ジャズアドリブの最初の一歩 ― ペンタから始める実践ガイド

c007-eyecatch セッションコラム
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ぴょん吉
ぴょん吉

ぽん太博士……ぼく、セッションでソロ回ってきたとき、頭が真っ白になって何も弾けなかった……

ぽん太博士
ぽん太博士

あるある。ワシも最初そうじゃった。「何弾けばいいかわからない」ってやつじゃろ

ぴょん吉
ぴょん吉

そう。コード進行見ながら、ええと、ここはCm7だから……って考えてる間にもう次のコードに行っちゃって

ぽん太博士
ぽん太博士

考えすぎなんじゃ。最初はペンタトニック1発でいいんじゃぞい。今日はそこから話そうかのう

セッションで初めてソロを指されたときの冷や汗。自分もよく覚えています。ホストが「はい、どうぞ」と目配せしてくれたのに、指が固まって8小節くらい無音で過ぎていった。あの経験がなかったら、この記事を書こうとは思わなかったかもしれません。

ペンタトニックスケール1つから段階的にアドリブを発展させる方法を書いていきます。

「アドリブ=何か特別なこと」という誤解

アドリブというと「その場で即興的にメロディを生み出す」みたいなイメージがあります。自分もそう思っていました。だからこそ「才能がないと無理」と感じていた。

でもセッションに通ううちにわかったのは、上手い人のソロって実は「覚えたフレーズの組み合わせ」に近いということ。定番のフレーズをストックしておいて、コード進行に合わせて引き出しから出している。完全なゼロから音を紡いでいるわけではないんです。

ぴょん吉
ぴょん吉

え、プロの人もそうなの?

ぽん太博士
ぽん太博士

もちろんプロはその引き出しが膨大じゃし、組み合わせ方が抜群に上手いんじゃ。でも仕組みとしては同じじゃぞい。最初は引き出しが2〜3個でいいんじゃ

最初から素晴らしいソロを弾く必要はありません。「音を出す」こと自体が第一歩です。しょぼくても短くても、ソロの順番で何か弾いた。それだけで大きな前進です。

ステップ1: ペンタトニック1発で乗り切る

最初のアドリブで一番使えるのが、マイナーペンタトニックスケールです。構成音は1、b3、4、5、b7の5音。このスケールが万能なのは、余計な音が入っていないから。5音しかないので、どこを弾いてもそこまで外れた音にならない。

ブルースなら、キーのマイナーペンタ1発でほぼ乗り切れます。

たとえばBillie’s Bounce コード解析&セッションガイドはFブルース。Fマイナーペンタトニック(F、Ab、Bb、C、Eb)の5音だけで、コード進行全体をカバーできます。自分が初めてセッションでソロを「弾けた」と感じたのもこの曲でした。ペンタを上がったり下がったりしているだけだったけど、それでも音楽として成立していた。

Blue Bossa コード解析&セッションガイドもおすすめです。Aセクションのコード進行にはCマイナーペンタトニック(C、Eb、F、G、Bb)がほぼそのまま使えます。Bセクションで転調があるので、そこは最初のうち弾かずにやり過ごしても大丈夫です。

ぴょん吉
ぴょん吉

ペンタだけでほんとに大丈夫?なんかダサくならない?

ぽん太博士
ぽん太博士

音数を少なくして、リズムに変化をつければ全然ダサくならんぞい。むしろ音を詰め込むほうがダサくなるんじゃ

ここで大事なのは、音数は少なくていい。休符も立派なフレーズの一部だということ。ペンタの音を2〜3音弾いて、少し休んで、また2〜3音。これだけで「間」のある落ち着いたソロになります。音数が少ないほうが、リズムを丁寧に扱えるので、聴いている側にとっても心地いい。

ステップ2: コードトーンを意識する

ペンタ1発で「とりあえず弾ける」状態になったら、次はコードトーンを意識してみます。

コードトーンとは、そのコードの構成音のこと。Cm7ならC、Eb、G、Bbの4音です。コードが変わるタイミングで、そのコードのコードトーンを鳴らすと、急に「合ってる感」が出ます。特に小節の頭(1拍目)にコードトーンを持ってくると、コード進行に沿って動いている感じが出る。

Autumn Leaves コード解析&セッションガイドはII-V-Iの連続なので、コードトーンを意識する練習に最適です。たとえばCm7→F7→BbMaj7の流れなら、Cm7の上でC(ルート)を弾いて、F7に変わったらA(3度)かEb(b7度)を鳴らして、BbMaj7ではBb(ルート)かD(3度)を弾く。コードの変わり目だけ意識して、あとはペンタで埋める。

ぴょん吉
ぴょん吉

ペンタ弾きながらコードトーンも考えるの?同時にできる気がしない……

ぽん太博士
ぽん太博士

最初は無理じゃ。だからまずは「コードが変わった瞬間に、そのコードのルートか3度を1音弾く」だけ意識すればいいんじゃぞい。それ以外の場所はペンタでOKじゃ

正直、自分もコードトーンを全部追えるかというと、まだ怪しいです。テンポが速いと見失います。でもセクションの頭やII-Vの解決先だけでも意識すると、ソロの説得力は確実に変わりました。

ステップ3: リックを覚える

リック(lick)は、ジャズの定番フレーズのこと。上手いプレイヤーのソロを聴くと、「あ、このフレーズ前にも聴いた」というパターンが出てきます。ジャズのアドリブは、こうしたリックの組み合わせが土台になっています。

最初に覚えるべきリックは、II-V-Iのリック。II-Vはジャズの曲に何度も出てくるコード進行なので、これに対応するリックを1〜2個持っているだけで「弾ける場所」がぐっと増えます。

覚え方は、好きなアーティストのソロから耳コピするか、ジャズ教本のリック集から拾うか。耳コピのほうが身につきやすいですが、最初は教本からでも全然OK。

ぴょん吉
ぴょん吉

リックって12キーに移調して練習しなきゃダメなんでしょ?

ぽん太博士
ぽん太博士

いずれはそうじゃが、最初から12キーなんてやったら挫折するぞい。まず1キーで実戦投入できるようになることが先じゃ。使いこなせるリック1個のほうが、弾けないリック12個より価値がある

12キーに移調する練習は後回しでいい。まず1キーで使えるリックを実戦で試すことが先です。セッションで使ってみて、「お、ハマった」という感覚を得ることのほうが、練習のモチベーションに直結します。

やりがちな失敗

自分の経験と、セッションで他の初心者を見ていて「あるある」と思うパターンをまとめます。

音を詰め込みすぎる。緊張すると無意識に音数が増えます。16分音符でスケールを上下するだけのソロ。弾いている本人は必死ですが、聴いている側は息苦しい。休符を意識的に入れるだけで全然違います。

ずっと同じフレーズの繰り返し。ペンタの上昇・下降を機械的に繰り返すパターン。リズムを変えたり、始める音を変えたり、少しの工夫で印象が変わります。

コード進行を完全に無視してスケールを上下するだけ。ペンタ1発で「乗り切れる」のはあくまで最初の段階の話。慣れてきたらコードの流れを少しずつ意識しないと単調になります。

テーマのメロディと全く関係ないフレーズ。実はテーマの断片をソロに取り入れるのはプロもやるテクニックです。So What コード解析&セッションガイドのような曲で、テーマのモチーフをソロの出だしに使うと効果的です。

ぴょん吉
ぴょん吉

全部心当たりある……つらい

ぽん太博士
ぽん太博士

誰でも通る道じゃ。大事なのは気づくことじゃぞい。気づいたら次から変えればいいんじゃ

まとめ

ぴょん吉
ぴょん吉

ペンタ、コードトーン、リック。この順番で進めればいいんだね

ぽん太博士
ぽん太博士

そうじゃ。いきなり全部やろうとせんことじゃ。ペンタだけで3ヶ月セッション通ってもいいくらいじゃぞい

ペンタトニック1発で音を出す、コードトーンでコード感を出す、リックで引き出しを増やす。この3ステップです。

最初のソロは音が少なくて当然です。間違えても曲は止まりません。バンドが支えてくれます。それがセッションのいいところです。

まずはブルースでペンタ1発を試してみてください。Fマイナーペンタの5音だけ握りしめて、Billie’s Bounceに飛び込む。それが「アドリブの最初の一歩」です。

ぴょん吉
ぴょん吉

よし、次のセッションでFマイナーペンタだけ持って行ってみる!

ぽん太博士
ぽん太博士

それでいいんじゃ。音が3つしか出せなくても、自分の番でソロを取った。それが一番大事なことじゃぞい

コメント

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