Four コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!「Four」って曲、セッションでよくコールされるんだけど、けっこう速くない?

アップテンポの定番中の定番じゃぞい。Miles Davisが1954年に書いた曲で、Ebキーの32小節AABA。シンプルに見えて実はコード進行に仕掛けが多くてのう

仕掛け?

Aセクションにサブドミナントマイナーやセカンダリードミナントが入り込んでいて、ただのEbメジャーでは通せないところがあるのじゃ。Bセクションにはさらにトリッキーなリハモも出てくるぞい
Four の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Four(フォー) |
| 作曲 | Miles Davis (1954) |
| キー | Eb |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=160–220 |
| フィール | Up Tempo Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1954年のPrestigeセッションで録音された曲でのう。Miles Davis(tp)、Horace Silver(p)、Percy Heath(b)、Art Blakey(ds)という編成じゃ

なんで「Four」っていう曲名なの?

諸説あるんじゃが、4人編成(カルテット)で演奏されたからとも、4拍子をストレートに感じるスウィング曲だからとも言われておる。Miles自身は理由を明言してないのじゃ
Four のコード進行と分析

-
Aセクション冒頭(1〜2小節)はEbmaj7が2小節。素直なトニックから始まります。
-
3〜4小節目のEbm7 → Ab7はサブドミナントマイナー借用(AbキーのII-V)。Ebメジャーの中に一瞬Abメジャーの色が差し込まれ、メジャー3度のG音がGb音に半音下がるだけで翳りが生まれます。

3小節目でいきなりマイナーになるの?

そうなのじゃ。EbメジャーからEbマイナーへの切り替えは、メジャーの3度(G音)がマイナーの3度(Gb音)に半音下がるだけでのう。耳で聴くと「ちょっと翳る」感覚じゃぞい
-
5〜6小節目はFm7が2小節。EbキーのIIm7で、II-Vの始まりですが、直接Bb7(V7)へは行かず次の仕掛けへ進みます。
-
7〜8小節目のAbm7 → Db7はさらなるサブドミナントマイナー。GbキーのII-V(IVm7 → bVII7)で、Ebメジャーの中にGbの色が入ります。Aセクション8小節でEb→Ab方向→Gb方向と色が3回変わるのがこの曲のハーモニーの面白さです。

つまりAセクション8小節の中に、Ebメジャー→Abメジャー方向→Gbメジャー方向と、短い間に色が3回変わるんじゃぞい

速いテンポでそれを全部追うのは大変じゃない?

正直、全部きっちりスケールで追わなくてもいいぞい。それは後で話すからのう
- Bセクション(17〜24小節)はII-Vパターンの連続。Ebmaj7/Gから始まり、F#m7 → B7(EキーのII-V)でEbキーから半音上のEキーへ一瞬踏み込むのがBセクションのハイライトです。その後Fm7 → Bb7(EbキーのII-V)で元に戻ります。

BセクションのF#m7 → B7って、いきなり全然関係ないキーに行く感じ?

Ebキーから見るとかなり遠い響きに聞こえるが、「半音上のキーへのII-V」と捉えると一瞬の色変えでしかないのじゃ。ここはサウンドで覚えた方が早いぞい
- 最後のAセクション(25〜32小節)は最初のAとほぼ同じです。31〜32小節目にGm7 → Gbm7 → Fm7 → Bb7のクロマティック下行ターンアラウンドが入り、次のコーラスへスムーズにつなぎます。
Four のスケールガイド

博士、コードがけっこう動くから、スケールも大変そう…

確かにコードチェンジは多いんじゃが、アップテンポだとコードごとにスケールを切り替える余裕がないことが多いのじゃ。だから「大きく捉える」戦略が有効じゃぞい

大きく捉えるって?

まずは2つのアプローチで攻めるのじゃ
まずはこれだけ覚えましょう

Aセクションは基本的にEbメジャースケール1発で通すのじゃ。3〜4小節目のEbm7→Ab7と7〜8小節目のAbm7→Db7は確かにキー外の音が入るが、テンポが速ければEbメジャーで押し切っても大事故にはならん

本当に?マイナーになるところもメジャーで弾いていいの?

厳密には合わないところも出るが、テンポ♩=200で8分音符を弾いている中で1〜2音外れたところで聴き手はほとんど気づかん。まずはEbメジャーで全体を通す感覚を身につけることが先決じゃぞい

BセクションのF#m7 → B7は?

ここはさすがにEbメジャーだと厳しいのじゃ。F#m7 → B7の部分だけEメジャースケール(あるいはBミクソリディアン)に切り替える。切り替えが間に合わなければ、コードトーンだけ狙って乗り切るのも手じゃぞい

Ebメジャー+Bセクションの半小節だけEメジャー、これでまず通してみる!

うむ、それが現実的な第一歩じゃぞい
余裕が出たらコードごとに見てみましょう

Ebメジャー1発で通せるようになったら、次はどうする?

コードの色変わりポイントを少しずつ拾っていくのじゃ
Aセクション:色変わりポイント


3小節目のEbm7ではGb音(Ebの短3度)を意識的に使うとマイナー感が出るぞい。Ebドリアン(Eb – F – Gb – Ab – Bb – C – Db)の音を使えば正確じゃが、G音をGb音に変えるだけでも十分じゃぞい

4小節目のAb7は?

Abミクソリディアン。ただテンポが速いからAb7のコードトーン(Ab – C – Eb – Gb)を1〜2音狙うだけでも効果的じゃぞい

7〜8小節目のAbm7 → Db7は?

Abドリアン → Dbミクソリディアン。ここもテンポが速ければルートとb3rdだけ意識すれば十分で、要はAb音を押さえておけば「ちゃんと聴いてる」感が出るのじゃ
Bセクション:F#m7 → B7(EキーへのII-V)


ここが一番の山場じゃぞい。F#m7はF#ドリアン(F# – G# – A – B – C# – D# – E)でEキーのII-V。B7はBミクソリディアンが基本じゃが、Bオルタード(B – C – D – Eb – F – G – A)も使えるのじゃ

EキーのII-Vってことは、EメジャースケールでOK?

その通りなのじゃ。F#m7 → B7の2拍ずつをEメジャー1発で弾けばいい。そしてFm7に戻った瞬間にEbメジャーに切り替える。この切り替えを1回のスイッチで済ませるのがコツじゃぞい
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Abm7 → Db7 → Ebmaj7 → Fm7 Bb7)をイントロにするのが一般的です。
Ebmaj7のヴォイシングからテーマに入るシンプルなパターンもあります。アップテンポなのでテンポ感がはっきり伝わるイントロが好まれます。

ラスト4小節をイントロにするの、定番だね

Aセクションが始まるEbmaj7に自然につながるからのう。テンポカウントの代わりにもなるぞい
テンポとフィール: セッションでは♩=180〜200あたりが多い印象です。
Milesのオリジナルは♩=190程度です。♩=160でも十分にアップテンポの雰囲気が出るので、初めてなら160から始めてみましょう。4ビートのストレートアヘッドスウィングが基本です。
アウトロ: テーマ最後のEbmaj7で着地するのが一般的です。Fm7 → Bb7を繰り返してフェードアウトするパターンもあります。
実践で使えるTips
ソロの回し方: テンポが速いので2〜3コーラスが標準的です。最初は音数を抑えて、コードの変わり目でコードトーンを当てていくのが安全な戦略です。終わりたいときはラストAの前あたりでフレーズを減らすとバンドに伝わります。
サブドミナントマイナーの処理: 速いテンポではコードの変化を1音だけフラットにする程度に匂わせるだけでも十分に説得力が出ます。全コードを完璧にスケールで追ってフレーズがぎこちなくなるよりは、流れを優先した方が音楽的です。

完璧を目指すよりも流れを優先していいんだ!

アップテンポの曲ではそれが正解じゃぞい。Charlie Parkerだって全部のコードをきっちり弾いているわけではない。大事なのは「コードが変わったことを感じている」ことが演奏に滲み出ることなのじゃ
コール方法: 「Fourやりましょう」「Ebで」と一言添えれば確実に通じます。テンポは「アップで」「200くらいで」と共有しておくと安心です。「ちょっと速い曲やりたい」ときの定番です。
名演・参考音源

Fourは多くのミュージシャンに演奏されてきた名曲じゃ。参考音源を紹介するぞい
Miles Davis — Workin’ with the Miles Davis Quintet (1956)
Miles(tp)、Coltrane(ts)、Red Garland(p)、Paul Chambers(b)、Philly Joe Jones(ds)。テンポが心地よく、テーマとソロの関係がクリアに聴き取れる名演です。
Joe Henderson — Page One (1963)
Kenny Dorham(tp)との共演です。テナーサックスの太い音でFourのハーモニーを存分に味わえます。アップテンポでも余裕を感じさせるフレージングが参考になります。
Wynton Kelly — Smokin’ at the Half Note (1965)
Wes Montgomeryとの共演ライブ盤です。Wynton Kellyのピアノソロはスウィング感の塊で、Fourのグルーヴをどう活かすかの好例です。ギターの人はWesのソロも必聴です。

まずはMilesのオリジナルから聴いてみる!

うむ。Milesのテーマの吹き方に注目じゃぞい。シンプルだけど絶妙なタイム感があって、「テーマをカッコよく吹く」とはこういうことかとわかるぞい
関連曲ガイド
Fourを練習したら、次はこちらもチェックしてみてください。
- There Will Never Be Another You コード解析&セッションガイド — サブドミナントマイナーの処理が似ていて、練習の相乗効果があります。
- So What コード解析&セッションガイド — コード進行は全く違いますが、アップテンポスウィングの感覚を鍛えるペアに好適です。
まとめ

Fourって、見た目はシンプルだけどサブドミナントマイナーが効いてて面白い曲だね

そうなのじゃ。EbメジャーのI → II-Vだけでは出せない色が、Ebm7やAbm7のおかげで生まれておるのじゃ

まずはEbメジャー1発で通して、BセクションのF#m7 → B7だけ気をつける作戦で!

うむ、それでいいぞい。テンポに慣れてから色変わりを拾っていく。焦らず段階的にやるのが上達の近道じゃぞい

アップテンポ、頑張って練習する!

♩=160から始めるんじゃぞい。200で余裕を持って弾けたら、セッションで堂々とコールできるぞい


コメント