St. Thomas コード解析&セッションガイド

S039 eyecatch スタンダード解析
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St. Thomas コード進行 解析&セッションガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士〜!この前セッション行ったら、すごく陽気な曲をみんなが楽しそうに演奏してたの。カリプソっぽいリズムで

ぽん太博士
ぽん太博士

それは十中八九St. Thomasじゃのう。Sonny Rollinsの名曲で、セッションの雰囲気を一気に明るくする曲じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

私もやりたい!難しい?

ぽん太博士
ぽん太博士

コード進行はCメジャーでシンプルじゃぞい。むしろリズムとノリを楽しむ曲なのじゃ

St. Thomas の基本データ

項目 内容
曲名 St. Thomas(セント・トーマス)
作曲 Sonny Rollins (1956)
キー C
フォーム AABA / 32小節
テンポ ♩=140–200
フィール Calypso
セッション頻出度 ★★★★☆
難易度 ★☆☆☆☆
ぽん太博士
ぽん太博士

Sonny Rollinsが1956年のアルバム『Saxophone Colossus』で発表した曲でのう。St. Thomasはカリブ海のヴァージン諸島にある島の名前で、Rollinsの母親の出身地なのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

カリブ海の曲なんだ!だからあんな陽気なリズムなんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃぞい。カリプソのリズムがジャズと融合したユニークな曲で、ジャズの中でも特に「楽しい」雰囲気の1曲なのじゃ。Saxophone Colossusはジャズ史上最高のアルバムの一つと言われておるぞい


St. Thomas のコード進行と分析

St. Thomas コード進行表
St. Thomas コード進行表
  1. Aセクションは逆循環進行:I→IV→III→VI→II→V→Iです(Cmaj7→F7→Em7→A7→Dm7→G7→C6)。1小節に2コードずつ入りますが、全部Cメジャー内の動きです。
ぴょん吉
ぴょん吉

1小節に2コードって忙しくない?

ぽん太博士
ぽん太博士

カリプソのリズムだから、2拍ずつコードが変わるのが自然なグルーヴになるのじゃ。4ビートスウィングで弾くより、カリプソのリズムで弾いた方が2コードの切り替えが心地よく感じるぞい

  1. F7はCキーのIV7です。ブルースでもよく出てくるIV7で、Cメジャー中にBb音が一瞬混ざりブルージーな色合いを加える役割です。

  2. Em7→A7はDm7へのセカンダリードミナントです。A7がDm7のV7として機能し、Dm7→G7のII-Vに接続します。ドミナントモーションが次々と連鎖する構造です。

ぽん太博士
ぽん太博士

Aセクション全体を「I→IV→III→VI→II→V→I」と覚えてしまえば、あとは繰り返しなのじゃ。8小節のAセクションが2回(16小節)で全く同じコード。覚える量は実質8小節分だけじゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

16小節が同じコード!暗記が楽だ!

  1. Bセクション前半(17〜20小節)はEm7b5→A7b9→Dm7のマイナーII-V-Iです。Aセクションの明るさから一転、シリアスな色合いが出ますが、すぐDm7→G7でCメジャーに戻ります。
ぴょん吉
ぴょん吉

Bセクションだけちょっと暗い感じ?

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃぞい。Em7b5→A7b9のマイナーII-Vが「影」を落とすのじゃ。でもすぐにDm7→G7でCメジャーの明るさに戻るから、一瞬のコントラストなのじゃのう

  1. Bセクション後半(21〜24小節)がユニークです。Cmaj7→C7/E→Fmaj7→F#dim7(パッシングディミニッシュ)でF→F#→Gの半音上昇クロマチックラインを形成→G7→C6。この上昇ラインがBセクション後半の推進力です。
ぽん太博士
ぽん太博士

F→F#→G→Cというベースラインの半音上昇が気持ちいいポイントじゃぞい。ここはベースの動きを聴くと曲の構造がよくわかるのじゃ


St. Thomas のスケールガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士、スケールは何を使えばいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

この曲はCメジャーで転調なし。つまり…

ぴょん吉
ぴょん吉

Cメジャースケール1発!?

ぽん太博士
ぽん太博士

ほぼ正解じゃぞい

まずはこれだけ覚える

ぽん太博士
ぽん太博士

Aセクションは全部Cメジャースケール。BセクションもCメジャースケールで通せる。転調が一切ないから、Cメジャースケール(またはCメジャーペンタトニック)1つで32小節全部弾けてしまうのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

1スケールで全部!?こんな曲あるんだ!

ぽん太博士
ぽん太博士

カリプソ/ラテン系の曲はコード構造がシンプルなものが多いんじゃのう。その分、リズムのバリエーションやフレーズの歌心で差がつくのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

スケール的には一番簡単だね

ぽん太博士
ぽん太博士

じゃから初心者が「アドリブってこうやるのか」を体験するのに最適な曲なのじゃ。スケールの心配をせずに、リズムとフレージングに集中できるぞい

余裕が出たらコードごとに

ぴょん吉
ぴょん吉

慣れてきたら何を足す?

ぽん太博士
ぽん太博士

コードトーンを意識したアプローチじゃのう

Aセクション(1〜8小節):C major

Aセクションのコード進行
Aセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

全部Cメジャーの音なんじゃが、各コードの3rd(長3度/短3度)を意識すると、コード感がぐっと出るぞい。Cmaj7ならE音、Em7ならG音、Dm7ならF音。2拍ごとにコードが変わるから、各コードの3rdを頭に置いてフレーズを始めるだけで「コードについていってる」感じが出るのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

F7のところは?CメジャーにないBbが入るよね?

ぽん太博士
ぽん太博士

いい質問じゃのう。F7のBb音はブルーノート的な効果があるぞい。Cメジャーペンタにbを7th足してブルーススケール的に弾くと、ここが一番カッコよく響くのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

A7のところのC#は?

ぽん太博士
ぽん太博士

A7のC#もコードトーンじゃから使って問題ないぞい。ただCメジャースケールで通しても、A7の部分は経過的に流れるから最初は気にしなくて大丈夫じゃぞい

Bセクション(17〜24小節):マイナーII-V → クロマチック上昇

Bセクションのコード進行
Bセクションのコード進行
ぴょん吉
ぴょん吉

BセクションのEm7b5→A7b9は?

ぽん太博士
ぽん太博士

ここだけAセクションと少し色が変わるのう。Em7b5はEロクリアン、A7b9はAコンディミ(HWディミニッシュ)。Dm7に解決するマイナーII-Vじゃぞい。ただ最初はCメジャースケールで通して、A7のところだけBb音(b9)を入れる程度で十分じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

F#dim7は?

ぽん太博士
ぽん太博士

パッシングディミニッシュじゃから、F→F#→Gの半音上昇ラインを弾くだけで十分な効果が出るぞい。ディミニッシュスケールを当てることもできるが、この速度のパッシングでは経過音的に処理するのが自然じゃのう


演奏時のポイント

イントロ: ドラムがカリプソのリズムを4小節提示するか、ピアノがC6のカリプソコンプで入ることが多いです。「カリプソのリズムを全員で共有してから始める」のが大事です。

ぴょん吉
ぴょん吉

カリプソのリズムって具体的にどんな感じ?

ぽん太博士
ぽん太博士

「タタン・タタン・タン」というシンコペーションが特徴じゃのう。オリジナルのRollinsの録音を聴けば一発でわかるぞい。ドラムのMax Roachのカリプソパターンが絶品なのじゃ

テンポとフィール: ♩=160前後のカリプソが多いです。テーマはカリプソ、ソロで4ビートスウィングに切り替え、テーマに戻るときカリプソに戻すパターンもあります。

アウトロ: C6で全員キメか、テーマのラストフレーズを繰り返してフェードアウトします。


実践で使えるTips

ソロの回し方: 32小節AABA、ソロは2〜4コーラスです。Cメジャー1発でいけるので「リズム」に全振りできます。カリプソのリズムを活かしたシンコペーションや休符で個性を出しましょう。

カリプソのノリを出すコツ: 裏拍を強調します。通常のスウィングと違い、カリプソでは3拍目の裏にアクセントが来ます。メロディのリズムパターンをソロにも引用すると曲の雰囲気を保てます。

ぴょん吉
ぴょん吉

リズムで個性を出す曲なんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃぞい。同じCメジャースケールでも、リズムの置き方一つでJim Hallにも聞こえるしMichael Breckerにも聞こえる。リズムの面白さを発見する曲なのじゃ

コール方法: 「St. Thomas」で通じます。ほぼ100%Cです。場の雰囲気が沈んでいるときにコールすると一気に明るくなる曲です。Doxyと同じRollins系で、リズムとフレージングを楽しむ系統です。


名演・参考音源

ぽん太博士
ぽん太博士

最後に参考音源じゃぞい。カリプソのリズムを体に入れるには、とにかく聴くのが一番なのじゃ

Sonny Rollins — Saxophone Colossus (1956)

オリジナルにして決定版です。Max Roach(ds)のカリプソパターンがリズムの基準です。Rollinsの力強く歌心に溢れたテナーで、ジャズ入門者にも薦めたい1曲です。

Jim Hall — Concierto (1975)

Jim Hallの繊細なアプローチでRollinsとは全く違う表情です。全楽器のプレイヤーにフレージングの幅を広げるヒントになる演奏です。

Wynton Marsalis — Marsalis Standard Time Vol. 1 (1987)

Wyntonのトランペットでモダンに再解釈しています。テクニカルながらカリプソの楽しさを失わない演奏です。リズムセクションのインタープレイも秀逸です。

ぴょん吉
ぴょん吉

Saxophone Colossusから聴く!

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。あのアルバムはSt. Thomas以外の曲も全部名演じゃぞい。通して聴く価値があるアルバムなのじゃ


関連曲ガイド


まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

Cメジャー1発、転調なし、AABA 32小節、カリプソ!これなら私にもできそう!

ぽん太博士
ぽん太博士

スケール的には最もやさしい曲の一つじゃぞい。だからこそ「リズムで遊ぶ」ことに集中できるのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

カリプソのリズム、練習してくる!

ぽん太博士
ぽん太博士

Rollinsの録音を聴いて、あのリズムを体に染み込ませるんじゃぞい。「タタン・タタン・タン」のグルーヴが出せたら、もうSt. Thomasは攻略完了じゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

タタン・タタン・タン!了解!

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