
ぽん太博士……この前セッション行ったら「何やりますか?」って聞かれて、頭が真っ白になっちゃったんだ……

あー、あるあるじゃな。ワシも最初のころ、あの一言で冷や汗かいたもんじゃ

結局「何でもいいです」って言っちゃって、知らない曲やるハメになったよ……

それが一番まずいパターンじゃぞい。今日はそうならないための作戦を話そうかの
セッションに行き始めたころ、ホストに「何やりますか?」と聞かれるたびに胃がキュッとなっていました。知ってる曲はあるのに「これ言って大丈夫かな」と迷っているうちに沈黙が流れ、「じゃあ何でもいいです」と口走ってしまう。この記事では、あのときの自分に教えたい選曲の準備について書いていきます。
「何でもいいです」が一番困る
ホストが「何やりますか?」と聞くのは、参加者のレベルを把握して全員が知っている曲で回したいから。つまり気遣いの質問です。
「何でもいいです」と返すとホストは手がかりゼロで曲を選ぶことになり、自分にとっては未知の曲だった――という事態が普通に起きます。知らない曲のコード譜を渡されて追いかけるだけの3分間は、なかなかつらいものがあります。

でもさ、自分の好きな曲を言って「その曲知らない」って空気になるのが怖いんだよね

じゃからこそ「みんなが知っていて、かつ自分も弾ける曲」を仕込んでおくんじゃ
解決策はシンプルで、セッションに行く前に「持ちネタ3曲」を決めて、コード暗記+テーマ演奏まで仕上げておく。これだけです。「○○と△△ならできます」と具体的に答えられるだけで、ホストもスムーズに回せますし、自分のメンタルもぜんぜん違います。
3曲あれば1曲はだいたい通じます。仮に全部NGでも「この人はこのレベルか」とホストに伝わるので、近い難易度の曲を提案してもらえます。
難易度×知名度マトリクスで見る初心者の選曲ガイド
ジャズスタンダードを「難易度」と「セッション頻度」の2軸で整理してみました。
安全牌ゾーン(難易度低 × 知名度高)
初セッション〜数回目は、まずここから選ぶのが鉄板です。
| 曲名 | キー | 形式 | テンポ | 難易度 | 頻度 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Blue Bossa | Cm | AB / 16小節 | ♩=120-160 Bossa | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | 16小節で短い。ボサノバなので4ビートより気楽 |
| Fly Me To The Moon | C | ABAB / 32小節 | ♩=120-180 Swing/Bossa | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | 歌モノ定番。コードがシンプル |
| Billie’s Bounce | F | Blues / 12小節 | ♩=140-200 Swing | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | Fブルース。12小節の循環で迷いにくい |
| So What | Dm | AABA / 32小節 | ♩=130-160 Swing | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | モード1発。Dドリアン→Ebドリアンだけ |
| Satin Doll | C | AABA / 32小節 | ♩=120-160 Swing | ★☆☆☆☆ | ★★★★★ | II-Vの繰り返しで覚えやすい |
迷ったらこの5曲の中から3つ選んでおけば、まず間違いありません。自分は最初 Blue Bossa・Fly Me To The Moon・Billie’s Bounce の3曲でしばらく回していました。

安全牌ゾーンの曲は、ほぼどこのセッションでも通じるぞい。「知らない」と言われることはまずないんじゃ

Blue Bossa は16小節だから、緊張してても「あ、もう終わった」ってなるよね
チャレンジゾーン(難易度中 × 知名度高)
安全牌に慣れてきたら、ここに手を広げていきます。
| 曲名 | キー | 形式 | テンポ | 難易度 | 頻度 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Autumn Leaves (枯葉) | Gm(Em) | ABAC / 32小節 | ♩=140-180 Swing | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | 定番中の定番だが転調あり。キーがGmとEmの2種類ある |
| There Will Never Be Another You | Eb | ABAC / 32小節 | ♩=140-220 Swing | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | Ebキーがギターにはやや辛い。テンポ幅が広い |
| Misty | Eb | AABA / 32小節 | ♩=60-80 Ballad | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | バラードは間の取り方が難しい。ボーカルとやる機会も多い |
| Someday My Prince Will Come | Bb | AABA / 32小節 | ♩=140-200 Waltz | ★★☆☆☆ | ★★★★☆ | 3/4拍子。ワルツに慣れていないと戸惑う |
Autumn Leaves は超有名ですが、キーがGmとEmの2パターンあり、セッションで混在します。自分も「枯葉できます!」と言ったあと、Emで始まってGmしか覚えてなくて焦った経験があります。

Misty ってバラードだから簡単そうに見えるけど……

バラードは音数が少ないぶん、一音一音が目立つんじゃ。ごまかしが利かないから、実は初心者には難しいぞい
地雷ゾーン(初心者が避けるべき曲)
「かっこいい!」と思っても、いきなり出すと火傷する曲たちです。
| 曲名 | 避けるべき理由 |
|---|---|
| Giant Steps | コルトレーンチェンジ。超高速の転調。上級者でも避ける人がいる |
| Donna Lee | テーマが超高速バップライン。テーマが弾けないと参加しづらい |
| Stella by Starlight | コード進行が複雑。セクションごとに調性が曖昧でスケール選択が難しい |
| Confirmation | アップテンポのバップ。テーマの難易度が高い |
| Cherokee | Bセクションの高速転調が鬼門 |
「好きな曲」と「セッションで出せる曲」は別物です。Giant Steps が好きでも、セッションで出したら周りが凍りつきます。聴く用と弾く用は分けて考えたほうがいいです。
楽器別の選曲ポイント
同じ曲でも楽器によって体感の難易度はけっこう変わります。

ギターの友達が「Ebの曲はつらい」って言ってたけど、ピアノだと別に普通だよね?

そうじゃ。楽器ごとに得意なキーが違うから、自分の楽器に合った曲を選ぶのも大事なポイントじゃぞい
- ギター: Em、Am、Dm系のキーが押さえやすいです。Autumn Leaves のEmキーは定番。逆にEb、Ab、Dbの曲はバレーコードだらけになって大変です
- サックス(Bb管): テナーは実音でC、F、Bb系の曲が楽。アルト(Eb管)はA、D、G系が得意キーになります
- トランペット(Bb管): テナーサックスと同じ。Fly Me To The Moon のCキーは実音Dになるので吹きやすいです
- ピアノ: キーの制約は比較的少ないですが、コンピングの密度は曲によって変わります。Blue Bossa のようなシンプルな進行から始めるのがおすすめです
- ベース: ウォーキングラインが組みやすい曲を選ぶのがポイント。ブルースやII-V系の曲が入りやすいです
- ボーカル: 自分のキーで歌える曲を3曲持っておくこと。Fly Me To The Moon や Misty は歌モノセッションの定番です
歌モノセッション vs インストセッション
日本のジャムセッションは「歌モノ」と「インスト」に大きく分かれます。お店によって傾向が違うので、事前にSNS等で確認しておくと安心です。
歌モノセッションはボーカルがメインで、楽器隊は伴奏として参加します。Fly Me To The Moon、Misty、The Girl From Ipanema が頻出。ボーカルのキーに合わせた移調を頼まれることもあります(正直、慣れないと難しいです)。
インストセッションは全員が対等にソロを回します。Blue Bossa、So What、Billie’s Bounce が中心で、テンポも速めになりがちです。
両方で使える曲として、Autumn Leaves、Fly Me To The Moon、Softly As In A Morning Sunrise あたりを持っておくと便利です。

歌モノとインスト、どっちから行けばいいかな?

どっちでもいいが、歌モノのほうがテンポがゆったりしていることが多いから、最初は入りやすいかもしれんのう
まとめ ― まず3曲、完璧にする

なんか、3曲でいいって思ったらちょっと気が楽になったよ

そうじゃろ。100曲うっすら知ってるより、3曲しっかり弾ける方がセッションでは強いんじゃ。自信を持って曲名を言えるだけで、場の空気が変わるぞい
- 安全牌ゾーンから3曲選んで、コード暗記+テーマ演奏まで仕上げてからセッションに行く
- 「何やりますか?」には具体的な曲名で答える。それだけでホストも周りも安心する
- 慣れたらチャレンジゾーンへ。地雷ゾーンはもう少し先の楽しみにとっておく
「この3曲ならいつでも出せる」という持ちネタがあるだけで、「何やりますか?」が怖くなくなります。自分もそうでした。


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