Beautiful Love コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!Autumn Leavesがだいぶ形になってきたから、次のマイナーの曲に挑戦したいんだけど

それなら Beautiful Love がぴったりじゃぞい。DマイナーのマイナーII-V-Iが曲の顔になっておって、「マイナーII-Vの教科書」と呼びたくなる曲なのじゃ

Bill Evansがよく弾いてた曲だよね?

よく知っておるぞい。Explorationsの演奏が有名でのう、セッションでも定番のレパートリーじゃぞい。Autumn Leavesの次に取り組むマイナー曲として、これほど適した曲はないのじゃ
Beautiful Love の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Beautiful Love(ビューティフル・ラヴ) |
| 作曲 | Victor Young / Wayne King / Egbert Van Alstyne (1931) |
| 作詞 | Haven Gillespie |
| キー | Dm |
| フォーム | ABAC / 32小節 |
| テンポ | ♩=120–200 |
| フィール | Medium Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1931年の曲で、作曲者が3人並んでおるのが珍しいのじゃ。映画音楽の大家Victor Young、楽団リーダーのWayne King、ベテラン作曲家のEgbert Van Alstyneの連名なのじゃ

3人がかり!どういう分担だったんだろう

そこは記録がはっきりせんから何とも言えんのじゃ。ともかくジャズの世界ではBill Evansをはじめ多くの名手が取り上げて、Dマイナーのスタンダードの代表格になったぞい
Beautiful Love のコード進行と分析

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冒頭のEm7b5→A7b9→Dmは、マイナーII-V-Iのお手本そのものです。DマイナーキーのIIm7b5→V7b9→Imが、曲の1〜3小節目にそのまま置かれています。Autumn Leavesでは曲の途中に出てくるマイナーII-Vが、この曲では開幕と同時に鳴ります。だからこの曲は「マイナーII-Vの教科書」なんです。
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4小節目はDm(D7)です。括弧のD7は「DmのままでもD7に変えてもよい」という代替表記で、D7にすると次のGm7へのセカンダリードミナント(V7/IV)として機能します。DmがD7に変わる瞬間、F#音が入って一瞬明るく緊張します。この「ひと押し」がGm7への流れを強めてくれます。
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5〜7小節目のGm7→C7→Fmaj7は、平行長調FメジャーへのII-V-Iです。マイナーの暗さから一転、Fmaj7で景色がふっと明るくなります。Autumn Leavesと同じ「メジャーII-VとマイナーII-Vのセット構造」がここにも入っているわけです。
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8小節目のEm7b5→A7b9で再びDmへ。Fmaj7の明るさから半小節ずつのII-Vで元のDマイナーに引き戻されます。この明→暗の往復がこの曲の情感の源です。

最初の8小節だけで、マイナーII-VとメジャーII-Vが両方出てくるんだ!

そうなのじゃ。Em7b5→A7b9→Dmと、Gm7→C7→Fmaj7。この2つのII-Vを行き来するのがAセクションの正体じゃぞい。しかもDマイナーとFメジャーは調号が同じじゃから、手癖の音はほとんど変わらんのじゃ

それは覚えやすそう!
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Bセクション(9〜16小節)はDm→Gm7→Bb7→A7b9で始まります。Bb7→A7b9は半音上からドミナントに寄りかかる動き(bVI7→V7)で、マイナーブルースなどでもおなじみの進行です。その後のG7#11は#11の浮遊感が印象的な1小節で、最後はEm7b5→A7b9のターンアラウンドで2回目のAセクションに戻ります。
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Cセクション(25〜32小節)は前半4小節がBセクションと同じで、後半が異なります。Dm→B7→Bb7#11→A7b9と、ドミナントが半音ずつ下降するクロマチックアプローチを経て、Dmに着地して曲が閉じます。B7→Bb7→A7と根音が半音で滑り落ちる響きは、この曲のエンディングの聴かせどころです。

ABACって形式、初めてかも。AABAと何が違うの?

AABAはブリッジ(B)が1回だけじゃが、ABACは「A→B」「A→C」と2つの後半を持つ形式なのじゃ。この曲の場合、BとCは前半4小節(Dm→Gm7→Bb7→A7b9)が共通なのじゃ。違うのは後半4小節だけじゃから、実質「A + 共通4小節 + 2種類の締め」を覚えればよいぞい

32小節もあるのに、覚える量は意外と少ないんだね

そこがこの曲が初心者向きと言われるゆえんじゃのう。難易度★2つは伊達ではないのじゃ
Beautiful Love のスケールガイド

博士、スケールはどうすればいい?マイナーの曲ってスケールがいっぱいあって混乱するんだよね

安心せい。この曲はDマイナー系のスケールでほぼ一本道じゃぞい

ほんと?

覚えることは実質「Dナチュラルマイナー + A7のときのC#」だけなのじゃ
まずはこれだけ覚える

基本はDナチュラルマイナー(=Fメジャーと同じ音)じゃぞい。Dm、Gm7、C7、Fmaj7、Em7b5は全部この7音の中の音で弾ける。調号のBbさえ守れば大きく外れることはないのじゃ

A7b9のところは?

そこだけC#を使うのじゃ。Dナチュラルマイナーの「C」を「C#」に変えると、Dハーモニックマイナーというスケールになっての、これがA7b9の上でぴったりハマるぞい。A7の3rdがC#じゃから、この音を弾くだけでコード感が一気に出るのじゃ

つまり「普段はDマイナー、A7が来たらC#」って覚えればいい?

その通りじゃぞい。冒頭のEm7b5→A7b9→Dmなら、Em7b5はDナチュラルマイナーのまま、A7b9でC#を通って、DmでD音に着地する。これだけでマイナーII-V-Iの「型」が1つ完成するのじゃ。この型はAutumn LeavesにもBlack Orpheusにもそのまま使い回せるぞい

1曲ぶんの練習が他の曲にも効くのは嬉しい!
余裕が出たらコードごとに

慣れてきたら次は何を意識すればいい?

セクションごとに「その場所だけの音」を拾っていくのじゃ。順番に見ていくぞい
Aセクション(1〜8小節):Dm


Em7b5はEロクリアン。難しく聞こえるが、Dナチュラルマイナーと同じ音をEから並べただけじゃから、新しく覚える音はないのじゃ。A7b9はさっきのDハーモニックマイナーが基本で、余裕があればAコンディミ(HWディミニッシュ)に挑戦してもよいぞい

Dm(D7)の括弧のところはどうするの?

伴奏がDmのままならDドリアンかDエオリアンでよい。D7に変えてきたら、F#音を入れてGm7への解決を匂わせるのじゃ。「4小節目でF#を弾くかどうか」は周りの音をよく聴いて決めるんじゃぞい

Gm7→C7→Fmaj7のところは?

GドリアンからCミクソリディアン、Fイオニアンへの流れじゃが、実はぜんぶFメジャースケールと同じ音なのじゃ。ここは「Fメジャーの音で明るく歌う区間」と捉えるのが一番実戦的じゃぞい
Bセクション(9〜16小節):Dm


Bb7とかG7#11とか、Aセクションにないコードが出てくるね

Bb7はBbリディアン7thが定番じゃのう。ポイントはAb音(Bb7の7th)で、この音がA7b9への半音下降を作るのじゃ。G7#11はGリディアン7th。#11のC#音を伸ばすと、あの浮遊感がそのまま出るぞい

覚えること増えてきた…

最初はどちらもコードトーンだけで十分じゃぞい。Bb7なら「Bb・D・F・Ab」、G7なら「G・B・D・F」。ルートと3rdと7thを押さえるだけでコードの景色は伝わるのじゃ
Cセクション(25〜32小節):Dm


最後のDm→B7→Bb7#11→A7b9はどう吹けばいいの?

半音下降のドミナントには、同じ形のフレーズを半音ずつずらして下ろすのが一番効くのじゃ。B7で作った形をBb7で半音下げ、A7でもう半音下げてDmに着地する。機械的に聞こえるかもしれんが、これがクロマチックアプローチの王道じゃぞい

スケールで言うと?

B7とBb7#11はどちらもリディアン7th系が合うぞい。ただ、ここは2拍ずつコードが変わる場所じゃから、スケールを並べるよりコードトーンの半音移動を優先した方が音楽になるぞい。最後の2小節はDmでどっしり終わるだけじゃから、慌てずD音に帰るのじゃ
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Bb7#11→A7b9→Dm)を使うか、Em7b5→A7b9を2回繰り返してテーマに入るのが手堅い形です。マイナーII-Vを繰り返すだけで曲の空気ができあがるので、イントロに困ったらまずこれで大丈夫です。
テンポとフィール: ♩=120〜200と幅広く、ミディアムスウィングでの4ビートが基本です。一方で、この曲を3拍子(ジャズワルツ)でやる流派もあります。どちらが正統かは諸説ありますが、セッションでは4ビートで始まることが多い印象です。カウントが出た瞬間に拍子を確認しましょう。
アウトロ: Cセクションのクロマチック下降(B7→Bb7#11→A7b9)をそのまま使ってDmで終わるか、Em7b5→A7b9→Dmを繰り返してリタルダンドをかける形が定番です。最後のDmをDm6やDm(maj7)の響きで飾るのもよく聴くエンディングです。

ワルツで始まったらどうしよう…

コードは同じじゃから、慌てず3拍子に乗ればよいのじゃ。むしろ「4でも3でもやれる曲」として仕込んでおくと、対応力の見せ所になるぞい
実践で使えるTips
ソロの回し方: 32小節ABAC、ソロは2〜3コーラスが標準です。ソロの組み立ては「Aで型を見せて、Bで少し動かし、2回目のAで戻して、Cで締める」という物語がフォームと一致するので、セクションの切り替わりを意識するだけで説得力が出ます。
迷子にならないコツ: BとCは前半4小節が同じなので、「今がBなのかCなのか」を見失うのがこの曲で一番多い事故です。目印は6小節目にあたるコードで、G7#11が鳴ったらB(まだ折り返し前)、B7→Bb7#11の半音下降が始まったらC(もう終わり)です。この2つの響きの違いを体で覚えておくと迷子になりません。

たしかにG7#11と半音下降なら、響きが全然違うから聴き分けられそう!

そうじゃろう。フォームの迷子は耳で防ぐのが一番確実なのじゃ。数を数えるより響きを覚えるんじゃぞい
コール方法: 「Beautiful Love」で通じます。キーはほぼ100%Dmです。マイナーの定番としてAutumn Leaves、Black Orpheusと並ぶ立ち位置で、この3曲をセットで仕込んでおくとマイナーII-Vの引き出しが一気に増えます。
名演・参考音源

最後に参考音源じゃぞい。この曲の「顔」と言える録音から、歌もの、デュオまで3つ厳選したのじゃ
Bill Evans Trio — Explorations (1961)
この曲を語るうえで外せない録音です。Scott LaFaro(b)、Paul Motian(ds)との名トリオによる演奏で、テーマの歌わせ方からマイナーII-V上のライン、トリオの対話まで、この曲のすべてが詰まっています。まずこの1枚から入るのがおすすめです。
Anita O’Day — Anita (This Is Anita) (1955)
ヴォーカルの名演ならこれです。1955年録音、Barney Kessel(g)らを従えたスウィング感あふれる演奏で、歌ものとしてのBeautiful Loveの魅力がよくわかります。テーマのメロディを覚えるのにも最適な1枚です。
Kenny Barron & Ron Carter — 1+1+1 (1984)
ピアノとベースのデュオによる演奏です。編成が小さいぶんコード進行の骨格がむき出しになるので、Em7b5→A7b9→DmのマイナーII-Vがどう機能しているかを聴き取る教材として抜群です。

まずはBill Evansから聴いてみる!

うむ。Explorationsのテーマの歌い方を耳に入れてからコード譜を見ると、進行の景色が全然違って見えるぞい。耳から入るのが一番の近道なのじゃ
関連曲ガイド
- Autumn Leaves コード解析&セッションガイド — マイナーII-V-Iの入門曲です。Beautiful Loveと同じ「メジャーII-VとマイナーII-Vのセット構造」を持ち、セットで学ぶと理解が倍速になります。
- Black Orpheus コード解析&セッションガイド — こちらもマイナーII-V-Iの学習曲です。Beautiful Loveで覚えた型がそのまま使えるボサノバ定番で、フィール違いの応用編にどうぞ。
まとめ

冒頭のEm7b5→A7b9→DmがマイナーII-Vの教科書、スケールは「Dマイナー + A7でC#」、BとCの聴き分けはG7#11と半音下降!

完璧なまとめじゃのう。ABACで覚える量が少ないぶん、マイナーII-Vの型作りにじっくり時間を使える。だからこそAutumn Leavesの次の1曲にふさわしいのじゃ

この曲でマイナーII-Vを固めたら、他のマイナー曲にも応用できるんだよね?

そうじゃぞい。マイナーII-V-Iはジャズの共通言語じゃからのう。この曲で作った型は一生ものの財産になるぞい。…あとのう、Bill Evansのテーマの歌わせ方だけは必ず聴いておくんじゃぞい。コードの前に、まず曲を好きになるのが上達の一番の近道なのじゃ

曲を好きになるのが近道!了解!


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