Bye Bye Blackbird コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!セッションで「とりあえずブラックバードやろう」って言われたんだけど、あれって定番なの?

Bye Bye Blackbirdじゃのう。セッション頻出度は最高クラスの曲じゃぞい。Fメジャーでコードもやさしいから、初心者の登竜門と言われておるのじゃ

でも真ん中あたりで急にコードが半音ずつ下がっていくところがあって、あそこで迷子になった…

おお、Bセクションのクロマチック・ドミナントじゃのう。この曲の一番の聴かせどころで、一番の落とし穴でもあるのじゃ。今日はそこを重点的に見ていくぞい
Bye Bye Blackbird の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Bye Bye Blackbird(バイ・バイ・ブラックバード) |
| 作曲 | Ray Henderson / 作詞 Mort Dixon (1926) |
| キー | F |
| フォーム | A(16小節)+B(8小節)+C(8小節) / 32小節 |
| テンポ | ♩=120–220 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1926年生まれの古いポップソングでのう。ジャズの定番になった決定打は、1957年のMiles Davisの録音じゃぞい。あれ以降「ジャズでやる曲」として完全に定着したのじゃ

100年前の曲を今もセッションでやってるって、すごい話だよね

フォームは前半16小節のAと、後半8+8のB・Cという構成で見るとわかりやすいぞい。AABAではないから、頭の中の地図を最初に作っておくのが大事なのじゃ
Bye Bye Blackbird のコード進行と分析

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Aセクション冒頭はFmaj7 | Gm7 C7 | Fmaj7 | Gm7 C7です。I→II-Vを2回繰り返すだけの、Fメジャーの教科書のような出だしです。
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5〜6小節目でFmaj7→Am7b5→D7b9と進み、Gm7へ向かうマイナーII-Vが現れます。D7b9はGm7に解決するセカンダリードミナントです。譜面によっては5小節目からAm7b5を弾く版や、D7b9を長めに取る版もあり、ここは諸説あります。

Am7b5って、Fメジャーの曲なのに急に暗い響きになるよね?

それが狙いなのじゃ。明るいFの世界から一瞬影が差して、Gm7に着地する。この明暗の切り替わりがこの曲の表情を作っておるんじゃぞい
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7〜14小節はGm7に長く滞留します。Gm7→C7を基本に、10小節目のD7で再びGm7に戻されるのがポイントです。Gm7 | C7 | Gm7 | D7 | Gm7 | C7 | Gm7 | C7という流れで、C7がFに解決しそうで解決しない「じらし」の区間です。
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15〜16小節でようやくF6に解決します。前半16小節だけでひとつの物語が完結する構造です。

Gm7ばっかり続くところ、ソロで何を弾けばいいかわからなくなるんだよね

みんな最初はそうなのじゃ。逆に言えばコードチェンジに追われない区間じゃから、リズムやモチーフの反復で聴かせる練習台になるぞい。D7が鳴った瞬間だけF#の音を意識すると、進行に乗っている感じが出るのじゃ
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Bセクション(17〜20小節)はF7 | E7 | Eb7 | D7b9のクロマチック下降ドミナントです。ドミナント7thが半音ずつ下がり、最後のD7b9がGm7へ解決します。この曲の最大の聴かせどころです。なお、E7を弾かずF7を2小節伸ばす版もあります。
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21〜24小節はGm7が2小節続いたあと、Db7からC7へ半音上から滑り込みます。Db7はいわゆる裏コード的なドミナント(bVI7)で、C7への半音アプローチが強い推進力を生みます。

F7→E7→Eb7→D7って、ほんとにきれいに半音ずつ下がってるんだ!

そうじゃぞい。ベースラインがそのまま「下り階段」になっておるから、聴けばすぐ場所がわかる。ソロでもこの階段を音でなぞるだけで、ちゃんと弾けている感じが出るのじゃ
- Cセクション(25〜32小節)はAセクションの凝縮版です。Fmaj7 | Gm7 C7 | Fmaj7 | Am7b5 D7b9 | Gm7 | C7 | F6と進み、最後はGm7 C7のターンバックで頭に戻ります。

全体像は「A=Fの世界とGm7のじらし」「B=半音下降の階段」「C=Aのまとめ」じゃぞい。覚える材料は実質2つしかないのじゃ
Bye Bye Blackbird のスケールガイド

博士、スケールはどうすればいい?半音下降のところが不安…

安心せい。この曲は9割がFメジャースケールで弾ける曲なのじゃ

え、Bセクションもいけるの?

そこだけは工夫がいるんじゃがのう。順番に説明するぞい
まずはこれだけ覚える

AセクションとCセクションはFメジャースケール1発でいけるぞい。Fmaj7もGm7もC7もF6も、全部Fメジャーの音の中じゃからのう。例外はAm7b5→D7b9のところで、ここだけD7の3rdであるF#を通ると響きがぐっと締まるのじゃ

じゃあ問題のBセクションは?

最初は欲張らず、各コードのルートと3rd・7thだけ追うのじゃ。F7→E7→Eb7→D7b9はコードトーン自体が半音ずつ平行移動するから、同じ形のフレーズを半音ずつずらすだけで成立するぞい。むしろスケールを全部弾こうとするより簡単なのじゃ

同じ手癖を半音ずつずらせばいいだけ?それならできそう!

そうじゃぞい。「A・CはFメジャー1発、Bは半音スライド」。この2つだけでこの曲は最後まで通せるのじゃ
余裕が出たらコードごとに

慣れてきたら次は何を意識すればいい?

セクションごとに、コードの機能に合ったスケールを当てはめていくのじゃ
Aセクション(1〜16小節):F


Fmaj7はFイオニアン、Gm7はGドリアン、C7はCミクソリディアン。名前は3つあるが構成音は全部同じ、Fメジャーの音じゃぞい

Am7b5とD7b9のところは?

Am7b5はAロクリアン、D7b9はDミクソリディアンが基本で、b9のニュアンスを出したければコンビネーション・オブ・ディミニッシュ(HWディミニッシュ)やオルタードもハマるのじゃ。まずはF#とEbの2音を意識するだけでも十分ぞい

10小節目のD7も同じ考え方?

うむ、Dミクソリディアンじゃぞい。Gm7の海の中でD7のF#がキラッと光る、そこがこの区間の目印になるのじゃ
Bセクション(17〜24小節):クロマチック・ドミナント


F7はFミクソリディアン、E7はEリディアンb7、Eb7はEbミクソリディアン、D7b9はDミクソリディアン(オルタードやコンディミも可)じゃぞい

E7だけリディアンb7なのはどうして?

E7は裏コード的な経過ドミナントとして分析されることが多いからじゃのう。ただこのあたりの解釈は諸説あるから、実際はミクソリディアンで弾いても破綻しないぞい

後半のDb7→C7は?

Db7はDbリディアンb7、C7はCミクソリディアンじゃぞい。Db7は半音上からC7に降りる裏コードじゃから、DbのフレーズをそのままCに半音下げて着地すると、それだけでプロっぽく聞こえるのじゃ
Cセクション(25〜32小節):F


考え方はAセクションと全く同じじゃぞい。Fイオニアン・Gドリアン・Cミクソリディアンの世界に、Am7b5→D7b9の一瞬の影が差すだけなのじゃ

最後のGm7→C7は?

頭に戻るためのターンバックじゃから、Fメジャーのまま次のコーラスのFmaj7に向かってフレーズを投げておけばよいぞい。ラストコーラスならF6で気持ちよく着地するのじゃ
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Gm7 | C7 | F6 | Gm7 C7)を使うのが手軽です。ピアノトリオならGm7→C7のターンバックを2回繰り返してからテーマに入る形もよく見ます。
テンポとフィール: ♩=140〜180前後のミディアムスウィングが主流です。テンポレンジが120〜220と広い曲なので、カウントを出す人のテンポをよく確認しましょう。Miles Davisの録音のような、ゆったりした4ビートの「間」を楽しむ曲です。
アウトロ: Gm7→C7→F6のターンバックを繰り返してエンディングをかけるか、最後のF6でリタルダンドして終わるのが定番です。

テンポの幅が広いんだね。速いのと遅いの、どっちで練習すべき?

まずは♩=140くらいのミディアムがよいのじゃ。この曲は速さよりも、8分音符のスウィング感とGm7区間の我慢が試される曲じゃからのう
実践で使えるTips
ソロの回し方: 32小節1コーラス、ソロは2〜3コーラスが標準です。Bセクションの半音下降(F7→E7→Eb7→D7b9)はコーラスの中で一番目立つ場所なので、ここに山場を持ってくると構成が締まります。逆にGm7の滞留区間は音数を減らして「ため」を作ると効果的です。
迷子対策: 形式がAABAではないので、「16小節目のF6」と「Bの半音下降」の2つを耳のチェックポイントにしましょう。半音下降が聞こえたら17小節目、と覚えておけば復帰できます。
コール方法: 「Bye Bye Blackbird」または「ブラックバード」で通じます。キーはほぼ100%Fです。同じくFに親和性の高い定番のFly Me To The MoonやAll of Meとセットでレパートリーにしておくと、セッション序盤の定番曲コールにひと通り対応できます。

「ブラックバード」って言ったらBeatlesの曲と間違われない?

ジャズセッションの文脈なら、まずBye Bye Blackbirdで通じるぞい。心配ならフルタイトルでコールすればよいのじゃ
名演・参考音源

参考音源じゃぞい。この曲は「ジャズ史の教科書」級の録音が揃っておるから、聴き比べが楽しいのじゃ
Miles Davis — ‘Round About Midnight (1957)
この曲をジャズスタンダードに押し上げた決定的録音です。Miles Davisのミュートトランペット、John Coltraneのテナー、Red Garlandのピアノという第1期クインテット。ミディアムテンポの「間」の使い方はセッションの永遠のお手本です。
John Coltrane — Bye Bye Blackbird (Pablo, 1981)
1962年ストックホルムでのライブ録音(発売は1981年、Pablo)です。McCoy Tyner、Jimmy Garrison、Elvin Jonesの黄金カルテットが、この曲を長尺の即興へと発展させます。Miles盤と同じ曲とは思えない燃焼度で、コード進行の「拡張のされ方」を学べます。
Keith Jarrett Trio — Bye Bye Blackbird (ECM, 1993)
Miles Davis追悼のために録音されたアルバムのタイトル曲です。Gary Peacock、Jack DeJohnetteとのスタンダーズ・トリオによる、歌心と推進力を両立した演奏です。ピアノトリオでこの曲をやるときのバランス感覚はこれが基準になります。

まずはMiles盤から聴いてみる!

うむ、それが王道じゃのう。Miles盤でテーマと雰囲気を体に入れて、Coltrane盤で「ここまで自由になれるのか」を知る。順番に聴くとこの曲の奥行きがわかるぞい
関連曲ガイド
- Fly Me To The Moon コード解析&セッションガイド — セッション頻出度が同格のド定番です。II-V-Iの練習曲として相性抜群で、セットで覚えると効率的です。
- All of Me コード解析&セッションガイド — 同じく戦前生まれの歌モノスタンダードです。セカンダリードミナントの使い方を並べて学べます。
まとめ

A・CはFメジャー1発、Gm7の滞留は我慢、Bは半音下降の階段。整理したら怖くなくなった!

その通りじゃぞい。覚える材料が少ないのに聴かせどころがはっきりしておる、初心者にこれほど優しい曲はなかなかないのじゃ

半音スライドのフレーズ、今夜から練習する!

えらいのう。あとはテーマを丁寧に、なのじゃ。100年歌い継がれたメロディには、それだけの理由があるんじゃぞい。テーマを歌えるようになってからソロに進むのじゃ

テーマから!了解!


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