
ぽん太博士、ぼく昨日セッション行ったんだけど、自分のソロが終わった後、何すればいいかわからなくてずっと棒立ちだった……

ああ、それはコンピングの話じゃな。セッションではソロを弾く時間よりも、他の人のソロを支える時間のほうがずっと長いんじゃぞい

え、でもぼくソロの練習ばっかりしてた……伴奏って何すればいいの?

そこを今日は話そうかのう。実はコンピングが上手い人は、周りからめちゃくちゃ重宝されるんじゃ
セッションで一番長い時間を過ごすのは、実はソロを弾いている時間ではありません。他の人がソロを取っている間の「コンピング」の時間です。たとえば5人でセッションしていたら、自分のソロは全体の2割くらい。残りの8割は誰かの伴奏をしています。
自分も最初の頃、ソロの練習ばかりしていました。でもセッションに通い始めてすぐ気づいたのは、ソロが上手い人よりもコンピングが上手い人のほうが「また一緒にやりたい」と思われていること。コンピングが安定していると、ソリスト側も安心して吹けるんです。
そもそもコンピングとは
コンピング(comping)は「accompaniment(伴奏)」の略とされています。ソリストの演奏を、リズムとコード(和声)で支える役割です。
やることは大きく分けて2つ。コードを鳴らしてハーモニーの土台を提供することと、リズムでグルーヴを支えること。ドラムやベースと一緒に「バンド感」を作り出すパートです。

ぼく、コードを全音符でボーンと伸ばしてたんだけど、それだとダメなの?

ダメではないが、それだけだと平坦になるんじゃ。リズムに変化をつけるのがコンピングの面白いところじゃぞい
セッションでの演奏時間の8割はコンピング。ソロの技術より先に身につける価値があります。ソロは1コーラスで済むことも多いですが、コンピングは曲が始まってから終わるまでずっと続きます。
コンピングの基本原則
コンピングで守るべきことを、優先度の高い順に書いていきます。
ソリストの邪魔をしない
これが最優先です。初心者の頃に一番やりがちなのは、音量が大きすぎること。自分もギターで思いっきりストロークしてしまって、ソリストのサックスの音が聞こえなくなった経験があります。ホストから「もう少し小さくね」と言われて、顔から火が出そうでした。
音量を抑えるのはもちろんですが、もうひとつ大事なのは「隙間を作る」ことです。ソリストのフレーズの切れ目にコードを入れて、弾いている間は音数を減らす。最初は「小さく、少なく」を意識するだけで十分です。
リズムを安定させる
ドラムのライドシンバルやハイハットを聴いて、そこに乗る意識を持ちます。自分だけで拍を取ろうとすると走りがちなので、ドラマーの出す拍を頼りにします。

コンピングのリズムって、毎回同じパターンでいいの?

最初はそれでいいんじゃ。安定したリズムで弾き続けられるだけで十分じゃぞい。慣れてきたらソリストのフレーズに反応して変化をつけていくんじゃが、それは先の話じゃ
コードを正確に弾く
間違ったコードを弾くと、ソリストが「自分のフレーズが間違ってたのかな?」と混乱します。コードがわからなくなったら、弾かないほうがマシです。沈黙は間違った音よりずっといい。
Autumn Leaves コード解析&セッションガイドのようなII-V-Iが繰り返される曲で、まずはコード進行を完璧に覚えてからコンピングの練習をするのがおすすめです。
楽器別コンピングガイド
ギター
ギターのコンピングで初心者がまず覚えるべきは、2拍目と4拍目にコードを入れるリズムです。「ン・チャッ・ン・チャッ」のパターン。1拍目と3拍目は休み、2拍目と4拍目で短くコードを鳴らします。これだけでジャズっぽいコンピングになります。
フレディ・グリーンの4つ刻み(1拍ごとにコードをジャカジャカ弾くスタイル)は有名ですが、あれはビッグバンド向けの技術で、小編成のセッションでやるとうるさくなりがちです。最初は避けたほうが無難です。
ボイシングについて。ベースがいる場合、ルートは弾かなくてOKです。3度と7度を含む3〜4音のボイシングで十分。たとえばCm7なら、Eb(短3度)とBb(短7度)を軸にして、5度や9度を足すくらいのイメージです。

ピアニストがいるときはどうするの?

音域が被らないように気をつけるんじゃ。ピアノが中音域でガシガシ弾いてたら、ギターは高いポジションでシンプルに弾く。逆にピアノがいないときは、もう少し音域を広く使ってもいいんじゃぞい
ピアノ
ピアノのコンピングは、まずシェル・ボイシングから始めるのがいいと思います。3度と7度だけで構成された最小限のボイシングです。たとえばCm7なら左手でCとBb(ルート+短7度)、右手でEb(短3度)。これだけで和声の骨格は伝わります。
リズムパターンは、チャールストンリズムが定番です。1拍目で弾いて、2拍目の裏(2拍目と3拍目の間)でもう一回弾く。「ダーン・ダッ」というリズム。これを繰り返すだけでかなりそれらしくなります。
ギタリストがいるときは、高音域でシンプルに入れるか、いっそギタリストに任せて音数を減らすか。お互いがフルで弾くとごちゃごちゃになります。
ベース
ベースの場合は「コンピング」というよりベースライン構築が仕事になります。基本的なウォーキングベースラインは、各小節でルート→5度→経過音→次のコードのルートに半音でアプローチ、という流れです。
So What コード解析&セッションガイドはコードが少なくてベースラインの練習にちょうどいいです。Dm7が16小節続くので、その中でいろいろなラインを試せます。
ソリストの盛り上がりに合わせて音数やダイナミクスを変える。この「一緒に呼吸する」感覚がセッションの醍醐味です。
やってはいけないこと
セッションで実際に見かけた(あるいは自分がやらかした)NGパターンをまとめます。
ソロ中に大音量で弾く。一番多いミスです。特にギターとピアノは音量が上がりやすい。「自分の音が聞こえない」と感じたら、音量を上げるのではなく周りを聴く意識に切り替えてください。
コードを間違えたまま弾き続ける。「あれ、今どこだ?」と思った瞬間に止まるのが正解です。わからなくなったら弾かない。沈黙は不協和音より100倍マシです。次のセクションの頭や、わかるコードが来たところから復帰すればいい。Blue Bossa コード解析&セッションガイドのようなシンプルな曲で慣れてから、複雑な曲に挑戦するのが安全です。
ソリストと同じ音域でフレーズを弾く。音域が被るとソリストの音が埋もれます。コンピングはあくまで「背景」です。

ぼく、他の人のソロ中に自分もフレーズ弾いちゃってたかも……

ありがちじゃ。弾きたい気持ちはわかるが、コンピングのときは「自分は裏方」と割り切るのが大事じゃぞい。その裏方ができる人が、実はセッションで一番信頼されるんじゃ
ずっと同じパターンの繰り返し。最初のうちは仕方ないですが、ソリストの盛り上がりに合わせて音数を増減させる「波」を意識できると一段上のコンピングになります。
まとめ

なんかコンピングって、ソロより難しくない?

ある意味ではそうじゃ。周りを聴いて、反応して、でも出しゃばらない。でもな、コンピングが上手くなると、自分のソロも上手くなるんじゃぞい。周りを聴く力がつくからのう
コンピングはセッションの土台です。最初は「静かに、正確に、安定して」の3つだけ守れば十分です。
コンピングを意識するようになってから、セッションが2倍楽しくなりました。ソロ待ちの退屈な時間が、「いま自分もバンドの一員として音楽を作っている」時間に変わったからです。まずは次のセッションで、音量を半分に落とすところから始めてみてください。

よし、次のセッションではコンピング頑張ってみる。音量、半分にする!

それでいいんじゃ。「上手いコンピング」より「邪魔しないコンピング」が先じゃぞい。それができるだけで、周りの反応が変わってくるぞ


コメント