On Green Dolphin Street コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!セッションで「ドルフィンやろう」って言われたんだけど、ラテンとスウィングが切り替わるって本当?

おお、On Green Dolphin Streetか。ラテンとスウィングのフィール切替が最大の特徴でのう。セッション定番曲の一つじゃぞい

フィール切替ってことは、テーマ中にリズムが変わるってこと?

そうじゃ。AセクションはラテンでBセクションは4ビートスウィング。この行き来がこの曲の面白さなんじゃぞい
On Green Dolphin Street の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | On Green Dolphin Street(オン・グリーン・ドルフィン・ストリート) |
| 作曲 | Bronislau Kaper (1947) |
| キー | C |
| フォーム | ABAB / 32小節 |
| テンポ | ♩=140–200 |
| フィール | Medium Swing / Latin |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1947年のMGM映画『Green Dolphin Street』のテーマ曲として作られた曲でのう。映画自体はイギリスの作家Elizabeth Goudgeの小説が原作なんじゃが、ジャズスタンダードとしてはMiles DavisやBill Evansの演奏で広く知られるようになったのじゃ

映画音楽だったんだ!

そうじゃぞい。CかEbで演奏されることが多いんじゃが、セッションではCが圧倒的に多いのう。今回はCキーで見ていくぞい
On Green Dolphin Street のコード進行と分析

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Aセクション(1〜8小節)はCのペダルポイント上で和声が変化するラテンセクションです。冒頭Cmaj7から3〜4小節目でCm7に切り替わる「メジャー/マイナーの揺らぎ」がこの曲最大の仕掛けです。
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5〜6小節目はペダルポイント上のクロマティックな動きです。D7/C→Dbmaj7/CはベースがCを維持したまま上部構造だけが半音下降する仕組みです。迷子にはなりにくいです。

Cmaj7→Cm7の切り替え、なんでこんなに印象的なの?

同じルートCの上でメジャー3rd(E)がマイナー3rd(Eb)に半音下がるだけなんじゃが、たった半音で世界がガラッと変わるじゃろう。この「メジャー/マイナーの揺らぎ」がこの曲のアイデンティティなのじゃ
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Bセクション(9〜16小節)はスウィングに切り替わります。Dm7→G7→Cmaj7はCキーのII-V-Iです。
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13〜14小節目でEbメジャーに転調します。Fm7→Bb7→Ebmaj7はEbキーのII-V-Iで、Cから短3度上への転調です。15〜16小節目のDm7→G7でCキーに戻ります。

BセクションのEb転調は、この曲が「ただのスタンダード」で終わらない理由の一つでのう。CのII-V-Iで安心させておいて、突然Fm7が出てくるから「おっ」となるのじゃ

転調って聞くと緊張するけど、II-V-Iの形が同じなら覚えやすいかも

その通りじゃぞい。Fm7→Bb7→Ebmaj7の形は[There Will Never Be Another You](/there-will-never-be-another-you-analysis/)のBbキーのII-V-Iと同じパターン。キーが違うだけで動き方は一緒なのじゃ
- 後半AB(17〜32小節)は基本的に前半の繰り返しです。B’セクションのエンディングのみ異なり、Em7→A7→Dm7→G7のII-V連鎖でターンアラウンドします。ラストコーラスはC6で着地します。
On Green Dolphin Street のスケールガイド

博士、スケールはどうすればいい?Aセクションでメジャーとマイナーが切り替わるから混乱しそう…

実はこの曲、スケール選びはそこまで複雑じゃないぞい

え、本当?

まずは2つだけ覚えればいいのじゃ
まずはこれだけ覚える

Aセクションの1〜2小節はCメジャースケール、3〜4小節はCドリアン。ここだけ切り替えれば8割OKじゃぞい。5〜8小節はCメジャーに戻る感覚でいい

2スケールだけ?残りの小節は?

5小節目のD7/Cと6小節目のDbmaj7/Cはベースがペダルなので、無理にスケールを切り替えなくてもCメジャースケールをベースに弾いて、Cm7のところだけEb音を意識すればそれだけでサマになるぞい

BセクションのEb転調のところは?

Bセクションの前半はCメジャースケール(Dm7→G7→Cmaj7のII-V-I)、後半の転調部分だけEbメジャースケールに切り替える。つまりCメジャー、Cドリアン、Ebメジャーの3つで曲全体をカバーできるぞい

3つのスケールで32小節か〜、それなら覚えられそう!
余裕が出たらコードごとに

もう少し細かく弾きたくなったら?

よし、セクションごとに見ていこうかのう
Aセクション(1〜8小節):ラテン / ペダルポイント


Cmaj7はCイオニアンが基本じゃが、ここでリディアン(F#を使う)にするとラテンの浮遊感が出るぞい

Cm7に切り替わるところは?

Cm7はCドリアン一択でいいぞい。Cエオリアンとの違いはA音(ドリアン)かAb音(エオリアン)かだけ。ドリアンのA音の方がこの曲のラテンフィールには合うのじゃ

D7/Cのところは?

D7はDミクソリディアンじゃが、ベースがCのペダルなのでDミクソリディアンの音をそのまま弾いても大丈夫。次のDbmaj7/Cはちょっと特殊でのう、Dbリディアンの音がきれいに響くぞい。ただし初めのうちはCメジャースケールを弾きながらD7の上でF#を意識する程度で十分じゃぞい
Bセクション(9〜16小節):スウィング / Eb転調


スウィングセクションのDm7→G7は?

Dm7はDドリアン、G7はGミクソリディアン。全部Cメジャースケールの音でのう。ここは何も考えなくていい部分じゃぞい

問題は13小節目からだよね?

Fm7→Bb7→Ebmaj7はEbキーのII-V-I。FドリアンとBbミクソリディアンとEbイオニアン、全部Ebメジャースケールの音じゃぞい。12小節目のCmaj7を弾いている間に「次はEbの世界に入る」と準備するのがコツでのう

Ebメジャーペンタで乗り切るのもアリ?

もちろんじゃぞい。Ebメジャーペンタは外れる音がないから安全ネットになる。転調部分が不安なうちはペンタで乗り切って、慣れたらドリアンやミクソリディアンに発展させればいいのじゃ
B’セクション(25〜32小節):エンディングのII-V連鎖


B’は前半がBと同じじゃが、後半のEm7→A7→Dm7→G7が違う。Em7→A7はDマイナーキーへのII-V、Dm7→G7はCキーへのII-Vでのう

II-Vが連続するんだね

ここはCメジャースケール1発で弾いてもほぼ大丈夫じゃが、A7の上でC#を意識するとDm7への解決感が増すぞい。Em7→A7ではEドリアン、Dm7→G7ではDドリアンを使い分けられるとかっこいいのじゃ
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Dm7→G7→C6→Dm7 G7)か、Cmaj7のラテンコンプを2〜4小節弾いてテーマに入るパターンが多いです。イントロからラテンフィールで始めるのが自然です。

ラテンで入って、Bセクションでスウィングに切り替えるんだね

そうじゃぞい。ドラマーがラテンパターンからスウィングに切り替えるタイミングがこの曲の気持ちいいところでのう
テンポとフィール: ♩=150前後が多く、Aはラテン、Bは4ビートスウィングです。この切替は暗黙の了解です。ソロ中もこの切替を維持するのが一般的ですが、盛り上がると全編スウィングになることもあります。
アウトロ: C6で着地が一般的です。Cmaj9でリタルダンドして止めるか、ラテンコンプを繰り返してフェードアウトする方法もあります。
実践で使えるTips
ソロの回し方: ソロは2〜3コーラスが標準です。終わりたいコーラスのB’セクションで音を減らせば、バンドも察してくれます。
フィール切替で迷子にならないために: 「8小節ごとにラテン/スウィングが切り替わる」が基本です。Cmaj7→Cm7が聴こえたらラテン、Dm7→G7が来たらスウィングです。この2つの目印を体に染み込ませるのが先です。

Cmaj7が聴こえたらラテン、Dm7が聴こえたらスウィング…覚えた!

そうじゃぞい。コード進行とフィールがセットで体に入ると、自然と切り替えられるようになるのじゃ
Eb転調で迷子にならないために: Fm7が鳴った瞬間に「Ebの世界」と切り替えましょう。Fm7はCダイアトニック外なので耳ですぐわかります。2小節後にDm7が鳴ったら「Cに帰ってきた」でOKです。
コール方法: 「ドルフィン、Cで」で通じます。この曲をコールする場なら大体みんな知っているので心配不要です。So WhatやThere Will Never Be Another Youとセットで覚えると守備範囲が広がります。
名演・参考音源

この曲は名演が多いぞい。特にMiles Davisの演奏が有名でのう
Miles Davis — 1958 Miles (1958)
この曲をジャズスタンダードとして決定づけた録音です。Bill Evans(p)、John Coltrane(ts)という驚異のメンバーです。ラテン/スウィング切替のお手本として最初に聴くならこれがおすすめです。
Bill Evans — Portrait in Jazz (1959)
Evans, LaFaro, Motianのトリオです。ピアノトリオ解釈の最高峰で、LaFaroのペダルポイント処理も聴きどころです。
Sonny Rollins — Newk’s Time (1957)
力強いテナーでフィール切替の処理が見事です。テンポも程よくコード進行の流れが聴き取りやすいです。

まずMiles版から聴いてみる!

うむ、Bill Evansの左手のコンプもよく聴くんじゃぞい。ペダルポイントの処理がこの曲のピアニストの腕の見せどころでのう
関連曲ガイド
- So What コード解析&セッションガイド — Miles Davisの代表的レパートリーです。モーダルジャズの入門としてGreen Dolphinとセットで持っておくとセッションの幅が広がります。
- There Will Never Be Another You コード解析&セッションガイド — ミディアムテンポのスタンダードです。II-V-Iの基本パターンが共通し、Green DolphinのBセクションで鍛えた感覚がそのまま活きます。
まとめ

AセクションはCメジャーとCドリアンの切り替え、BセクションはCメジャーのII-V-IとEb転調…整理できた!

うむ、よくまとまったのう。あとはフィール切替をバッキングトラックで体に叩き込むのが大事じゃぞい

ラテンとスウィングの行き来、練習してみる!

この曲はフィール切替さえ体に入れば、コード自体はそこまで複雑じゃないからのう。Cmaj7→Cm7の切り替えを弾いた瞬間に「おっ、いい響き」と感じるようになったら、もうこの曲を楽しめるようになっとるぞい


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