Now’s The Time コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!セッションで「ブルースやろう」って言われて、Now’s The Timeってリクエストされたんだけど…

おお、Now’s The Timeか!Charlie Parkerが1945年に書いたブルースで、バップの超基本曲じゃぞい

Billie’s Bounceと同じ年に録音されたんだ?

そうなのじゃ。同じSavoyセッションで録音されておる。ただこの曲はBillie’s Bounceよりテーマメロディがキャッチーでのう。ブルースフレーズのお手本みたいな曲なのじゃ
Now’s The Time の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Now’s The Time(ナウズ・ザ・タイム) |
| 作曲 | Charlie Parker (1945) |
| キー | F |
| フォーム | 12-bar Blues |
| テンポ | ♩=130–180 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |

1945年11月26日、Savoyスタジオでのセッションがオリジナルでのう。Miles Davis(tp)、Dizzy Gillespie(p)、Curley Russell(b)、Max Roach(ds)という編成じゃぞい

Billie’s Bounceと同じメンバーだね!

そうなのじゃ。実はこの曲のメロディ、1950年代にR&Bのヒット曲「The Huckle-Buck」にそのまま流用されてのう。パーカーは印税をほとんどもらえなかったという逸話があるぞい

えっ…それはひどい!

まあ当時はそういう時代じゃったのう。ただそれだけキャッチーなメロディだったということでもあるぞい
Now’s The Time のコード進行と分析

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1〜4小節目はブルースの基本骨格です。F7(I7)→Bb7(IV7)→F7の流れは普通のブルースと同じです。4小節目のCm7→F7はBb7に向かうII-Vで、バップブルースらしい装飾です。
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5〜6小節目がバップブルースの色が出るところです。6小節目のBdim7はBb7→F7間の半音上行パッシングディミニッシュで、ベースがBb→B→Cと滑らかに上昇します。

Billie’s Bounceとコード進行同じじゃない?

いいところに気づいたのう。実際、Now’s The TimeとBillie’s Bounceのコード進行はほぼ同じなのじゃ。違うのはテーマのメロディとテンポ感。同じ器に違う料理が盛られているようなもんじゃぞい

じゃあBillie’s Bounceで覚えたことがそのまま使えるんだ!

その通りなのじゃ。だからこそ、コード進行を知っているだけでなく、テーマのメロディを大事にすることが両方の曲を弾き分けるコツじゃぞい
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7〜8小節目でターンアラウンドに向かう準備です。F7に戻った後、8小節目のAm7→D7はGm7に向かうセカンダリーII-Vです。この仕掛けで9小節目のGm7への進行が強力になります。
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9〜12小節目はターンアラウンドです。Gm7→C7(II-V)でF7に着地します。11小節後半のD7が再びGm7を呼び、12小節目のGm7→C7が次のコーラス頭へ繋ぎます。

構造としては典型的なバップブルースなのじゃ。4小節目のII-V、6小節目のディミニッシュ、8小節目のIII-VI、ターンアラウンドのII-V。この4つの「バップ的な装飾」を覚えれば、Fのバップブルースは全部同じ感覚で弾けるぞい

Fのブルースをちゃんとやれば、いろんな曲に使い回せるんだね
Now’s The Time のスケールガイド

博士、コード進行はBillie’s Bounceで覚えたよ!スケールも同じでいいの?

基本はまったく同じじゃぞい。ただ、Now’s The Timeはテンポがやや落ち着いている分、コードトーンをじっくり狙う余裕があるのじゃ

速い曲よりゆっくりの方が楽かと思ったけど、逆に間が持たなかったりしない?

するどいのう。ミディアムテンポのブルースはフレーズの「間」が大事になるんじゃ。まずはスケールを確認しよう

まずはこれだけ覚える

Billie’s Bounceと同じで、Fブルーススケール1発でまず全体を通すのじゃ

F – Ab – Bb – B – C – Ebの6音だよね

そうじゃぞい。Now’s The Timeのテーマメロディ自体がFブルーススケールの音でできておるから、スケールとメロディが自然につながるのが面白いところなのじゃ

メロディ弾いてるだけでブルーススケールの練習になるってこと?

まさにそこが、この曲がブルース入門として優れている理由じゃぞい。テーマを覚えて、そこからスケールの音を使ってバリエーションを作る。これが一番自然なソロの始め方なのじゃ

Fブルーススケール+Fミクソリディアンの2つでまずは勝負?

その通りじゃぞい。ブルーススケールでブルージーに、ミクソリディアンで明るく。この2つの切り替えだけで十分サマになるぞい
余裕が出たらコードごとに

2スケールで通せるようになったら、次はコードごとに?

うむ。[Billie’s Bounce](/billies-bounce-analysis/)で解説した通り、コードごとのスケールはそのまま当てはまるぞい。おさらいしておこう
1〜3小節目:F7(I7)

Fミクソリディアンが基本じゃぞい。F – G – A – Bb – C – D – Ebの7音でのう

メジャースケールの7度がEbになるだけだよね

そうなのじゃ。Now’s The Timeはテンポに余裕がある分、ミクソリディアンの各音をじっくり味わいながら弾けるぞい
4小節目:Cm7 → F7

Cm7はCドリアン。C – D – Eb – F – G – A – Bbの7音じゃぞい

Bb7に向かうII-Vだから、ここを意識して弾くとコード感が出るんだよね

その通りなのじゃ。ただ最初はFブルーススケールで通して構わんぞい
5〜6小節目:Bb7 → Bdim7

Bb7はBbミクソリディアン。6小節目のBdim7はコードトーンB – D – F – Abを経過的に使えばそれだけで十分じゃぞい

ディミニッシュスケールまで覚えなくてもいいの?

この1小節のためにディミニッシュスケールを仕込むのは効率が悪いのじゃ。コードトーンで十分、あるいはFブルーススケールで突っ切っても大事故にはならんぞい
8小節目:Am7 → D7

バップブルースの肝じゃぞい。Am7はAフリジアンが理論上の正解じゃが、Aドリアンで弾く方が実践的でのう

D7は?

Dミクソリディアンが基本じゃが、D7(b9)で弾くならDコンディミが効果的なのじゃ。Gm7への解決感がぐっと強まるぞい

Am7 → D7 → Gm7 → C7の連続II-Vが弾けたらバッパーの仲間入りだね!
9〜12小節目:Gm7 → C7 → F7 → ターンアラウンド

Gm7はGドリアン、C7はCミクソリディアン。FキーのII-Vで最も基本的な形じゃのう

ターンアラウンドも同じII-Vの繰り返しだから、1つ覚えればいろんなところで使い回せるんだよね

そこがブルースの美味しいところなのじゃ
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Gm7→C7→F7→Gm7 C7)が定番です。F7一発でリズムを出してからテーマに入るパターンもあります。ブルースなのでテンポとフィールが伝わればOKです。

Billie’s Bounceと同じイントロでいいの?

そうじゃぞい。同じFのブルースじゃから、イントロの型は共通なのじゃ。テーマのメロディで「あ、Now’s The Timeだ」とわかる仕組みじゃからのう
テンポとフィール: ♩=140〜160のミディアムスウィングが多いです。パーカーのオリジナルも♩=130程度です。ゆったりしている分フレーズの「間」がよく聴こえるので、「弾きすぎない」ことがこの曲のソロでは最重要です。
アウトロ: 最後のF7でリタルダンドして終わるのが最もシンプルです。エンディングで悩むことはほぼない曲です。
実践で使えるTips
ソロの回し方: 12小節なので2〜3コーラス以上が標準です。終わりたいときはラストコーラス頭でテーマのモチーフを引用すると周りが察してくれます。
テーマのメロディを活かしたソロ: テーマのモチーフをソロ中に引用して展開するのはパーカー自身もやっている手法です。リズムパターンを借りて別の音で弾いたり、断片をソロ冒頭に使って発展させたりします。メロディックなソロの練習に最適です。

テーマのフレーズをソロに混ぜていいんだ!

むしろ積極的にやるべきなのじゃ。テーマとソロがつながっている方が音楽として自然でのう。パーカーの録音を聴くと、ソロの中にテーマの断片がさりげなく入っておるぞい
コール方法: 「Now’s The Time」で通じます。キーはほぼFです。「Fのブルース」だとBillie’s Bounceと被るので曲名を明確にしましょう。

「Fのブルース」だけだとBillie’s Bounceとかぶるんだね

そうなのじゃ。テーマが違うから「Now’s The Timeで」と曲名を言うのが大事じゃぞい。あるいは逆に「Fのブルースならなんでもいい」という場面もあって、そのときはどちらでも対応できるようにしておくのがセッションプレイヤーの嗜みなのじゃ
名演・参考音源

最後に参考音源を紹介しておくぞい。Now’s The Timeはパーカーの録音がまず必聴じゃからのう
Charlie Parker — Now’s The Time (1945, Savoy)
オリジナル録音です。パーカーのソロはブルースフレーズの教科書です。ソロでのメロディックな展開が見事で、若きMiles Davisのソロも聴きどころです。
Sonny Rollins — Now’s the Time! (1964)
Rollinsがテナーの太い音でブルースを歌い上げます。Herbie Hancockとの共演で、フレーズコピーに取り組みやすい音源です。
Dexter Gordon — Live at Jazzhus Montmartre (1967)
コペンハーゲンのJazzhus Montmartreでのライブ録音です。Dexter Gordonのテナーがゆったりとブルースを歌い上げ、ミディアムテンポでフレーズの間の取り方が参考になります。

まずはパーカーのオリジナルから聴いてみる!

うむ。テーマのメロディを口ずさめるくらいまで聴き込むのじゃぞい。ブルーススケールの音がどう使われているか、耳で確認するのが一番の近道じゃからのう
関連曲ガイド
- Billie’s Bounce コード解析&セッションガイド — 同じFのバップブルース。コード進行がほぼ同じなのでテーマの弾き分け練習になります。
- So What コード解析&セッションガイド — モードジャズ入門曲。ブルースとは違うソロ構築を学べます。
まとめ

Now’s The Timeって、コード進行はBillie’s Bounceと同じなのにテーマが全然違うんだね

そうじゃぞい。だからこそ「メロディが曲を決める」ということがよくわかる教材なのじゃ。コード進行を覚えたら、次はテーマのメロディをしっかり歌えるようにすることが大事じゃぞい

Fブルーススケール1発で通して、余裕が出たらコードごとにスケールを使い分ける…と

うむ、それでいいぞい。ミディアムテンポだから焦る必要はない。間を大事にして、テーマのモチーフを活かしたソロを目指すのじゃ

よし、まずテーマのメロディ覚えてくる!

よし、いい心がけじゃぞい。パーカーの録音を10回聴いて、口ずさめるようになってからセッションに行くのじゃぞい


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