The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery (1960)
ギターで聴くならこれです。Wesのオクターブ奏法とシングルノートの使い分けがバラードの温かみを引き出す名演です。テンポ感がちょうどよく、コピー入門に最適です。

Miles版を聴いてみるよ!あのイントロも覚えたいし

うむ。Miles版のイントロがセッションの「標準」になっておるから、まずあれを何度も聴いて体に入れるんじゃぞい。Monk版はその後に聴くと、原曲の骨格がよくわかるぞい
関連曲ガイド
- Misty コード解析&セッションガイド — メジャーキーのバラード定番。Round Midnightよりシンプルでバラード入門に最適です。
- Body and Soul コード解析&セッションガイド — マイナー寄りのバラード。クロマチックな世界観に近い深さがあります。
まとめ

Ebmのマイナーバラードで、クロマチックII-Vと半音下降がポイント…覚えた!

そうじゃぞい。4小節目のクロマチックII-Vは最初は捨てていい。Ebマイナーペンタで全体を通して、曲の形を体に覚えさせることが先じゃ

イントロも覚えなきゃ!

イントロは半音下降のii-V連鎖じゃから、パターンを覚えれば弾ける。まずMiles版を10回聴いて、テーマとイントロを耳で覚えてからセッションに臨むんじゃぞい

よし、やってみる!

…ただしのう、この曲はバラードの中でも「聴かせる力」が問われる曲じゃ。テクニックより音楽性が大事だぞい。一音一音を大切に弾くんじゃぞい


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