Donna Lee コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!Donna Leeっていう曲をコピーしようとしたんだけど、速すぎて1小節目から挫折した…

はっはっは、Donna Leeはビバップの中でも最高難度クラスじゃからのう。テーマのメロディがとんでもなく複雑で、パーカーの名前で知られているが実はMiles Davisが書いたという説が有力なのじゃ

えっ、Miles Davis作曲なの?

Gil Evansが編曲の許可を取ろうとしたとき、パーカーが「それはMilesの曲だ」と言ったという逸話があるのじゃ。「Indiana」(正式名:Back Home Again in Indiana)のコード進行に新しいメロディを乗せたコントラファクトじゃぞい
Donna Lee の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Donna Lee(ドナ・リー) |
| 作曲 | Charlie Parker / Miles Davis (1947) |
| キー | Ab |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=200–300 |
| フィール | Up Tempo Bebop |
| セッション頻出度 | ★★★☆☆ |
| 難易度 | ★★★☆☆ |

1947年5月、Savoyスタジオでの録音がオリジナルでのう。Charlie Parker(as)、Miles Davis(tp)、Bud Powell(p)、Tommy Potter(b)、Max Roach(ds)。テーマのユニゾンだけでも圧倒的な演奏力が伝わってくるぞい

難易度★★★ってことは、これまでの曲よりだいぶ難しい?

テーマの難易度は全スタンダードの中でもトップクラスじゃぞい。ただしコード進行自体はAbメジャーのII-V-Iを中心とした典型的なビバップ進行で、分析すると意外と整理できるのじゃ
Donna Lee のコード進行と分析

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Aセクション冒頭(1〜2小節)はAbmaj7 → F7。トニックからすぐにF7(セカンダリードミナント→Bbm7を導く)が登場し、ビバップ的な連鎖ハーモニーが始まります。
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3〜4小節目のBb7が2小節続きます。AbキーのV/V(ダブルドミナント方向)です。ここからBbm7 → Eb7のII-V(5〜6小節目)を経て7小節目でAbmaj7に解決します。最初の7小節でAbmaj7 → F7 → Bb7 → Bbm7 → Eb7 → Abmaj7と一巡して戻る構造です。

コードがすごい勢いで動くね…

これがビバップの醍醐味でのう。1小節ごとにコードが変わるから、テンポが速いと追いかけるだけで精一杯になるのじゃ。ただ、俯瞰するとII-Vの連鎖がAbに向かっているだけなんじゃぞい
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8小節目のEbm7 → Ab7はDbmaj7(IVmaj7)に向かうII-Vです。2回目のAの頭でDbmaj7に着地し、サブドミナントの色彩を加えます。
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2回目のAセクション(9〜16小節)はDbmaj7 → Gb7 → Abmaj7 → F7です。Gb7(bVII7)がDbmaj7からAbmaj7への帰り道に色を添え、13小節以降はBb7 → Bbm7 → Eb7とメインのII-Vに戻ります。
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Bセクション(17〜24小節)はFm方向への転調的な動きです。Gm7(b5) → C7(b9) → FmのマイナーII-V-Iが繰り返し登場し、AbメジャーのVIm(Fm)を中心とした世界がBセクションの色彩を決めています。24小節目のBdim7はAbmaj7へ戻るパッシングディミニッシュです。

BセクションはFmの世界なんだ

そうなのじゃ。AbメジャーのVIm = Fマイナーへの一時的な転調と捉えるとすっきりするぞい。マイナーII-V-Iのパターンを何回か繰り返すだけじゃから、形さえ覚えればBセクションは意外と弾きやすいのじゃ
- 最後のAセクション(25〜32小節)は1回目とほぼ同じです。ラスト2小節にCm7 → F7 → Bbm7 → Eb7の連続II-V(BbキーのII-V → AbキーのII-V)ターンアラウンドが入り、次のコーラスのAbmaj7へつなぎます。
Donna Lee のスケールガイド

博士、コードがめちゃくちゃ動くんだけど、スケール全部覚えるのは無理じゃない?

アップテンポのビバップでコードごとにスケールを切り替えるのは、プロでも相当な修練が必要じゃぞい。だから段階的に攻めるのが正解なのじゃ

段階的に?

まずは大枠、次にキーポイント、最後にコードごと。3段階で行こうかのう
まずはこれだけ覚えましょう

AセクションはAbメジャースケール1発。BセクションはFマイナースケール(Fエオリアン)1発。この2つで全体の骨格はカバーできるぞい

2スケールで32小節全部?

厳密には合わないコードもあるが、テンポ♩=200以上では「だいたい合っている」ことの方が「完璧だけどフレーズが止まる」よりずっと良いのじゃ。まずはAbメジャーとFマイナーで全体を通せるようになるのが第一関門じゃぞい

Abメジャーペンタトニックでも大丈夫?

ペンタだとカバーできないコードが多いからのう。7音スケールの方がこの曲には向いておる。ただ困ったときにAbメジャーペンタに逃げるのは悪くない選択じゃぞい
余裕が出たらキーポイントを拾いましょう

2スケールで通せるようになったら、次はどこを詰めればいい?

まずII-Vのポイントでコードトーンを意識するのじゃ
Bbm7 → Eb7 → Abmaj7(AbキーのII-V-I = 最頻出パターン)

この曲で一番多く出てくるパターンじゃぞい。Bbドリアン → Ebミクソリディアン → Abイオニアン。これはAbメジャースケールの音そのものだから、スケールを変える必要はないんじゃが、II-Vの流れを意識してコードトーン(Bbm7のBb-Db-F-Ab、Eb7のEb-G-Bb-Db)を狙うとフレーズにコード感が出るぞい

スケールは同じでも、狙う音を変えるだけで聞こえ方が変わるんだ!
Gm7(b5) → C7(b9) → Fm(FマイナーのII-V-I)


BセクションのメインパターンじゃぞいGm7(b5)はGロクリアン、C7(b9)はCコンディミが理論上の正解じゃが、まずはFマイナー(Fエオリアン)で通してもOKじゃぞい。余裕があればC7(b9)のときにAb音(b13th)やDb音(b9th相当)を意識して使うと、マイナーII-Vの解決感がぐっと強まるのじゃ

C7(b9)でコンディミ…覚えること多いなぁ

全部一度にやる必要はないぞい。まずFマイナーで通す → C7のときだけコードトーンを意識する → 慣れたらコンディミを試す。この順番でいいのじゃ
セカンダリードミナントのF7


AセクションのF7(2小節目、12小節目)はBbm7に向かうV7じゃぞい。Fオルタード(F – Gb – Ab – A – B – Db – Eb)が響き的には正解じゃが、テンポが速いのでFミクソリディアンで十分。F7のコードトーン(F-A-C-Eb)だけ狙っても立派に聴こえるぞい
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節のターンアラウンド(Cm7 → F7 → Bbm7 → Eb7)をイントロにするのが一般的です。
テンポが速いのでドラムのカウントからすぐテーマに入ることも多いです。ビバップはテーマのユニゾンが命なので、イントロより合わせに集中した方がいいでしょう。

テーマのユニゾンが合わなかったら目立つよね…

ビバップの曲はテーマが弾けるかどうかが最初の関門なのじゃ。Donna Leeのテーマを完璧に弾けるようになるまでには相当な練習が必要じゃぞい
テンポとフィール: セッションでは♩=220〜260あたりが多い印象です。
パーカーのオリジナルは♩=260程度です。♩=220前後が現実的なラインで、テーマが弾けないテンポでコールするのは避けた方が無難です。
アウトロ: テーマ最後のAbmaj7で着地するのが最もシンプルです。ラスト2小節のII-Vを繰り返してリタルダンドするパターンもあります。
実践で使えるTips
テーマの練習法: まず♩=100〜120で正確に弾けるようにし、徐々にテンポを上げるのが王道です。テーマにはII-V-Iのアルペジオやスケールランが織り込まれているので、テーマの分析がそのままソロの語彙になります。
ソロの回し方: テンポが速いので2コーラスでも十分な長さです。意図的にスペースを作る勇気が重要で、8分音符を弾き続けるよりフレーズと休符のバランスがある方が音楽的です。

速い曲で休むの、なんか怖いんだけど…

休むと迷子になるんじゃないかという恐怖は誰でもあるのじゃ。でも実は逆で、休んでいる間にフォームの位置を確認できるから、むしろ迷子になりにくくなるぞい
IndianaとDonna Leeの関係: Indianaのコード進行に新しいメロディを乗せたコントラファクトです。コード進行が同じなのでIndianaで覚えたフレーズはDonna Leeにそのまま使えますし、逆も然りです。
コール方法: 「Donna Leeやりましょう」でOKです。ただしこの曲をコールする=テーマが弾ける前提です。テンポは「速めだけど弾けるくらいで」と伝えるのが安全です。
名演・参考音源

Donna Leeの参考音源を紹介するぞい。ビバップの真髄が詰まった演奏ばかりじゃ
Charlie Parker — Charlie Parker’s All Stars (1947, Savoy)
オリジナル録音です。Miles Davis(tp)とのテーマユニゾンが鳥肌モノです。パーカーのアルトソロはコード進行の上をどう走り回るかのお手本です。
Jaco Pastorius — Jaco Pastorius (1976)
ベースでDonna Leeを弾く衝撃のデビューアルバムです。フレットレスベースの流麗なサウンドでテーマを完璧に弾きこなしており、楽器を問わずフレージングの参考になります。
Clifford Brown — Study in Brown (1955)
ブラウニーのトランペットによるDonna Leeです。パーカーとはまた違った端正さがあり、コードチェンジの追い方が明確で分析しやすい演奏です。

Jaco Pastoriusがベースで弾いてるやつ、聴いたことある!

あれは衝撃じゃったのう。まずはパーカーのオリジナルを聴いて、テーマのメロディを耳に入れるところから始めるんじゃぞい
関連曲ガイド
Donna Leeを練習したら、次はこちらもチェックしてみてください。
- Confirmation コード解析&セッションガイド — パーカー作の別のビバップスタンダードです。コードの動きに共通点が多いです。
- Cherokee コード解析&セッションガイド — アップテンポビバップの代名詞です。テンポ耐性を鍛えるのにDonna Leeとセットで効果的です。
まとめ

Donna Lee、コード進行はII-Vの連鎖なんだね。テーマが難しいだけで構造は整理できた

そうじゃぞい。AbメジャーのII-V-IとFマイナーのII-V-Iを中心に回っているだけなのじゃ。テーマの複雑さに惑わされてはいかんぞい

まずはAbメジャーとFマイナーの2スケールで通して、テーマはゆっくりから練習…と

うむ。テーマは♩=120から始めて、毎日5BPMずつ上げていくくらいのペースでいいぞい。半年後には弾けるようになっておる

半年!?

ビバップは時間がかかるものなのじゃ。逆に言えば、Donna Leeのテーマが弾けるようになったらビバップの技術は相当なレベルに達しておるぞい。焦らず楽しんで取り組むのじゃ


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