In A Sentimental Mood コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!この前セッションでバラード弾いてる人がいて、すごく綺麗な曲だったんだけど、In A Sentimental Moodって言ってた!

おお、エリントンの名バラードじゃのう。あの半音ずつ下降するクロマチックラインが、なんとも言えない切なさを出すんじゃ

やってみたいけど、コードが独特って聞いて…

独特ではあるが、パターンがわかれば怖くないぞい。一緒に見ていこうかのう
In A Sentimental Mood の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | In A Sentimental Mood(イン・ア・センチメンタル・ムード) |
| 作曲 | Duke Ellington (1935) |
| キー | F(Aセクション: Dm → F解決) |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=60–80 |
| フィール | Ballad |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1935年にDuke Ellingtonが書いた曲でのう。ノースカロライナ州ダーラムでダンスの仕事をした後のパーティーで、即興的に生まれたと本人が語っておるぞい

即興で生まれたの!?

エリントンらしいエピソードじゃのう。Otto “Toby” Hardwickのアルトサックスをフィーチャーした録音がポップチャートで14位まで上がって、1930年代にBenny Goodman楽団なども録音しておるぞい。1961年にはJohn ColtraneとDuke Ellingtonの共演盤が有名じゃのう
In A Sentimental Mood のコード進行と分析

- Dm→Dm(maj7)→Dm7→Dm6がこの曲のシグネチャー。ルートDは固定のまま上声部が半音下降(D→C#→C→B)。この「クリシェ」が切ない雰囲気の正体です。

半音ずつ下がるから切なく聞こえるんだ!

そうじゃぞい。このパターンはMy Funny Valentineの冒頭でも使われておるのう。マイナーコードの上声部を半音で動かすテクニック、覚えておくと他の曲にも応用できるぞい
-
3〜4小節目のGm→Gm(maj7)→Gm7もDmと同じクリシェ構造です。4度上のGmで同パターンを繰り返し、4小節目後半のEm7b5→A7(DmキーのマイナーII-V)で5小節目のDmに戻ります。
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6小節目のD7はGm7へのセカンダリードミナント(V7/IV)です。DmからD7に変わる瞬間、マイナーからメジャーの色に切り替わります。続くGm7→C7b9でFキーのII-Vが成立し、Fmaj7に解決します。Aセクションは「Dmで始まりFメジャーに解決する」構造で、暗→明の移行がドラマを生んでいます。

Aセクションの骨格は「Dm(マイナー)→ F(メジャー)」の2色じゃぞい。暗い色から明るい色へ、という流れを体で覚えるのが大事なのじゃ

マイナーからメジャーに解決するんだね!
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Bセクション(17〜24小節)でFメジャーから半音下のDbメジャーへ転調します。Ellingtonらしい大胆な転調で、Dbmaj7→Bbm7→Ebm7→Ab7というDbキーのI-VI-II-V進行が基本形です。
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Bセクション後半(23〜24小節)のGm7→C7がFキーへの帰還ブリッジです。DbからFへ一気に引き戻されます。
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2回目のAセクション末尾(2番カッコ)でEbm7→Ab7が出現します。このDbキーのII-Vが次のBセクション(Dbmaj7)への導入として機能します。1回目のAセクション末尾(Em7b5→A7→Dm)とは異なるコードなので要注意です。

BセクションのDbからどうやってFに戻るの?

Gm7→C7じゃぞい。FキーのII-Vがブリッジ(橋渡し)の役割なのじゃ。Dbの世界で浮遊していたところに、突然FキーのII-Vが鳴って「あ、帰ってきた」となるんじゃのう

逆にBセクションに入る前は?

2回目のAセクション末尾がF6→Ebm7→Ab7になるんじゃぞい。1回目のAはEm7(b5)→A7→Dmで終わるが、2回目はEbm7→Ab7というDbキーのII-Vに差し替わる。これがBセクションのDbmaj7を呼び込む「予告」なのじゃ。1番カッコと2番カッコで違うコードが入るから、セッションでは耳を開けておくべきポイントじゃぞい
In A Sentimental Mood のスケールガイド

博士、スケールは何を使えばいいの?クロマチックラインとかあって難しそう…

クロマチックラインはコードの内声の動きであって、スケール選びとは別問題じゃぞい。まずは2つだけ覚えればいいのじゃ

2つ!?

うむ。AセクションとBセクションで1つずつじゃぞい
まずはこれだけ覚える

Aセクション前半(1〜5小節)はDドリアン1発。後半のGm7→C7→Fmaj7のところはFメジャースケール。BセクションはDbメジャースケール1発。この3つで全体の骨格はカバーできるぞい

あれ、AセクションのDmとFって、スケールの音ほとんど同じじゃない?

鋭いのう!DドリアンとFメジャースケールは構成音が全く同じなのじゃ。つまり実質「Aセクションは全部同じ音でいける」ということじゃぞい

えっ、じゃあAセクションはスケール1つでいいの!?

厳密にはD7のところだけF#が入るんじゃが、最初のうちはDドリアン(= Fメジャー)で通して大丈夫じゃぞい。Bセクションだけ指のポジションを変えれば、もうこの曲は弾けるのじゃ

バラードなのにスケール的にはシンプルなんだ!

そうじゃぞい。バラードだからテンポも遅いし、音数を減らして歌心で聴かせれば、スケール的な難易度は低いのじゃ
余裕が出たらコードごとに

慣れてきたら何を足せばいい?

コードの内声の動きを意識してフレーズに取り入れるんじゃぞい
Aセクション(1〜8小節):Dm → F


Dm→Dm(maj7)→Dm7→Dm6のクリシェ部分は、コードトーンの動き(D-C#-C-B)をソロに取り入れると効果的じゃぞい。Dドリアンを弾きつつ、この下降ラインを意識するだけで表情がぐっと豊かになるのじゃ

Gm→Gm(maj7)→Gm7のところも同じ?

同じ原理じゃぞい。G-F#-Fの下降ラインを活かす。Gドリアンを弾きながらこのラインを入れるのが上級テクニックじゃのう

4小節目のEm7b5→A7は?

DmキーのマイナーII-Vじゃのう。Em7b5はEロクリアン、A7はAコンディミ(HWディミニッシュ)。A7(b9)のBb音を意識するとDmへの解決感が強まるぞい。ただしバラードのテンポなら、Dドリアンで通してコードトーンを狙うだけでも十分じゃぞい

D7のところは?

DミクソリディアンじゃがF#が入る。Dドリアンとの違いはFがF#になるだけじゃから、「D7が鳴ったらFをF#に上げる」と覚えれば簡単じゃぞい
Bセクション(17〜24小節):Dbメジャーへの転調


BセクションのDbmaj7、Ebm7、Ab7は?

全部Dbメジャースケールの音じゃぞい。Dbmaj7はDbイオニアン、Bbm7はBbエオリアン、Ebm7はEbドリアン、Ab7はAbミクソリディアン。名前は違っても全部Dbメジャーの音なのじゃ

じゃあBセクションもスケール1つで通せるんだ!

その通りじゃぞい。この曲はコードの見た目が複雑に見えるが、スケール的には「Aセクション=Fメジャー系の音」「Bセクション=Dbメジャーの音」の2つで成り立っておるのじゃ

23小節目のGm7→C7でFに戻るところは?

ここは「Dbメジャーの世界からFメジャーの世界に一瞬で切り替わる」ポイントじゃぞい。Gm7が鳴った瞬間にFメジャースケールに戻せば大丈夫。バラードのテンポならフレーズを切ってリセットする余裕は十分あるぞい
演奏時のポイント
イントロ: ピアノがDm→Dm(maj7)→Dm7→Dm6のクリシェをルバートで弾いてテーマに入るのが最多パターンです。この4コードだけでイントロとして成立します。ラスト4小節(Gm7→C7→F6→Em7b5 A7)を使う方法もあります。

クリシェがそのままイントロになるんだ!

バラードは雰囲気作りが大事じゃからのう。あの半音下降を聴いた瞬間に「In A Sentimental Moodだ」とわかる人は多いぞい
テンポとフィール: ♩=65前後のスローバラードが主流です。ドラムはブラシが基本です。音と音の間の「空白」を恐れないようにしましょう。
アウトロ: Fmaj7でリタルダンドして終わるか、Dmクリシェを再度ゆっくり弾いてフェードアウトします。Fmaj9やF6/9で止めると余韻が残ります。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 32小節AABA、ソロは1〜2コーラスが標準です。バラードのテンポなので音数を減らしてフレーズの質で勝負します。クリシェの半音下降をソロに引用すると「わかってる感」が出ます。
転調で迷子にならないために: 8小節目のFmaj7着地後、Bセクションなら「次はDb」と意識します。Bセクション末尾のGm7→C7が「Fに戻る」合図です。この2つの切り替えポイントを体で覚えれば転調は怖くありません。

AとBの境目を意識すればいいんだね

そうじゃぞい。しかもBセクションの最後にGm7→C7というわかりやすいII-Vが入るから、目印としては非常に親切なのじゃ
コール方法: 「In A Sentimental Mood」で通じます。ほぼFで演奏されますが、たまにDbの人もいるので「Fで」と添えると安全です。MistyやSatin Dollと同じEllington/Strayhorn系の定番です。
名演・参考音源

最後に参考音源を紹介するぞい。この曲はメロディの美しさが命じゃから、まずは何度も聴いてメロディを体に入れることが先決じゃぞい
Duke Ellington & John Coltrane — Duke Ellington & John Coltrane (1962)
エリントンとコルトレーンの共演盤です。ピアノの温かいイントロからテナーが歌い出す瞬間は鳥肌ものです。この曲の決定版です。
Joe Pass & Ella Fitzgerald — Easy Living (1986)
ギターとヴォーカルのデュオです。Joe Passのコードワークがハーモニーの美しさを最大限に引き出しており、コンピングの参考にもなる一枚です。
Sonny Rollins — The Sound of Sonny (1957)
骨太なテナーで装飾を削ぎ落としたアプローチが、メロディの強さを浮き彫りにしています。テナー奏者は必聴です。

まずEllington & Coltraneのやつから聴くよ!

うむ、あの録音はジャズ史に残る名盤じゃぞい。何度聴いても新しい発見があるからのう
関連曲ガイド
- Misty コード解析&セッションガイド — バラード定番です。Ebキーでコード進行がよりシンプルで、バラード入門に最適です。
- Satin Doll コード解析&セッションガイド — 同じくEllingtonの名曲です。II-V連鎖のミディアムスウィングです。
まとめ

AセクションはDmのクリシェからFに解決、BセクションでDbに転調してGm7→C7で戻ってくる…覚えた!

完璧じゃぞい。しかもスケール的にはAセクション=Fメジャーの音、Bセクション=Dbメジャーの音、実質2スケールで弾けてしまうのがこの曲の嬉しいところじゃのう

見た目より全然シンプルだったね!

じゃが油断は禁物じゃぞい。バラードはシンプルだからこそ、一音一音の「歌心」が問われるのじゃ。まずはEllington & Coltraneの録音を10回聴いて、メロディを鼻歌で歌えるようになってからセッションに行くんじゃぞい

了解!鼻歌から始める!


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