Night and Day コード進行 解析&セッションガイド

博士〜!Night and Dayっていう曲、セッションでたまに聞くんだけど、あの最初のコードがめちゃくちゃ不思議な響きで…

おお、Night and Dayか!Cole Porterの名曲じゃぞい。あの冒頭のAbmaj7→G7→Cmaj7が、この曲の全てと言っても過言ではないのじゃ

Abmaj7ってCメジャーのダイアトニックにないよね?

ないのじゃ。bVImaj7というノンダイアトニックコード。ただし見方を変えると、Dm7(b5)→G7→Cmaj7というマイナーII-V-Iがメジャーに解決するパターンでもあるんじゃぞい。Dm7(b5)とAbmaj7は構成音がほぼ同じだからのう

えっ、じゃあここって実はII-V-Iなの?

両方の見方ができるのが面白いところなんじゃ。「bVI→V→I」と見ればハーモニーの色彩感が理解できるし、「minor ii-V→I」と見ればアドリブで使えるフレーズが増える。実戦ではii-V-Iとして捉えた方が弾きやすいぞい
Night and Day の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | Night and Day(ナイト・アンド・デイ) |
| 作曲 | Cole Porter (1932) |
| キー | C |
| フォーム | AABA / 32小節 |
| テンポ | ♩=140–200 |
| フィール | Medium-Up Swing |
| セッション頻出度 | ★★★★☆ |
| 難易度 | ★★☆☆☆ |

1932年のブロードウェイミュージカル『Gay Divorce』でFred Astaireが歌って大ヒットした曲でのう。Cole Porterがモロッコ旅行中に聴いたイスラムの礼拝の呼びかけからインスピレーションを得たと言われているんじゃぞい

そんな由来があったんだ!

Frank Sinatraの録音も有名でのう。ジャズではスウィングからボサノバまで、いろんなスタイルで演奏されるぞい。セッションではCキーが圧倒的に多いのじゃ
Night and Day のコード進行と分析

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Aセクション冒頭の「Abmaj7→G7→Cmaj7」がこの曲の最大の特徴。表面上はAbmaj7(bVImaj7)が半音でG7に降りてCmaj7に解決する「bVI→V→I」進行ですが、実はDm7(b5)→G7→Cmaj7という「マイナーII-V-Iがメジャーに解決する」パターンとしても機能しています。Dm7(b5)の構成音(D-F-Ab-C)とAbmaj7の構成音(Ab-C-Eb-G)は3音共有しており、実質同じ響きです。iReal ProでもAbmaj7(Dm7b5)と併記されています。セッションで「ここはii-Vだ」と捉えられると、アドリブで使えるフレーズの引き出しが一気に増えます。この動きが4小節1セットで2回繰り返されます。
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Aセクション後半で半音下行のクリシェが始まります。F#m7(b5)→Fm7→Em7→Ebdim7はルートがF#→F→E→Ebと半音ずつ下がりますが、各コードにはちゃんと機能があります。F#m7(b5)はG7のルートへ半音で引っ張るリーディングトーン的な役割(次のAセクション冒頭のAbmaj7/Dm7b5→G7を先取りする動き)です。Fm7はサブドミナントマイナー(Cマイナーからの借用iv)。Em7はダイアトニックのiii。Ebdim7はEm7とDm7をつなぐパッシングディミニッシュです。単なる「半音で降りてるだけ」ではなく、それぞれの和声機能が重なって生まれるラインという理解が実践的です。

半音ずつ下がっていくのって、聴いてて気持ちいいよね。でもこれ、ただ降りてるだけ?

いい質問じゃのう。実は各コードにちゃんと役割があるんじゃぞい。Fm7はサブドミナントマイナー、つまりCマイナーのivを借用したコード。Em7はCメジャーのダイアトニックiii。Ebdim7はEm7とDm7の間をつなぐパッシングディミニッシュなのじゃ

F#m7(b5)は?

これが面白くてのう。F#m7(b5)の構成音はF#-A-C-E。Aセクション冒頭のAbmaj7(Ab-C-Eb-G)やDm7b5(D-F-Ab-C)とは別物なんじゃが、機能としてはG7のルートへ半音で引っ張るリーディングトーンの役割をしておるぞい

それぞれに意味があるんだね…ただのクリシェかと思ってた

声部の動き(クリシェ)と和声機能の両方が重なっているのが、Cole Porterの巧みさなのじゃ。コンピングする側はルートの半音下行を意識して、ソロイストは各コードの機能を意識すると、お互い良い演奏になるぞい
- ブリッジ(Bセクション)はEbmaj7とCmaj7の2コードだけです。Ebmaj7(bIIImaj7)が2小節→Cmaj7が2小節を2回繰り返す構成で、bIIIの浮遊感がAセクションのbVIとは異なる色彩を生みます。

ブリッジ、コード2つしかないの!?

そうなのじゃ。Ebmaj7の2小節が「ここではないどこか」の雰囲気を出して、Cmaj7で「帰ってきた」と感じさせる。たった2コードなのに場面転換がはっきりしているのがCole Porterの巧さじゃぞい

Ebmaj7ってどう捉えればいいの?

bIIImaj7、つまりCから見て短3度上のメジャーコードじゃのう。モーダルインターチェンジ(同主短調からの借用)とも解釈できるし、単純にCとEbの色彩の対比と捉えてもいいぞい
- 最後のAセクションは半音下行クリシェ→Dm7→G7→C6のII-V-Iで解決します。明確なダイアトニックII-V-Iが最後に来ることで強い帰結感が生まれます。ラスト小節のDm7→G7はターンバックです。ただし冒頭のAbmaj7→G7→Cmaj7をminor ii-V-Iと捉えれば、この曲は実はII-V-Iの変奏で満たされていることになります。

面白いのは、「オーソドックスな」ダイアトニックII-V-I(Dm7→G7→C)が出てくるのは最後のAセクションだけということなのじゃ。でも冒頭のAbmaj7→G7→Cmaj7をDm7(b5)→G7→Cmaj7(マイナーii-V→メジャー解決)と捉えると、実はこの曲もII-V-Iの曲と言えるんじゃぞい

そう考えると見え方が全然変わるね!

Cole Porterの巧さはそこでのう。表面的にはII-V-Iに見えない独自の色彩を出しながら、骨組みはジャズプレイヤーが使い慣れたii-Vの語法で処理できる。だから演奏しやすいのに響きが新鮮なんじゃぞい
ブリッジへの入り方に注意: iReal Proでは2番カッコ(ブリッジ前のAセクション終わり)で最終小節がBb7になるバージョンが記載されています。Bb7はEbmaj7のV7なので、ブリッジのEbmaj7へスムーズに導入する機能を持ちます。セッションではここでBb7を弾く人もいるので、耳を開けておきましょう。
Night and Day のスケールガイド

博士、スケールは何を使えばいい?Abmaj7のところが全然見当つかなくて…

うむ、最初は確かに戸惑うかもしれんのう。でもこの曲、実はスケール的にはかなりシンプルなんじゃぞい

え、あんな変わったコード進行なのに?

まぁ聞いてくれ。順番に説明するからのう
まずはこれだけ覚える

この曲のAセクション、特に冒頭のAbmaj7→G7→Cmaj7の部分なんじゃが…実はCメジャースケール1発でかなりいけるぞい

え!?Abmaj7の上でCメジャースケール?

正確にはAbmaj7の上ではCメジャースケールだと若干ぶつかる音があるんじゃが、G7→Cmaj7のところはCメジャーそのものじゃし、Abmaj7も2拍〜1小節程度で通り過ぎるコードじゃから、Cメジャーペンタトニック(C-D-E-G-A)で弾いていればほぼ安全なんじゃぞい

ペンタでいいの!?

Cメジャーペンタの構成音はAbmaj7の上でも嫌な響きにならんからのう。まずはペンタで1コーラス通してみるのが第一歩じゃぞい

ブリッジのEbmaj7は?

ブリッジはEbリディアンが一番きれいに響くぞい。でも最初はCメジャーペンタのまま弾いてみてもそこそこサマになるのじゃ。C-D-E-G-AはEbmaj7の上ではテンション音(6th, 7th, #11th, 3rd, 13th)として機能するからのう

じゃあ本当にCメジャーペンタ1発で通せるんだ!

「通せる」と「かっこよく弾ける」は別じゃがのう。まずは通すことを優先して、そこから味付けしていく流れじゃぞい
余裕が出たらコードごとに

ペンタで通せるようになったら、次は何を意識すればいい?

コードトーンとスケールを細かく使い分けると、コード進行の色彩がもっと出てくるぞい
Aセクション(1〜8小節):bVI→V→I / minor ii-V→I


ここのスケール選択は「Abmaj7として弾くか、Dm7(b5)として弾くか」で変わってくるぞい。2つのアプローチがあるのじゃ

どっちがいいの?

最初はAbリディアン(Ab-Bb-C-D-Eb-F-G)が一番取っつきやすいぞい。#4のD音がCメジャースケールの音でもあるから、前後のCmaj7との繋がりが自然なんじゃのう

もう一つのDm7(b5)として弾くアプローチは?

Dm7(b5)として見ると、Dロクリアン(D-Eb-F-G-Ab-Bb-C)が使える。これ、実は音の並びはEbメジャースケールと同じなんじゃぞい。こっちの方が「ii-V-Iを弾いてる」感覚が出やすいから、ジャズのフレーズをそのまま当てはめやすいのじゃ

ii-V-Iのフレーズ集とかそのまま使えるってこと?

その通り!マイナーii-V-Iのリック(例えばDロクリアンのフレーズ→G7オルタード→Cに解決)がそのままハマるのが、この解釈の強みじゃぞい。普段練習しているii-Vフレーズの引き出しがそのまま活きるのじゃ

G7はGミクソリディアン?

基本はGミクソリディアンじゃのう。ただしDm7(b5)→G7をマイナーii-Vとして捉えるなら、G7でオルタード(G-Ab-Bb-B-Db-Eb-F)を使う選択肢も出てくる。Abmaj7→G7→Cmaj7の半音下行感がオルタードのテンション(b9, #9, b13)と相性がいいんじゃぞい。もちろんストレートにミクソリディアンでも十分じゃがのう

Cmaj7は?

Cイオニアンそのままじゃのう。解決先だからシンプルでいいぞい
Aセクション後半(9〜16小節):半音下行クリシェ


半音下行のところ、コードごとにスケール変えるの大変じゃない?

ここは2つの戦略があるぞい。初心者はコードトーンを追いかけるのが一番確実。ルート音がF#→F→E→Ebと半音で降りていくから、3度や7度を半音ずつ下げていくだけでサマになるのじゃ

上級者はどうするの?

各コードの機能を意識する方法じゃのう。Fm7はサブドミナントマイナーだからFドリアン。Em7はCメジャーのダイアトニックiiiだからEフリジアンかCメジャースケール。Ebdim7はディミニッシュスケール(半全)でDm7への橋渡しに使うのじゃ。F#m7(b5)はF#ロクリアンだが、正直1小節しかないからコードトーン+半音アプローチで十分じゃぞい

結局どっちがいいの?

セッションで初めてやるなら、まずはルートの半音下行の「流れ」を耳で覚えること。3度と7度のガイドトーンを半音ずつ下げるだけでも、十分「わかってる」感じに聴こえるぞい。各コードのスケールを瞬時に切り替えるのはその先の話じゃのう
Bセクション(17〜24小節):bIIIの色彩


Ebmaj7はさっきEbリディアンって言ってたよね

そうじゃのう。Ebリディアン(Eb-F-G-A-Bb-C-D)はCメジャースケールと4音共有しているから、実はCメジャーとの行き来がスムーズなのじゃ。A音がリディアンの#4として機能するのがポイントでのう

Ebイオニアンじゃなくてリディアンなのはなぜ?

EbイオニアンだとAb音が入るんじゃが、ブリッジのEbmaj7はCキーの文脈の中で鳴っているから、Cメジャーのダイアトニック音(A)を含むリディアンの方が違和感がないのじゃ。もちろんイオニアンでも間違いではないぞい
最後のAセクション(25〜32小節):解決

最後のAは、前半が半音下行クリシェ(さっきと同じ)で、後半がDm7→G7→C6のII-V-Iじゃのう

やっとII-V-Iだ!

Dm7はDドリアン、G7はGミクソリディアン。どちらもCメジャースケールの構成音じゃから、ここは一番気楽に弾けるポイントじゃぞい。ソロの最後のコーラスでは、このII-V-Iで盛り上げて締める人が多いのう
演奏時のポイント
イントロ: ラスト4小節(Dm7→G7→Cmaj7→Dm7 G7)か、冒頭のAbmaj7→G7→Cmaj7をそのままイントロに使うパターンが一般的。bVI→V→Iが十分にキャッチーなので、頭4小節をイントロ代わりにしても自然に成立します。

冒頭のAbmaj7→G7で始めるの、かっこいいね

この曲は頭のインパクトが強いからのう。ラスト4小節のイントロが無難じゃが、冒頭パターンでも全く問題ないぞい
テンポとフィール: セッションでは♩=140〜180が多く、Medium-Up Swingが基本。ボサノバアレンジも定番で、その場合は♩=140程度。♩=180以上はUp Swingになり、2フィール→4フィールの切り替えが自然に起きます。
アウトロ: Dm7→G7→C6で着地が最多。Cmaj9やC6/9で止めると収まりが良く、ボサノバならAbmaj7→G7→Cmaj7を繰り返してフェードアウトする方法も。
実践で使えるTips
ソロの回し方: ソロは2〜4コーラスが一般的です。テンポが速い場合は32小節があっという間に回るので注意してください。ブリッジのEbmaj7で音域やアーティキュレーションを変えると、フォームの切り替わりが明確になります。
Abmaj7/Dm7(b5)の処理で差がつく: 冒頭のAbmaj7をDm7(b5)→G7のマイナーii-Vとして捉えると、普段練習しているii-Vフレーズがそのまま使えます。最初は「通過点」としてG7→Cmaj7の解決にフォーカスし、次のステップでDm7(b5)→G7のマイナーii-Vリックを当てはめてみましょう。Ab-C-Eb-Gのアルペジオ(bVIの色彩)とD-F-Ab-Cのアルペジオ(ii的な動き)を両方持っておくと、コーラスごとに違うアプローチで弾けます。

Abmaj7で何弾いていいかわからなくて、いつもG7まで待っちゃうんだよね…

その気持ちはわかるぞい。まずはDm7(b5)→G7をマイナーii-Vだと思って、普段練習してるii-Vリックを当てはめてみるんじゃ。「あ、ここii-Vなんだ」と思えた瞬間から急に弾けるようになるぞい

なるほど、ii-V練習が活きるんだ!

その通り。慣れてきたらAbmaj7のアルペジオ(Ab-C-Eb-G)も混ぜて、bVIの響きを意識的に出す。ii-V的アプローチとbVI的アプローチを両方持っておくと、コーラスごとに違う景色が出せるんじゃぞい
コール方法: 「Night and Day、C、Medium Swingで」が基本。Ebキーもあるのでキーは伝えた方が親切。Fly Me To The MoonやThere Will Never Be Another You同様、ボーカルでもインストでもコールされる汎用性の高い曲です。
名演・参考音源

Night and Dayは録音の数が膨大じゃからのう。スタイルの違うものを3つ選んだぞい
Frank Sinatra — A Swingin’ Affair! (1957)
Sinatraの代表的録音です。Nelson Riddleアレンジのビッグバンドによるミディアム・スウィングで、テンポ感とフレージングの参考になります。
Joe Henderson — Inner Urge (1964)
テナーサックスのワンホーン・カルテットです。ミディアムアップのストレートなスウィングで、Henderson特有のフレージングがAbmaj7の処理でどう変化するかに注目してみてください。
Ella Fitzgerald & Louis Armstrong — Ella and Louis (1956)
ボーカル2人の掛け合いが楽しいバージョンです。テンポゆったりめでメロディが聴き取りやすく、ボーカル曲として捉えるならまずこれがおすすめです。

Ella & Louisのバージョン、雰囲気良さそう!

曲の構造を掴むにはうってつけじゃぞい。そのあとHenderson版を聴いて、ジャズ的な崩し方を学ぶのがおすすめじゃのう
関連曲ガイド
- Fly Me To The Moon コード解析&セッションガイド — VI-II-V-I循環中心のメジャーキー曲です。Night and Dayとのコード進行の違いを比べると面白いです。
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まとめ

bVI→V→Iと見せかけてminor ii-V→I、半音下行にも各コードの機能がある、ブリッジのbIII…Cole Porterってすごいね

表面的にはII-V-Iに見えないのに、骨組みはii-V-Iの語法で処理できる。Cole Porterの天才的なバランス感覚が詰まった曲なのじゃ

でもスケール的にはCメジャーペンタで通せるって聞いて安心した!

うむ。この曲はコード進行が独特な割に、マイナーii-Vとして捉えれば普段の練習がそのまま活きる。Abmaj7で「bVIの色彩」を出すか「ii-Vフレーズ」を当てるかで個性が出るから、いろんな人のソロを聴いて研究するんじゃぞい

よし、まずはCメジャーペンタで1コーラス通すところから始める!

それがいいぞい。あと…テンポが速い曲じゃから、メトロノームの練習を忘れるなよ

は、はい…!


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