There Is No Greater Love コード解析&セッションガイド

S040 eyecatch スタンダード解析
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There Is No Greater Love コード進行 解析&セッションガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士〜!セッションでミディアムスウィングの曲のレパートリー増やしたいんだけど

ぽん太博士
ぽん太博士

それなら There Is No Greater Love はどうじゃ?ミディアムテンポのスウィングで、コード進行も初心者に優しい曲じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

聞いたことある!でもReal Bookと違うコードで弾いてる人がいて混乱した…

ぽん太博士
ぽん太博士

おお、その問題はこの曲あるあるなのじゃ。3小節目のコードに「2つの流派」があってのう。両方知っておけば対応できるぞい

There Is No Greater Love の基本データ

項目 内容
曲名 There Is No Greater Love(ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラヴ)
作曲 Isham Jones (1936)
キー Bb
フォーム AABA / 32小節
テンポ ♩=140–200
フィール Medium Swing
セッション頻出度 ★★★★☆
難易度 ★★☆☆☆
ぽん太博士
ぽん太博士

1936年にIsham Jonesが書いた曲でのう。Isham Jones and His Orchestraの録音でWoody Hermanがヴォーカルを取っておるぞい。実はこの曲がIsham Jones楽団の最後のヒット曲で、このあと楽団はWoody Hermanに引き継がれたのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

楽団の最後の曲がスタンダードになるってすごい

ぽん太博士
ぽん太博士

Jones自身は70曲以上のヒット曲を持つ大作曲家じゃったんじゃぞい。歴史的にも重要な1曲なのじゃ


There Is No Greater Love のコード進行と分析

There Is No Greater Love コード進行表
There Is No Greater Love コード進行表
  1. Aセクション冒頭のBbmaj7→Eb7です。Eb7はBbキーのIV7で、St. ThomasのF7と同じ役割です。メジャーキーにブルージーな響きを加えるIV7は、スタンダード頻出パターンです。

  2. 3小節目に2つの流派:Real BookのAb7(bVII7)vs 多くの録音で使われるDm7(IIIm7)があります。どちらも正解ですが、セッションではDm7が多い印象です。

ぴょん吉
ぴょん吉

どっちで覚えればいいの?

ぽん太博士
ぽん太博士

まずDm7で覚えて、Ab7でも弾けるようにしておくのがおすすめじゃぞい。Dm7の方がBbキーのダイアトニックコードで自然じゃし、次のG7への接続も「IIIm7→VI7」でスムーズなのじゃ。Ab7の場合は「bVII7→VI7」という半音下降の動きになって、これはこれで美しいんじゃがのう

ぴょん吉
ぴょん吉

両方弾けるようにしておく、と

ぽん太博士
ぽん太博士

セッションでは耳で判断するのが一番じゃぞい。ピアノやギターがどちらで弾いているか聴いて合わせる。そのためにも両方のサウンドを知っておくことが大事なのじゃ

  1. 4小節目のG7はCm7へのセカンダリードミナント(V7/II)です。G7→C7→Cm7→F7→Bbというドミナントモーションの連鎖がAセクション後半の骨格です。

  2. 5〜6小節目のC7が2小節です。BbキーのV/Vで、F7に向かうセカンダリードミナントです。Perdidoのブリッジにも同じC7が登場します。2小節あるのでフレーズを発展させやすい区間です。

  3. 7〜8小節目のCm7→F7→Bbmaj7がII-V-Iの着地です。1回目のAはCm7→F7ターンバックで頭に戻り、最後のAはBb6で解決します。

ぽん太博士
ぽん太博士

Aセクションの構造は「Bbmaj7→Eb7→Dm7→G7→C7→Cm7→F7→Bb」。ドミナントモーションが段階的にBbに向かっていく「下り坂」のようなイメージじゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

G7→C7→F7→Bbって、5度ずつ下がってるね!

ぽん太博士
ぽん太博士

おお、気づいたか!サイクル・オブ・フィフスの動きが入っておるのじゃ。Perdidoのブリッジと同じ原理でのう

  1. Bセクション(17〜24小節)はAm7b5→D7b9→Gm6のマイナーII-V-Iが2回繰り返されるGm一時転調です。BbキーのVIm(Gm)にスポットライトを当てるセクションです。

  2. Bセクション後半のC7→F7でBbキーに帰還します(V/V→Vの二段構えドミナントモーション)

ぴょん吉
ぴょん吉

BセクションはGmのII-Vが2回繰り返されるだけ?

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃぞい。構造はシンプルじゃが、Aセクションの明るさからマイナーII-Vの暗さへの切り替わりが、ブリッジらしいコントラストを生んでおるのじゃ


There Is No Greater Love のスケールガイド

ぴょん吉
ぴょん吉

博士、スケールはどうすればいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

この曲もスケール的にはかなり楽な部類じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

ほんと?

ぽん太博士
ぽん太博士

2つ覚えれば全体をカバーできるのじゃ

まずはこれだけ覚える

ぽん太博士
ぽん太博士

AセクションはBbメジャースケール1発。Cm7もF7もBbmaj7もG7もC7も、全部Bbメジャーの音でいけるぞい。BセクションのAm7b5→D7b9→Gm6の部分はGマイナー系、つまりGドリアン(=Bbメジャーと同じ音)で通せるのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

え、じゃあBbメジャー1スケールで全部いけるの!?

ぽん太博士
ぽん太博士

ほぼそうなのじゃ。GドリアンとBbメジャースケールは構成音が同じじゃからのう。ただしD7b9のところだけ、Eb音(b9)を意識するとGmへの解決感が強まるぞい。最初は「全部Bbメジャー」で始めて、慣れたらD7のところにEbを入れる、というステップがいいぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

1スケールで通せる曲が意外と多いんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

BbキーのスタンダードはGm(=Bbの平行調)がブリッジに出てくる構造が多いから、「Bbメジャー=Gドリアン」のペアを覚えておくと、いろんな曲に応用できるぞい

余裕が出たらコードごとに

ぴょん吉
ぴょん吉

慣れてきたら何を意識すればいい?

ぽん太博士
ぽん太博士

Aセクションのドミナント7th連鎖にコードトーンを当てるところからじゃのう

Aセクション(1〜8小節):Bb

Aセクションのコード進行
Aセクションのコード進行
ぽん太博士
ぽん太博士

Bbmaj7はBbイオニアン。Eb7はEbミクソリディアンじゃが、Bb音がルートから5度でのう、Bbメジャースケールの中にある音ばかりじゃから切り替え不要じゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

G7とC7のところは?

ぽん太博士
ぽん太博士

G7はGミクソリディアン(B音が入る)、C7はCミクソリディアン(E音が入る)。このB音とE音はBbメジャースケールにはない音じゃが、各コードの3rdとして短く使う分には十分コード感が出るぞい。「G7でBナチュラル、C7でEナチュラル」と意識するだけで、フレーズの精度が上がるのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

Dm7のところ、Ab7で弾いてる人がいたらどうする?

ぽん太博士
ぽん太博士

Ab7の場合はAbミクソリディアン(リディアンb7も可)じゃのう。Bbメジャースケールとは結構違う音が入るから、耳で聴いて判断するのが大事。わからなければBbメジャーペンタトニックで通せば安全じゃぞい

Bセクション(17〜24小節):Gm

Bセクションのコード進行
Bセクションのコード進行
ぴょん吉
ぴょん吉

Am7b5→D7b9→Gm6は?

ぽん太博士
ぽん太博士

GmのマイナーII-Vじゃのう。Am7b5はAロクリアン、D7b9はDコンディミ(HWディミニッシュ)、Gm6はGドリアン。全部言うと3つじゃが、Gドリアン(=Bbメジャー)で通して、D7のところだけEb音(b9)を入れれば十分なのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

C7のところでBbに戻るのは体感でわかる?

ぽん太博士
ぽん太博士

C7が2小節続くから、Gm6の後にC7が鳴った瞬間に「あ、Bbに向かってる」と感じるぞい。C7→F7→(次のAセクションのBbmaj7)というドミナントチェーンが「帰り道」の目印なのじゃ


演奏時のポイント

イントロ: ラスト4小節(C7→Cm7→F7→Bb6)か、Cm7→F7を2回繰り返してテーマに入るのが一般的です。

テンポとフィール: ♩=160前後のミディアムスウィングが多いです。速すぎず遅すぎず、4ビートの基本が試される曲です。

アウトロ: Bb6→Cm7→F7ターンバックを繰り返してフェードアウトか、Bb6で止めて終了です。


実践で使えるTips

ソロの回し方: 32小節AABA、ソロは2〜3コーラスが標準です。Aセクションのドミナント連鎖(G7→C7→F7)に乗ってフレーズを組み立てると自然な「起承転結」が生まれます。

3小節目の「流派問題」への対処: まず他メンバーの演奏を聴いてDm7派かAb7派か判断します。わからなければBbメジャーペンタトニックで通せばどちらでも外れません。コンピング時は周りに合わせるか「どっちで弾きますか?」と事前確認しましょう。

ぴょん吉
ぴょん吉

聞いちゃっていいんだ!

ぽん太博士
ぽん太博士

セッションは「合わせる」のが大事じゃからのう。恥ずかしいことではないぞい。むしろ確認する人の方が信頼されるのじゃ

コール方法: 「There Is No Greater Love」で通じます。ほぼ100%Bbです。There Will Never Be Another Youと並ぶミディアム系定番で、Autumn LeavesのBbメジャー版のような立ち位置です。


名演・参考音源

ぽん太博士
ぽん太博士

最後に参考音源じゃぞい。ミディアムスウィングの手本として聴いてほしい録音を厳選したぞい

Art Blakey & The Jazz Messengers — Moanin’ (1958)

Lee Morgan(tp)、Benny Golson(ts)のフロント陣が素晴らしく、ミディアムアップのグルーヴ感が最高です。セッションの雰囲気に最も近い録音の一つです。

Sonny Rollins — A Night at the Village Vanguard (1957)

ロリンズのライブ録音です。テナー1本の力強いソロが堪能できます。コード進行上でのフレーズの紡ぎ方の手本です。

Ahmad Jamal — At the Pershing: But Not for Me (1958)

Ahmad Jamalのピアノトリオによるライブ録音です。間の使い方とダイナミクスの妙が光り、Miles Davisも絶賛した名盤です。ミディアムテンポで曲の構造がよく聴き取れます。

ぴょん吉
ぴょん吉

Art Blakeyのやつから聴いてみる!

ぽん太博士
ぽん太博士

うむ。メッセンジャーズの演奏はセッションの「お手本」になることが多いぞい。あのドライブ感を体に入れてからセッションに行くのじゃ


関連曲ガイド


まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

AセクションはBbメジャーのドミナント連鎖、BセクションはGmのマイナーII-V。シンプルだけど3小節目の流派問題だけ注意!

ぽん太博士
ぽん太博士

その通りじゃぞい。スケール的にはBbメジャー1発で通せるから、テンポとリズムに集中できる曲なのじゃ

ぴょん吉
ぴょん吉

Dm7とAb7の両方練習しておく!

ぽん太博士
ぽん太博士

えらいのう。セッションは「対応力」が大事じゃからのう。どちらが来ても動じないのが理想じゃぞい。…あとのう、この曲はメロディが本当に美しいから、テーマをしっかり歌えるようになってからソロに取り組むんじゃぞい

ぴょん吉
ぴょん吉

メロディから!了解!

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